自動車販売店の少々過剰気味な接客が苦手な方は、車の自動販売機があることをご存知でしょうか。米国の中古車専門ネット通販会社「Carvanaカーバナ」が納車するために建設したのは、なんと8階建ての巨大な自動販売機。カーバナ社が展開している車の自動販売機は、ついに4拠点目となりました。 今回の新築物件を含めて、その中の3件はテキサス州に集中しています。

クルマの自販機、その名も'The Carvana Car Vending Machine'


「車の自動販売機?なにそれ、使ってみたい!」 と思った方も多いのではないでしょうか。

車の購入方法は、ここ20年間大きな変化がありませんが、カーバナ社は車の自動販売機のように画期的な販売手法を打ち出しています。 米国の中でもテキサス州では、「とにかくビッグサイズのほうが人気がある」と言われていますが、それは自動販売機にもあてはまるようです。
カーバナ社は、今回で4拠点目となる自動販売機をテキサス州のサンアントニオにオープンしました。8階建ての建物の外観はスタイリッシュなガラス張りで、収納スペースは合計30台、入庫と出庫に使われる自動搬送機を4基設置していて、ヒューストンで既にオープンしている3件目とほぼ同じようです。
米国内に4箇所となったこの自動販売機は、2015年にテネシー州のナッシュビルで1号機がオープンし、約1年後、テキサス州のオースティンに2号機をオープンしています。

セールスマンによる営業を避けるためのオンライン接客


クルマを買う人にとって、営業マンと顔を合わせなくて良いというのが最大の魅力です。ただ、それで本当に無事にクルマを受け取ることができるのか?という不安を解消するために、オンラインサービスによるサポートがあります。

カーバナ社の創業社長であるエリー・ガルシア氏は、「弊社がサンアントニオ付近の営業圏内で無料納車サービスを始めて約1年半、車を購入頂いた方々から好評を頂いております。 私どもは、車を自動販売機で受け取るという素敵な体験を、主要な都市でも順次展開していきます。 忘れられない思い出作りをお手伝いして、サンアントニオ地域のお客様と絆が深まることを心待ちにしています。」と話しています。

納車(購入した車の受け取り)の役割を担う自動販売機


他の地域同様に、サンアントニオに設置した自動販売機もカーバナ社のウェブサイトとつながっています。 ユーザーはこのウェブサイトで在庫や支払いプランを検討するだけでなく、オンラインで成約手続きまで済ませて、車を自宅前まで配送してもらうか、自動販売機で受け取るか、好きな方を選ぶことができます。
つまり、一般的にイメージする「自動販売機」のように陳列されている商品の中から欲しいものを選んで購入するというよりは、購入する車種選定などのステップや手続きはオンライン上で済ませ、納車(車の受け取り)をこの自動販売機を通じて行う、という感じでしょうか。

なお、自動販売機で受け取りたい場合は、現地まで行ってカーバナの大きな特製コインを受け取り、スロットに投入します。 (残念ながらスロットを揺さぶっても何も出てきません。)

ところでカーバナ社ってそもそも何の会社?


カーバナ社は、2013年にアリゾナ州で創業したIT系ベンチャー企業。今でこそネット上でクルマを売買するサービスは珍しくありませんが、カーバナ社こそが世界で初めてクルマのECを初めた会社だったのです。

また、カーバナ社は中古車の買い取りも行っており、ガーディアン・エンジェルスをもじった「カーディアン・エンジェル」という名前の車買取査定サイトを運営しています。
車を売りたいユーザーが車両情報入力すると、カーバナ社独自のアルゴリズムによって2分以内に査定結果が表示されとともに、査定価格の根拠を正確に伝えるビデオメッセージも送られてきます。

カーバナのガルシア社長は以前のインタビューで次のように語っています。「車の価値を知ること以上に大切なのは、その価値の理由を知ることです。 なぜなら知識を持つことは、公正な取引を実現するための強力な手立てだからです。」
「従来の取引ではディーラーが一方的に査定額を告げるだけで、消費者には項目ごとに積み上げた適正価格が開示されていませんでした。 カーバナ社の使命は、車の売買を消費者にとってより良いものにすることです。 効率的で使いやすく使うのが楽しくて魅力的で、全てを開示する公正な査定ツールを他に先駆けて立ち上げたことを誇らしく思っています。」

カーバナ社のウェブサイトにはこのようメッセージが書かれています。

Buy Used Cars Online & Skip The Dealership
この斬新な取り組みがどこまで広がりを見せるか、カーバナ社の今後の展開に注目が集まります。