政府がマイナンバーカードと免許証を一体化する「マイナ免許証」の運用開始日を発表しました。マイナ免許証の導入で何が変わるのか、メリット・デメリットや費用、切り替え方などについて分かりやすく解説します。
- マイナ免許証の導入が2025年3月24日に
- マイナ免許証の導入で何が変わる?
- マイナ免許証、運転免許証の取得・更新費用はいくら?
- マイナ免許証のメリット4つ
- マイナ免許証のデメリット4つ
- マイナ免許証に関するQ&A
- 自動車関連の政策は他にも
マイナ免許証の導入が2025年3月24日に
マイナンバーカード(以下マイナカード)と免許証を一体化する通称「マイナ免許証」。
2024年10月29日、政府はこのマイナ免許証について「2025年3月24日より運用を開始する」と発表しました。
マイナ免許証の取得は任意
2025年3月24日に導入されるマイナ免許証ですが、マイナカードと免許証の一体化は任意です。
制度導入後、ドライバーには以下の3つの選択肢があります。
- 情報を紐付けせず、従来の免許証を使用
- 一体化して従来の免許証を破棄
- 情報を紐付けし、従来の免許証も保持
それぞれの選択肢には、メリット・デメリットがあります。詳しくは次章以降でご紹介します。
マイナ免許証の導入で何が変わる?
マイナ免許証の導入によって変わる点は、主に以下の3点です。
- 免許証の新規取得・更新費用が変わる
- 免許更新の講習スタイルが変わる
- 一部手続きの方法が変わる
従来の免許証のみを持ち続ける場合、変わるのは取得・更新費用のみです。
一方、マイナ免許証を持つと免許の更新講習をオンラインで受けられるようになったり、一部手続きが簡略化できるようになったりします。
2023年発表の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」で、当時の政府は①非対面での本人確認手法はマイナカードに原則一本化する、②対面の本人確認でもマイナカードの利用を推進する方針を記載。
いずれ免許証での本人確認が廃止になる可能性もゼロではありません。
※参考:デジタル庁「デジタル社会の実現に向けた重点計画」
マイナ免許証、運転免許証の取得・更新費用はいくら?
マイナ免許証導入後、免許証の新規取得・更新にかかる手数料は以下のように変わります。従来の免許証の取得・更新費用は現在より高く、マイナ免許証は安く設定されています。
新規取得手数料 | 更新手数料 | |
---|---|---|
現行制度 ※参考 | 2,050円 | 2,500円 |
①従来の免許証のみ | 2,350円 | 2,850円 |
②マイナ免許証のみ | 1,550円 | 2,100円 |
③従来の免許証 +マイナ免許証 |
2,450円 | 2,950円 |
※新規取得の際は試験手数料、更新の際は講習手数料が以下の手数料と別にかかります。
マイナ免許証のメリット4つ
免許証とマイナカードを一体化させると、以下のようなメリットを得られます。
メリット①取得・更新費用が安い
前述の通り、マイナ免許証は従来の免許証より取得・更新手数料が安いです。従来の免許証のみ持つ場合とマイナ免許証のみ持つ場合では、更新手数料が750円変わります。
メリット②変更手続きがワンストップ
引越しや婚姻による住所・氏名の変更があった場合、これまでは免許証とマイナカードそれぞれに変更手続きが必要でした。
マイナ免許証であれば、変更手続きは市町村役場での手続きで完結できます。警察署や運転免許センターに赴く必要はありません。
メリット③従来の免許証の携帯が不要
マイナ免許証があれば、現在の免許証の携帯は不要となります。
マイナカードの携帯は必要ですが、2024年12月2日に現行の健康保険証が廃止される(※)ため、マイナカードを普段から持ち歩く人が増えるでしょう。
※有効期間内の保険証は、この日から最長1年間有効
メリット④更新講習のオンライン対応
マイナ免許証を取得すると、優良運転者(ゴールド免許取得者)及び一般運転者は、更新講習をオンラインで受講できます。
講習手数料も200円(現在の優良運転者で500円)と安いです。
マイナ免許証のデメリット4つ
マイナカードと言えば、健康保険証の問題で不安を覚える人も多いです。マイナ免許証でも、以下の4つのデメリットが考えられます。
デメリット①情報漏えいや悪用のリスク
多くの人にとって最も不安なのが、自治体側による情報の紐付けミスや、紛失・盗難による情報漏えいでしょう。
紐付けのミスは、本人では防ぎようがありません。また、マイナカードを普段から持ち歩けば、紛失や盗難のリスクも高くなります。重要な個人情報だけに、悪用も心配です。
デメリット②紛失すると長く運転できない
マイナカードの再発行には、概ね1ヶ月半かかります。そのため、マイナ免許証を紛失した場合などには、長期間にわたり運転できなくなる可能性があります。
デメリット③併用なら2つとも更新が必要
マイナ免許証と従来の免許証の双方を所持する場合は、それぞれについて更新手続きが必要です。手続き方法の詳細は明らかになっていませんが、併用の場合は従来より手間が増えると認識しておきましょう。
デメリット④免許証の有効期限を確認しにくい
マイナ免許証には、マイナカードの有効期限は記載されるものの、運転免許証の有効期限が記載されません。免許更新の時期には通知ハガキが届きますが、引越しなどで住所変更を忘れれば免許失効につながる可能性もあります。
現在は、免許証の情報を読み取るアプリの開発も進んでいるようです。しかし、少なくともアプリでの確認が必要です。
マイナ免許証に関するQ&A
Q. マイナ免許証の取得は強制なの?
マイナ免許証の取得は任意です。従来の免許証だけ持ち続けることも可能であり「マイナカードを急ぎ作らなければいけない」という訳ではありません。
Q. マイナ免許証に切り替える方法は?
すでに免許証を持っている人は、運転免許センターやシステムが整備された警察署で「マイナ免許証」を作成できます。
必要なものは取得済みの運転免許証とマイナカードです。また、新規取得や更新時以外にマイナ免許証を発行する場合は1,500円の手数料がかかります。
Q. マイナ免許証に記録される情報は?
マイナ免許証の取得手続きを行うと、マイナカードのICチップに以下の情報が記録されます。
- 免許証番号
- 免許証の有効期限
- 免許の種類
- AT車限定や眼鏡などの条件
- 顔写真の情報
自動車関連の政策は他にも
ガソリン補助金の引き下げや走行距離税の検討、ガソリン車やディーゼル車の廃止など、政府が実施・検討している自動車関連の政策は他にも多数あります。以下の記事もぜひ参考にしてください。