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一枚の名車絵 第11回 ロータス エスプリ S1 (LOTUS ESPRIT S1)


1952年の創業以来世界各地のスポーツカーファン、エンスージアストを熱狂させるクルマを60年以上にわたって送り続けてきた英国の「ロータス」。現在はマレーシアの自動車メーカー「プロトン」の傘下にあるものの、ロータスらしさは失われることがありません。


◆スーパーカー世代を熱狂させたボディデザイン


そのロータスらしさ、とは、ライトウェイト・スポーツカーにあり、と言っても過言ではないでしょう。セブン、エラン、ヨーロッパ…。アルミやFRPによる軽い車体に他のメーカーから供給されたエンジンを搭載する方法で作られたこれらスポーツカーは、いまなお名車として語り継がれ、セブンに至っては製造権をロータスの代理店だった「ケーターハム」が1973年に譲り受けて以来スーパーセブンS3(シリーズ3)の姿を大きく変えないまま現在も尚製造を継続しています。

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ロータスにはそのいっぽう、「スーパーカー」というカテゴライズがされるクルマも存在します。そう、それは言うまでもなく、ウェッジシェイプとリトラクタブルライトでスーパーカー少年を熱狂させたあの「エスプリ」です。1975年にパリサロンで発表されたエスプリはヨーロッパの後継ではありましたが、全幅1.8mを超えるワイドボディ、ジウジアーロがデザインした「スーパーカー」なボディにより、ヨーロッパのライトウェイト・スポーツカーの性格よりはGTカー、スーパースポーツとしてのイメージが強調されています。この「高級GT路線」は、前年の1974年に出た2+2クーペ、「エリート」からその流れを見せていました。

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ボディのコンストラクションはヨーロッパ同様バックボーンフレームにFRPボディを載せ、ミッドにエンジンを搭載。そのエンジンは前述のエリート用のロータス製2リットルツインカム16V「907」ユニットです。GM/オペル/ボクスホールのエンジンをベースにし、160psを発生。シトロエンSM用の5段マニュアルミッションを介し、エスプリに最高速度222km/hを与えました。


◆96年にV8を搭載し21世紀まで進化を続けた


copyright_izuru_endo_2016_08_esprit_1280_569(クリックで拡大)北米市場などでの好評を受け、エスプリはその後内外装の変更を行い1978年にS2(シリーズ2)となり、1980年にはエンジンが2.2リットルになってS2.2といわれるモデルに発展。このとき2.2リットル+ターボで210psのパワーを誇ったエスプリ・ターボも追加されています。1981年にS3へ、1987年にはS3のままピーター・スティーブンスの手により外観を大きく変更、そして1993年、S4へと進化を続けて行きました。最終的には1996年、V8エンジンをも搭載。エスプリV8と呼ばれるこのモデルで、1975年の登場からようやく4気筒ではないユニットを手にいれ、名実共に「スーパーカー」となったのでした。

常に高級化と高性能化を繰り返して成長し続けたエスプリ。そのため、最初のモデル「S1」では、シンプルさがより強調されます。今回はエスプリの中から、元祖エスプリであるS1を描くこととしました。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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