アイドリングストップを廃止するメーカーが増加中!その理由は?

アイドリングストップ廃止に向かうメーカー

2025年2月現在、アイドリングストップを完全に廃止している国産車メーカーはありません。しかし、以下の3社では順次廃止や非搭載車の販売といった動きが見られます。

  傾向
トヨタ
  • 2018年以降の新型のガソリン車で非搭載にする傾向
  • ヤリス、シエンタ、ノア/ヴォクシー、アルファードなどで不採用

ホンダ

  • 2022年頃から、ガソリン車についてモデルチェンジ等に合わせて非搭載にする傾向
  • フィット、WR-V、ヴェゼル、フリードなどで不採用
ダイハツ
  • 2023年からアイドリングストップ非搭載車の販売を開始
  • タント、タフト、ムーヴキャンバスに非搭載モデルあり

なお、上記以外でもアイドリングストップ非搭載の車を販売しているメーカーはあります。
非搭載の車を積極的に選びたいのであれば、各社に問い合わせるか、中古車販売店で非搭載モデルについて聞いてみましょう。

積極的に採用を続けるメーカーも

アイドリングストップの廃止に動くメーカーがある一方、積極的に搭載を続けているメーカーもあります。

たとえば、スズキは燃費性能の良さを強みとするメーカーです。その数値を少しでも良くするため、現時点ではジムニーも含めたほぼ全車種でアイドリングストップを搭載しています。

アイドリングストップ廃止の理由は?

アイドリングストップ廃止の動きが見られる理由は、多岐にわたります。
大まかにまとめれば「コストがかかる割にメリットが少ない」ことが原因と言えそうです。

理由①車の燃費性能自体が向上している

アイドリングストップが登場した10~20年前に比べて、近年はどの車種も燃費性能が向上しています。そのため、メーカーからすると燃費を良く見せるためにアイドリングストップを搭載する必要がなくなりました。

また、ハイブリッド車の普及に伴ってユーザーのアイドリングストップへの期待感も薄くなっており、これも廃止の原因となっています。

理由②WLTC表記で効果が見えにくい

日本では、2018年から燃費の計測・表記方法がWLTCモードに変更されました。

WLTCモードによる計測では、それ以前のJC08モードと比べてアイドリングストップ時間の比率が少なくなっています。そのため、搭載の効果が数値として表れにくいです。結果として販売促進にもつながりくく、メーカーにとって「搭載のメリットが薄い」といえます。

理由③ユーザーから不満の声が多い

ユーザーからは、以下のようにアイドリングストップに対する不満の声も多く聞かれます。

  • 再始動時にもたつく(発進が遅い)
  • 再始動時のエンジン音が気になる
  • 作動時にエアコンなどが切れる
  • 右左折の減速などで勝手に作動される

現在は、運転中にアイドリングストップ機能をオフにする人も多いです。当然ながら、こうしたユーザーの反応もメーカーの判断に影響を与えています。

理由④バッテリーが高価で寿命も短い

アイドリングストップは燃費性能が向上し「経済的」と思うかもしれません。
しかし、同機能には専用のバッテリーが必要で、製造コストがかかります。たとえばダイハツ「タント」の場合、アイドリングストップ搭載車は非搭載車より3万3,000円高いです。

さらに、アイドリングストップはバッテリーへの負荷が大きく、バッテリー寿命も通常より短い傾向(1年半~2年程度)があります。

搭載で燃費はどれくらい良くなる?

アイドリングストップをしている車のイメージ図

アイドリングストップはユーザーにとって使い勝手が良いと言えず、「経済的」とも言い切れません。しかしながら、適度な燃費向上効果を得られるのも事実です。

効果は「2~5km/L」ほどか

アイドリングストップによる燃費向上効果は、車種によって異なります。ここでは、一例としてタントの搭載車と非搭載車を比較します。

【タント(Xグレード/2WD車)の燃費】

 

ISS(※)搭載

ISS(※)非搭載
WLTC燃費 22.7km/L 20.1km/L
市街地モード 20.9km/L 16.6km/L

※ISS:アイドリングストップシステムの略

上記の場合、WLTC燃費では2.6km/L、市街地モードの数値では4.3km/Lの差がありました。

たとえば、WLTC燃費の条件で5,000km走行し、レギュラーガソリン価格170円/Lで試算すると、燃料代は約5,000円異なります。

搭載と非搭載、どちらが経済的?

アイドリングストップの有無でどちらが経済的かは「ケースバイケース」と言えそうです。

アイドリングストップ搭載車のバッテリー交換費用(相場)は1~3万円ほど。一方、非搭載車のバッテリーの交換費用は約5,000円~です。バッテリー寿命を考えても、バッテリー費用は搭載車の方がかかります。
しかし、ガソリン価格や走行距離によっては、搭載・非搭載で燃料代の差が大きくなります。

結局のところ、最終コストはバッテリー交換の場所や選ぶ製品、走り方次第と言えます。

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Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!