新型セレナのオーナーはとても良いお父さん!
コンパクトカーとならび、日本自動車市場において最激戦区カテゴリーといっていい5ナンバー7人乗りミニバン。はっきり言って、超大激戦! その雰囲気はプロ野球の首位争奪戦、Jリーグの天皇杯決勝、W杯最終予選の延長戦といってもよいほど。参加メンバー(車両)といえば皆さんご存じの通り、トヨタのノア/ヴォクシー、ホンダのステップワゴン、そしてこのたびフルモデルチェンジを行ったセレナである。
はっきり言って仁義なき戦い5ナンバーミニバン編。いやはや、言葉の煽り方としてはどの媒体をみても超攻撃的ですが、クルマの存在はほのぼのイイお父さん級。どのクルマも家族みんなでワイワイできる仕立てになっているのだ。当然、フルモデルチェンジを行い3代目となったセレナも同じなワケだ。
商品コンセプトは“BIG! EASY! FUN!ボックス”。見てBIG!、触ってEASY!、使ってFUN!なクルマを目指したというのだ。
いったい誰がBIGでEASYで、FUNなのかというと、それは家族や仲間との楽しい週末をリードする、アクティブユーザーとのこと。「家族を大切にして、子育ても自らが積極的に楽しむ」、「自分の家族だけでなく、周囲の家族やその子供たちと週末のレジャーを謳歌する」、「子供の友達からも憧れる、慕われる」、そんな父親、またはそうなりたいと思っている人だという。
言葉にして初めて浮かんだ“良いお父さん”像。「やったぜ!父ちゃん!」なんて、子供たちに言われるそんなクルマを目指しているということなのだろう。「セレナの開発責任者が先代のセレナに乗っていまして自分の子供や近所のお子さんを連れて少年野球によく行くというのです。そのときにもっと使いやすくなるようにと開発されたのが新型セレナなんです」という日産広報の話を耳にしたとき、もっとはっきりどんなユーザーがこのセレナを使うのかが見えてきた。つまり“いいお父さんのいいお父さんによるいいお父さんのためのクルマ”がセレナであるということが。
新型セレナは都会的で個性的なデザインと上質で落ち着きのあるデザインの2タイプ
新型セレナのスタイルはシュープルライン(フロントドア部でステップを持ったキャラクターライン)を持った大きな窓と安定感のあるモダンなキュービックボディが基本。これをベースに“都会的で個性的な”イメージを持つ20RX/20RSと、“上質で落ち着きのある”イメージを持つ20G/20Sという2タイプのボディスタイルが用意されているのだ。
20RX/20RSはボディカラーと同色のラジエータグリルを装備。バンパー、フードともにスムージングしたようなティストを持たせ、ボリューム感があるように見せている。さらに、バンパー下部には丸いフォグランプリフレクターを装備し、特徴的なエクステリアのエッセンスとしている。
20G/20Sはフロントグリル上下にメッキパーツを配置し、上質で落ち着きのある顔つきを演出。ただし、スポイラー風に張り出したバンパー下部にはフォグランプを設置し、スポーティーな一面も醸し出すような配慮となっている。
なお、新型セレナに用意されるボディカラーはソレイユオレンジ、アイアンをはじめとした7色である。
乗ってBIG! 使ってBIG! な新型セレナの車内
くどいようだが、新型セレナのキャッチフレーズは“BIG! EASY! FUN!”。こう言っているのだから狭くて、使いづらかったらオハナシにならない。そんなわけで、新型セレナの有効室内長は3290mm、室内長は2825mm、室内幅は1470mmで、室内高は1355mmとなっている。これらすべての数値は最大のライバルと思われるノア/ヴォクシーと同じもしくは大きいモノとなっている。
広さと同じくらいに重要となるキャビンへの乗り降りに目を向けても、著しい進化が目につく。2列目のフロア地上高は先代セレナが474mmだったのに対し、新型は452mm。両側スライドドアのリヤドア開口高さは1300mm(先代セレナは1230mm)、リアドア開口幅は775mm(先代セレナは705mm)となっている。無論、これらの数値は強大なるライバルノア/ヴォクシーより上回っているのはお約束だ。
いやはや、本当にビッグに生まれ変わった新型セレナ。この広大なる車内に収まる3列のシートも、当然のごとく使い勝手が抜群という言葉では言い表せないくらいに進化している。まずシートアレンジなのだが、フルフラットは当然のこと、4人乗車でMTBをばらさず3台積載できるスーパーカーゴモードや、フロントシートから2列目のチャイルドシートに簡単にアクセスできるベビーフレンドリーモードに、ベビーカーゴモードなど大きく分けただけで9種類のシートアレンジを用意している。これらのシートアレンジはどれもが使いやすそうなのだが、シート自体の使い勝手を向上させているのも新型セレナの大きな特徴。サードシートは“イージーアップシート”と呼ばれ、わずか4アクションで左右に跳ね上げて固定ししまうことが可能なのである。4回も動作するというと大変なように思われるが、固定状態の3列目シートを跳ね上げるだけならわずか2アクション。ヘッドレストをとることさえも要求しない作りとなっているのはあっぱれだ。
新型セレナのエンジンは2.0リッターのMR20DEエンジンのみ
こんな新型セレナに用意されるエンジンは2.0リッターのMR20DEエンジン1種類のみ。最高出力はFFと4WDでは差が設けられており、FFでは137馬力。4WDでは129馬力となっている。このエンジンに組み合わされるトランスミッションはエクストロニックCVTの1種類のみ。このCVTはMRエンジンとの組み合わせを前提に開発されており、CVT本来の良さを活かしながら乗用車から乗り換えても違和感のない乗り心地と発進加速性能を向上させているという。
こうガソリン価格が高いと気になるのが燃費なのだが、10.15モードでFF車の燃費は13.0km、4WD車の燃費が11.8kmとなっている。なお、新型セレナは全車が「平成17年基準排出ガス50%低減レベル(U-LEV)」に適合するとともに「平成22年度燃費基準+5%以上」を達成し、全車にグリーン税制低減措置が適用されている。
さて、こう見るといいことずくめで、まさにBIG! EASY! FUN!な新型セレナなのだが、問題がなきにしもあらずといった感じなのだ。シフト・ザ・フューチャーということで昨年秋頃から、日産は様々なクルマを登場させた。その中にはMR20DEエンジンを搭載し、エクストロニックCVTを組み合わせる7人乗りミニバンのラフェスタがいるのだ。おまけに同じCプラットフォームを採用。さらには、最近のミニバンらしからぬカラーリングまでも・・・。
そう、新型セレナ最大のライバルは身内にあるのかもしれない。
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・低床・定重心プラットフォームでがらっと生まれ変わった新型ステップワゴン(2005年5月27日)
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