
参院選が終わり、与野党が暫定税率の廃止に向けて動き出しました。
ここでは、廃止に向けた動きと暫定税率の概要、廃止にあたっての期待と課題などを分かりやすく解説します。
※暫定税率自体は2010年3月末に廃止されていますが、同年4月から同額の「特例税率」が導入され、制度は事実上継続しています。本記事では、特例税率を含めて「暫定税率」と記載しています。
ガソリン税の暫定税率(※)が、12月末で廃止される見通しです。ここでは、今後のガソリン価格がいくらになるのか、増税のリスクについてわかりやすく解説します。
※暫定税率自体は2010年3月末に廃止されていますが、同年4月から同額の「特例税率」が導入され、制度は事実上継続しています。本記事では、特例税率を含めて「暫定税率」と記載しています。
暫定税率が12月末に廃止へ
2025年10月31日、与野党6党は実務者協議を経て「ガソリン税の暫定税率を12月末で廃止する」と合意しました。また、11月中旬からは補助金で順次ガソリン価格を引き下げる予定です。今後、与野党は臨時国会での法案成立を目指します。
ガソリン税の暫定税率は、1Lあたり25.1円。導入されたのは1974年で、実に約52年ぶりの廃止となります。
消費税を含めれば27.6円/Lの低減
現在のガソリン価格には、ガソリン税なども含めた金額に消費税(10%)がかけられています。つまり、暫定税率25.1円/Lにも消費税(2.51円分)が上乗せされているため、暫定税率が廃止されればガソリン価格は実質的に約27.6円/Lの低減となります。
軽油の暫定税率は2026年4月1日廃止
暫定税率は、ガソリンだけでなく軽油にも導入されています。軽油引取税の暫定税率は、1Lあたり17.1円です。
軽油取引税の暫定税率廃止は2026年4月1日の予定ですが、ガソリン税と同様、今後は補助金の拡大で軽油価格を引き下げます。11月27日には、暫定税率と同額の引き下げが実現する見込みです。
移行期間は補助金で引き下げ
12月末の暫定税率廃止に向けて、今後はガソリン補助金が徐々に拡大されます。12月中旬には補助金で暫定税率と同額分(1Lあたり25.1円)の引き下げとなり、それが年末まで維持され、最終的に暫定税率廃止に至る予定です。
隔週で約5円ずつ引き下げ
現在は、政府から燃料油元売りに対してガソリン補助金が支給されています。現状の支給額は、ガソリン1Lあたり10円です。
11月13日からは、2週間に一度ずつガソリン1Lあたり約5円の補助金が追加され、12月11日に暫定税率と同額の25.1円/Lの支給額となる予定です。
- 11月13日(木)~:補助金 約15円/L
- 11月27日(木)~:補助金 約20円/L
- 12月11日(木)~:補助金 25.1円/L
暫定税率廃止とともに補助金も撤廃
現状の予定では、12月11日~12月30日にかけて、1Lあたり25.1円/Lの補助金が維持されます。そして、12月31日に暫定税率が廃止されます。ガソリン補助金も、同日に撤廃されます。
暫定税率廃止後のガソリン代はいくら?
