※上図:3代目CX-5の「欧州仕様」
マツダは、2025年開催の「Japan Mobility Show」で、3代目となる新型CX-5(KG系)を初公開した。国内発売は2026年初頭と見込まれている。
CX-5は、マツダにとって基幹モデルといえる存在だ。初代CX-5(KE系)は2012年に登場し、世界100カ国以上で累計450万台以上を販売する大ヒットモデルとなっている。
中古車情報
- CX-5の2代目までの概要
- 脱ラグジュアリーSUV? エモーショナルなデザインを維持しながら、使い勝手にもこだわった
- 超巨大15.6インチディスプレイ装備したコクピットHMI
- 新型CX-5は後席&荷室が、より快適で使いやすくなった!
- 新型CX-5はディーゼルエンジン廃止! 遅延気味のハイブリッド化
- 3代目 新型CX-5(KG系)ボディサイズなど主要スペック(欧州仕様)
CX-5の2代目までの概要
初代モデルは、当時としてはユニークな2.2Lディーゼルターボエンジンを搭載。最大トルク420Nmという高いパフォーマンスを発揮しながら、優れた燃費性能も実現していた。その注目度の高さから、発売直後は試乗車すら用意できない販売店もあったほどで、異例の大ヒットを記録した。
2016年にはフルモデルチェンジを受け、2代目CX-5(KF系)へと進化。プラットフォームやパワートレインは初代からのキャリーオーバーではあったものの、メカニズムは熟成が進んだ。とくに大きく変わったのがコンセプトだ。ややカジュアルな印象だった初代に対し、2代目はラグジュアリーSUVとして再構築。デザインや内外装の質感が大幅に向上したことが評価され、9年以上というロングセールスを続けるロングヒットとなった。
脱ラグジュアリーSUV? エモーショナルなデザインを維持しながら、使い勝手にもこだわった
外観デザイン
3代目にあたる新型CX-5(KG系)の開発コンセプトは、「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」。マツダが掲げる「人間中心の哲学」と先進テクノロジーの融合により、日々の移動をより快適に、そして生活そのものをより豊かにすることを目指して開発された。
この思想を具体化するために、日常的な使い勝手に徹底的にこだわり、「SUVの王道」を極め、長く愛されるクルマであることを開発の指針としている。
その開発コンセプトをベースに、新型CX-5(KG系)のデザインコンセプトには「気兼ねなく使えるウェアラブルギア」が掲げられた。デザイン手法は、従来のマツダのデザイン哲学「魂動デザイン」を踏襲しつつ、より機能性を重視した造形が施されている。
フロントフェイスでは、L字型のシグネチャーランプが横基調から縦基調へと変更され、鋭さを増した精悍な眼差しを演出。さらに、ボンネットの高さを従来比で50mmアップさせることで、SUVらしい力強さと存在感を強調している。
グリルデザインも進化。大きさを誇張するのではなく、立体的な造形により彫りの深いフロントフェイスを実現した。グレードによっては、グリルフレームに光沢を抑えたダーククローム調加飾を採用し、さらに精悍さを引き立てている。
リアビューも大きく刷新されたポイントのひとつだ。リアコンビネーションランプには大型のL字タイプを新たに採用し、ワイド感とともに、どっしりとした安定感のある後ろ姿を演出している。
超巨大15.6インチディスプレイ装備したコクピットHMI
インテリアデザイン
※上図:3代目CX-5の「欧州仕様」
新型CX-5のインテリアは、水平基調を基軸としたシンプルなデザインに刷新された。先代モデルが持っていたラグジュアリーな雰囲気は控えめとなり、質実剛健で使いやすさを重視した印象が強い。
メーターには、10.25インチの液晶パネルを採用。さらにインパネ中央には、国産車最大級となる15.6インチのセンタータッチディスプレイを搭載している。この大画面によって、視認性はもちろん、迫力ある映像体験も提供される。
この15.6インチディスプレイの搭載に伴い、新たに「コクピットHMI(Human Machine Interface)」が導入された。情報の視認性や操作系のわかりやすさに徹底してこだわり、運転中の視線移動や操作ミスによる注意力の散漫を防ぐ設計となっている。これは、「人間中心の哲学」を掲げるマツダらしい、安全性への配慮のひとつだ。
加えて、利便性を高めるため、Googleサービスも採用。ナビゲーションはGoogleマップを活用し、音声アシスタントやアプリストアなど、スマートフォンとの親和性が高い構成となっている。大画面によりアイコンも大きく表示されるため、車両の揺れによる操作ブレが抑えられ、利き手ではない左手でも扱いやすい点も見逃せない。
操作系についても、使用頻度の高い機能をステアリングに集中配置することで、ドライバーの利便性をさらに向上。なお、この新型HMIの登場により、従来センターコンソールに設置されていたコマンダースイッチは廃止されたが、それを補って余りある使いやすさと進化を遂げている。
新型CX-5は後席&荷室が、より快適で使いやすくなった!
