トヨタ アイシス
アイシス

安定感あるリヤビュー。背の高いミニバンだが、安心感がある。

アイシス

写真では見えないが、右側もスライドドアとなる。

アイシス

助手席を前方に倒した状態。広大なスペースが出現する。

アイシス

ドライバーを包み込むようなインパネまわり。助手席側は、広がり感のある処理が施されている。

アイシス

エアロパーツ装備のプラタナは、ブラック調の木目。高級グレードのGは、明るいブラウン調の木目となる。

アイシス

シートアレンジも豊富。3列目シートは、簡単な操作で床下に格納できる。

ファミリー層なら絶対「グッとくる」パッケージング

 ドッカーン、と大きく開いた新型「アイシス」の助手席スライドドアには、なんと「ピラーがない!」のだ。7月に発売された「ポルテ」で、多少慣れてはいたものの、そのインパクトは強烈。

 助手席のドアを開くと、開口部は1890mmとアイシスの全幅(1695mm)をはるかに超える。さらに、助手席を前方へ跳ね上げることができる助手席端タンブルシートを採用。2列目シートへのウォークインを容易にするだけでなく、チャイルドシートの装着や長尺物、大きな荷物の出し入れなど、狭いスペースで四苦八苦する必要がまったくなくなっている。当然、フロア高が380mmと低いこともあり、お年寄りや子供の乗り降りが容易であるのも特徴。とくに体の不自由な方が使うことがある、サイドリフトアップシート車においては、足を伸ばしたままセカンドシートへの乗降ができるのだ。

 とはいえ、あまりに大きな開口部を眺めていると、側面衝突の安全性について少々疑問に思ってしまうもの。そのあたりの対策も十分に対応されていた。ドアロックの位置を合計4箇所に設定。衝撃があったときでも、ドアがめくり上がったりすることなく衝撃を吸収できるようになっているのだ。ボディそのものについても、開口部の四隅にキッチリした補強を施して剛性を確保。それにより、右側に比べ約5kg重量が増した。約5kgの重量増程度であれば、走行性能にもほとんど支障もないという。

 そんな、とても便利なアイシスを支える気になるボディは、なんと前半分をウイッシュ、後半分をノアのものを使っているという。ああ、そうなのね、って軽く流してしまいそうだが、ちょっと待った! なのである。そもそも、ウイッシュは乗用車用のプラットフォームで、ノア用は1BOX用だ。種類・目的の違うふたつのプラットフォームを、結合してしまうトヨタの技術力はスゴイ。

 さて、エンジンはお馴染み2リッターの1AZ−FSE(155馬力/19.6kg-m)と1.8リッターの1ZZ−FE(132馬力/17.3kg-m)の2タイプが用意される。2リッターは、2WDと4WDが用意され、ミッションはCVTのみ。1.8リッターは2WDのみの設定で、4ATの組み合わせだ。
 
 さあ、ようやくスタイル。フロントビューは、なかなかスタイリッシュ。エッジの効いたバンパーからヘッドライトに流れるシルエットは、アイシスならではの個性を主張。プラタナと呼ばれるエアロバージョンとの相性も抜群。このプラタナは、エアロパーツの装着により、全幅が1695mmから1710mmとなり、よりワイド&ローなフォルムになっている。リヤビューは、フロントに比べおとなしめの印象。縦長のコンビネーションランプには、9個のLEDを使用。真後ろから見ると、台形のシルエットと相まって安定感あるスタイリングになっている。

 最後になって恐縮だが、アイシスのコンセプトは「柔(じゅう)・空間」。使い手の目的に応じて、柔軟に使い分けできること。アイシスに少し触れた感じでは、柔というより優といった印象。柔らかいというより、優しいといったイメージなのだ。大人、子供、お年寄り、赤ちゃん・・・。どちらかというと、乗る人へのいたわりを感じた。そういう意味での「優しい」。まあ、どちらにしても、ファミリー層には「グッとくる」1台には間違いない。

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代表グレード
プラタナ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4640×1710×1640
車両重量[kg]
1470
総排気量[cc]
1998
最高出力[ps(kw)/rpm]
155(114)/6000
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
19.6(192)/4000
ミッション
CVT
10・15モード燃焼[km/l]
14.0
定員[人]
税込価格[万円]
220.5
発売日
2004年9月28日
レポート
大岡智彦(編集部)
写真
佐藤 誠(編集部)