ディーゼル車はいつまで乗れる?エコカー減税廃止と気になる今後

ディーゼル車はいつまで乗れる?エコカー減税廃止と気になる今後

世界的に廃止に向かうディーゼル車

マツダ「CX-5」

ディーゼル車は、軽油を燃料としたクルマです。ディーゼル車の中にも1990年代まで多く生産されていた「旧型」と、後に開発された「クリーンディーゼル車」があり、両者は環境性能や法律上の扱いが大きく異なります。

種類 環境性能 法律上の扱い
旧型 大気汚染物質を多く排出 ・日本では一部地域で利用・運行規制あり
・エコカー減税対象外
クリーンディーゼル車 旧型で問題視された大気汚染物質の排出を大幅に軽減 ・現在も一部車両についてはエコカー減税の対象

現在販売されているディーゼル車の大多数は「クリーンディーゼル車」です。しかし今後は脱炭素社会の実現に向けて、日本を含めた世界各国でディーゼル車がガソリン車とともに廃止される見込みです。

旧型ディーゼル車の規制地域と規制解除の予定

旧型ディーゼル車は、走行時に窒素酸化物(NOx)や浮遊粒子状物質(SPM)といった大気汚染物質を多く排出するため、日本の以下の地域で使用・運行が規制されています。

【規制地域】

東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、 愛知県、三重県、大阪府、兵庫県 (いずれも全域ではない)

ただし現在はどの地域も大気環境が改善されており、今後規制は解除される見通しです。

クリーンディーゼル車のエコカー減税は廃止に

2021年4月までは全てのクリーンディーゼル車が対象だった

旧型で問題視されていた大気汚染物質の排出を大幅に抑えたクリーンディーゼル車。2021年4月までは全てのクリーンディーゼル車がエコカー減税の対象でした。

しかし近年は多くの自動車メーカーで電気自動車やPHEVが開発され、エコカー減税の基準も厳格化。2021年5月からは、政府が設定した厳しい基準をクリアしたクリーンディーゼル車のみがエコカー減税の対象となっています。

2023年5月以降は全車両が対象外になる見込みだった

エコカー減税は時限立法であり、2023年4月末で制度が終了する見込みでした。しかし2022年12月に3年間の制度延長が決定し、現行基準も2023年12月末まで据え置かれることになりました。

2035年にはガソリン/ディーゼル車の新車販売が禁止に

世界各国では、脱炭素社会への第一歩として、ガソリン車やディーゼル車の新車販売禁止を予定しています。例えばノルウェーでは2025年から、EUでは2035年からガソリン/ディーゼル車の新車販売を禁止する見込みです。

日本政府も「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」で、クルマの新車販売について以下のように触れています。

遅くとも2030年代半ばまでに、乗用車新車販売で電動車100%を実現できるよう包括的な措置を講じる。

出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」

さらに2021年1月には、菅首相(当時)が施政方針演説で「2035年までに新車販売をすべて電動車にする」と宣言。このように、日本も2035年頃までにガソリン車とディーゼル車の新車販売が禁止となる見込みです。

Q. 2035年以降も中古車は手に入る?

現時点で販売禁止の対象とされているのは新車のみ。中古車であれば、2035年以降もディーゼル車が手に入ると考えられます。

Q. ハイブリッド車は新車販売禁止の対象?

日本は2035年の新車販売禁止対象にハイブリッド車を含めていません。一方、同じく2035年にガソリン/ディーゼル車の新車販売を禁止するEUでは、ハイブリッド車も新車販売を禁止すると定めています。

2050年には利用も含めて完全廃止へ

先述のグリーン成長戦略には、自動車の生産・利用・廃棄について以下のように記載されています。

「2050 年に自動車の生産、利用、廃棄を通じた CO₂ゼロを目指す」

出典:経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」

ガソリン車とディーゼル車は燃料を燃やす過程で二酸化炭素を排出するため、上記の条件を満たすことは不可能です。政府の目標通りに取り組みが進めば、2050年以降はガソリン車やディーゼル車に乗れなくなるでしょう。

それでも27年はディーゼル車に乗れる!

ここまで紹介したように、ディーゼル車は将来的に利用できなくなる見込みです。しかし日本政府が廃止の目標としている2050年までは、あと27年ほど(2022年11月現在)あります。クルマの寿命を考えれば、新車を2台程度乗り継げる年数です。

ディーゼル車には、燃費の良さや燃料の安さ、発進時からのスムーズな加速といった魅力があります。また車両価格も電気自動車に比べれば、ずっと安いです。これからディーゼル車を購入し、その魅力を味わうのも一つの選択でしょう。

中古車は年式に注意

ディーゼル車はガソリン車に比べると車両価格が高いので、中古でお買い得なクルマを探すのもおすすめです。ただしディーゼル車は自動車税の重課のタイミングが早いです(11年)。そのため年式も気にしてクルマを選ぶようにしてください。

以下の記事では専門家が中古でおすすめのディーゼル車を紹介しています。クルマ選びの参考にしてください。

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Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!