使い勝手
※上図:3代目CX-5の「欧州仕様」
「使い勝手の良さ」を重視する新型CX-5の開発コンセプトは、後席や荷室の設計にも色濃く反映されている。
プラットフォームは先代からのキャリーオーバーながら、ボディサイズは欧州仕様で全長4,690mm×全幅1,860mm×全高1,695mmへと拡大。先代比で、全長+115mm、全幅+15mm、全高+5mmとなっており、サイズアップによって居住性が向上した。
とくに注目すべきは後席スペースだ。ホイールベースが延長されたことで、その分を膝前のスペースに活用。結果として、膝まわりの余裕は64mmも広がり、ゆったりとした後席空間が実現されている。さらに、ヘッドルームも29mm拡大され、クラスでもトップレベルの開放感を確保している。
日常的な利便性を左右する乗降性にも細かく配慮された。後席ドアの開口部は約70mm広げられ、さらに、スカッフプレートの高さも見直されており、子どもでも乗り降りしやすい工夫が施されている。
SUVにとって重要な荷室も大きく進化した。床面積はクラストップレベルを誇り、荷室の奥行も先代より45mm拡大。高さ方向も含めて、使いやすさが大幅に向上している。
また、車中泊ユーザーへの配慮も忘れていない。後席を倒せば、わずかに段差はあるものの、ほぼフラットな荷室空間が出現する。リヤシートのヘッドレストは反転装着することで、枕代わりとしても使用可能。荷室長も約190cm確保されており、平均的な大人であれば足を伸ばして横になることができる。
新型CX-5はディーゼルエンジン廃止! 遅延気味のハイブリッド化
パワートレイン
3代目にあたる新型CX-5(KG系)では、残念ながら従来好評だったディーゼルエンジンの設定が廃止された。背景には、厳格化する排出ガス規制などの影響がある。
代わって新たに搭載されたのは、24Vの2.5Lマイルドハイブリッドシステムだ。ただし、この新パワートレインには一抹の不安もある。というのも、従来の2.2Lディーゼルターボが発揮していた最大トルクは450Nmという強力な数値だったのに対し、新型CX-5のマイルドハイブリッド仕様では、最大トルクが約250Nmと予想されており、その差は大きい。とくに、従来型のディーゼルモデルに乗っていたユーザーにとっては、加速時などのトルク不足を物足りなく感じる可能性がある。
また、24Vというマイルドハイブリッド方式自体も、やや中途半端な印象が否めない。48Vと比較してもモーター出力の向上が難しく、電動感を感じにくい。加えて、エンジンの不得意な回転域でのサポートを目的としているため、燃費改善効果も限定的となってしまう。
一方で、マイルドハイブリッドのメリットもある。構造がシンプルで、ストロングハイブリッドに比べてシステムコストが抑えられるため、車両価格を低く設定できるのは大きな利点だ。
ただし、マツダ自身もマイルドハイブリッドのみで競争できるとは考えていない。現在は、独自技術であるSPCCI(火花点火制御圧縮着火)をさらに進化させた、直列4気筒2.5Lの「SKYACTIV-Z」エンジンを開発中。この新エンジンは、より薄い混合気でも燃焼可能で、高効率と低燃費を両立することが期待されている。これに新開発のハイブリッドシステムを組み合わせ、2027年以降に市場投入する予定だ。
トヨタをはじめとする競合ハイブリッド勢を超える燃費性能を狙う先進技術だが、投入時期が2027年とやや先になる点は、既存ユーザーの乗り換え需要や競争力の観点で不利に働く可能性がある。
3代目 新型CX-5(KG系)ボディサイズなど主要スペック(欧州仕様)
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外寸(全長/全幅/全高) |
4,690mm/1,860mm/1,695mm |
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エンジン |
e-SKYACTIV G 2.5(M ハイブリッド付) |
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変速機 |
SKYACTIV-DRIVE (6EC-AT) |
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サスペンション(前/後) |
マクファーソンストラット式/マルチリンク式 |
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乗車定員 |
5名 |