ガソリン税に含まれる暫定税率は25.1円/Lですが、ここには消費税(10%)もかかっており、双方を合わせた引き下げ効果は27.6円です。
ただし、2025年11月3日現在は10円/Lの補助金が支給されており、これは暫定税率廃止とともに撤廃されます。そのため、11月3日現在と比べた場合のガソリン価格の引き下げ効果は、17.6円ほどの見込みです。
2025年10月17日時点のレギュラーガソリン全国平均価格は、補助金10円/L込みで173.5円/L、補助金なしでは183.5円/Lです。この価格を基準とした場合、暫定税率廃止時のガソリン価格は約156円/Lとなります。
財源確保の課題は残ったまま
暫定税率の廃止について、国民からは以前から前向きな声が多く聞かれていました。しかし、暫定税率を廃止すれば、国や地方は大幅な税収減となります。
この税収減を補うために、今後他の税金が増税されたり、新たな税金が導入されたりする可能性があります。
廃止で年間約1.5兆円の税収減。代替財源の議論は持ち越し
暫定税率による税収は年間1.5兆円といわれ、今後は廃止によってこの税収が失われます。
これまで、政府は暫定税率の廃止について「代替財源が見つかっていない」として踏み切れずにいました。今回の与野党協議でも代替財源に関する議論は持ち越され、年末までに結論を得る方向となりました。
また、道路インフラ整備のための安定財源の確保についても、2026年末までに結論を出す方針です。
自動車関係諸税見直しは一旦見送り
今回は結論が先送りされた代替財源の議論ですが、6党の合意文書には、今後見直しを検討する項目として以下の2つが記載されました。
- 法人税の租税特別措置
- 極めて高い所得の負担
自民党が事前に作成していた合意原案には、上記以外に自動車関連諸税の見直しについても記載されていました。しかし、与野党間の合意文書では、記載が見送られました。
自動車関連諸税の増税もあり得る
政府としては、今後支出削減や前述の財源見直しによって暫定税率廃止後の財政安定化を図る方針です。しかし、これらで暫定税率廃止分の税収を補えるかどうかは不明です。
また、これまで暫定税率による税収は道路財源としても使われてきました。道路インフラの老朽化が進んでいる中、その整備に向けて自動車関連諸税が見直される可能性もゼロではありません。
今後も車の所有にはさまざまな税金がかかると思われます。物価高で家計が気になる場合は、車両価格や維持費を意識した車選びを目指しましょう。
ガソリン税や暫定税率に関するQ&A
Q. ガソリン税の暫定税率とは?
ガソリン税の暫定税率とは、本来のガソリン税に上乗せで設定されてきた、時限的な税率です。ガソリン税は本来1Lあたり28.7円ですが、暫定税率により25.1円が上乗せされ、これまで1Lあたり53.8円が課税されてきました。しかし、2025年12月末で廃止となる見込みです。
Q. なぜ暫定税率が導入されたの?
暫定税率は、オイルショックによるエネルギー価格の高騰と道路特定財源の不足から、1974年に導入されました。
導入当初は「2年」と期限が定められていましたが、その後繰り返し延長され、2025年まで課税が続いてきました。
Q. 暫定税率廃止のメリットは?
暫定税率廃止の主なメリットは、以下の通りです。
- 家計の負担が軽減される
- 輸送費等が下がり、物価下落も期待できる
- 観光業が活性化されるなど
家計の負担に関しては、2人以上の世帯で概ね年間「7,000円~1万円ほど節約できる」としている調査もあります。
Q. 暫定税率廃止のデメリットは?
暫定税率を廃止すると、以下のようなデメリットが考えられます。
- 国の財政が悪化する可能性がある
- 地方財政もひっ迫する可能性がある
- 他の税金が増える可能性がある
- 脱炭素社会の実現から後退する
特に、財政に関しては暫定税率の税収減に代わる財源がないと、国の経済状況がひっ迫しかねません。そうなれば、国債の格付けダウン(日本財政に対する信頼力の低下)や円安の進行といったリスクが考えられます。
また、ガソリン価格の負担が減って人々の自動車利用が盛んになり、CO2の排出量が増える可能性も高いです。
Q. ガソリン170円の税金はいくら?
2025年11月現在、ガソリン価格を170円/Lとした場合、その内訳は以下の通りです。
- ガソリン本体価格:97.95円
- 石油税:2.80円
- ガソリン税:53.8円
- 消費税:15.45円
つまり、170円のうち72.05円は税金であり、税金が占める割合は42%です。また、ガソリン税53.8円のうち25.1円は暫定税率による上乗せ分です。
今後、暫定税率の廃止によって25.1円+暫定税率分の消費税(約2.5円)がカットされます。
Q. ガソリン税が二重課税って本当?
ガソリン価格には、ガソリン本体価格にガソリン税や石油税が加わり、その合計額に消費税(10%)がかけられています。このガソリン税等に消費税をかけている状態が「二重課税である」と指摘されています。
詳しくは、以下の記事を参照してください。