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「気になるくるま」第10回 日産 ローレル 初代C30型(1968)


ひとことでくるまと言っても、誰にも知られていないようなマイナーなものから、みんなの憧れのようなスーパーカーまで、実に様々です。そんなクルマたちの中から、マニアックカー・マニアでもある遠藤イヅルが、独断と偏見で選び出したくるまたちをイラストとともにみなさんにお送りいたします。第10回は、いまや消えつつある「ハイソカー」のはしりである、日産 ローレル 初代C30型をお送りいたします。


◆高級感を追い求めたセダンが輝いていた時代


大きな施設の駐車場をあらためて見渡すと、背の高いミニバンや乗用車とRVのいいとこ取りであるSUVの姿がとても多いことに気がつきます。20年前にはセダン、そしてステーションワゴンが主流だったので、時代ともにクルマのニーズも変化したことを実感じます。

かつては主流であったセダンの中でも、2リットルエンジンで5ナンバーフルサイズ(全長4.7m×全幅1.7m以内)前後で低めのルーフを持ち、高級感ある内装と豊富な装備を持っていた「ハイソカー」と呼ばれたジャンルは、1980年代後半から1990年代にかけて、各メーカーでの量販車種といってもよいくらいに売れていました。

とくにトヨタでプラットフォームを共用するマークII、チェイサー、クレスタの3兄弟、そのライバルである日産 スカイライン、ローレル、セフィーロなどは、各メーカーの販売ランクの上位を占めていました。マークIIに至ってはカローラ、クラウンと並んで月間ランクのトップ争いをしていたほどなのです。

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社会現象にまでなった「ハイソカー」、元祖は売れに売れたトヨタ マークII・・・ではなく、実は日産が1968年に「ハイオーナーカー」として送り出した初代ローレルでした。ブルーバードより上級の車種で、セドリックとグロリアのような「法人需要向けっぽくない」高級車として企画されたのです。高度成長期の中マイカーの保有が進み、マイカーもいよいよ大衆車から上級車種への展開が始まったということになります。


◆プリンス自動車直系のスカイラインと共用設計


copyright_izuru_endo_2017_k010_laurel_1st_1280_748(クリックで拡大)初代ローレルは、プリンス設計の直列4気筒SOHC1.8リットルエンジンやサスペンションなど、プリンス自動車が原設計を行ったC10型スカイライン(いわゆるハコスカ)と部品を共用されていたため、生産もスカイラインを生み出す村山工場が担当しました。1970年には2リットルのG20型エンジンを搭載した2ドアハードトップを追加、バリエーションを拡大するとともに、より高級路線へとシフトしています。

1972年にはボディの大型化および初の直6エンジン搭載を果たした2代目のC130型(愛称はブタケツ)にフルモデルチェンジ。スカイラインの完全な兄弟車となるとともに、車格的にセドリックとグロリアよりも一つ下、というポジションを明確にします。最終的にローレルは1997年に登場し2003年に生産終了となった8代目でその歴史を閉じますが、この時期はまさにミニバン時代の幕開けを体感させる時代と重なっています。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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