<より精悍なデザインとなったフロントフェイスは好感度大! さらに、自動ブレーキであるトヨタセーフティセンスCを装備し安全性能を向上!>

トヨタプレミオ/アリオントヨタ は、国内で扱いやすいボディサイズである5ナンバー セダンのプレミオ /アリオン をマイナーチェンジし発売を開始した。

プレミオ/アリオンの特徴は、ほぼ国内専用車であることだ。ルーツはコロナやカリーナといったモデル。コロナとカリーナは、2001年に車名が消えプレミオ/アリオンが、そのクラスを引き継いだ。そのため、ボディサイズは全長4,595×全幅1,695×全高1,475㎜と5ナンバーサイズ内に収まっている。狭い道が多い日本の道路では、いわゆる5ナンバーサイズの全幅1,695㎜というサイズが駐車場などインフラ設備のベースとなっていた。そんなこともあり、全幅が5ナンバーサイズに収まっているプレミオ/アリオンの使い勝手はよい。また、狭い道や駐車場での取り回しの良さの指標となる最小回転半径は5.3m。小回りが得意というレベルではないが、まぁ、ギリギリのラインといえる数値になっている。

そんなプレミオ/アリオンがマイナーチェンジしたわけだが、現行モデルのデビューは2007年。すでに、9年が経過し10年目に突入している。本来ならば、とっくにフルモデルチェンジされていてもおかしくない状況だ。9年も経過した上に、さらにマイナーチェンジし延命させるには理由がある。それは、販売不振が理由。プレミオ/アリオンというクルマがダメというより、マーケットが消滅しかけているからだ。どちらかというと、トヨタのセールスパワーで生き延びている状況で、このクラスのセダンは、もはやトヨタの力で死守されているといっていいほどだ。日本専用車ということもあり、販売台数も見込めず、さらにこのクラス成長も期待できないためフルモデルチェンジができない。

ただ、別の考え方もある。燃費性能や走行性能、そして安全性能など、もはや完全に一昔前のクルマなので、競争力はない。そうしたクルマをいつまでも売っていてはイメージが悪くなる一方だ。日本発のコンパクトセダンとして、欧州やアジアに向けて売り出すくらいの戦略も必要だろう。

トヨタプレミオ/アリオンプレミオ/アリオンに搭載されるエンジンは、1.5Lと1.8L、そして2.0Lのガソリン車で、3タイプが用意されている。ハイブリッド車 の設定はない。今回のマイナーチェンジでは、パワーユニットは進化はない。2.0Lの出力とトルクは152ps&193Nmで燃費は15.6㎞/L。1.8Lは、143ps&173Nmで燃費は16.4㎞/L。1.5Lは、109ps&136Nmで燃費は19.2㎞/Lとなっている。

一世代前のエンジンを搭載していることから、プレミオ/アリオンは燃費値では最近のモデルと比べると勝負にならない。1.8Lや2.0Lエンジン車には、未だアイドリングストップ機能さえ装備されていない。1.5L車のみが、なんとかエコカー減税に対応しているほど。

こうしたハードの弱点をなんとかするために、外観デザインは大幅に変更された。もはや、エンブレムさえ見なければ、これがプレミオ/アリオンか? と思うほどの変貌ぶりだ。従来のファミリーカー的で優しい顔つきだったものから、クラウンを連想させるような大きなグリル、ややツリ目のヘッドライトが装備された。衝突安全基準に対応することもあり、大胆なデザイン変更が可能になったという。この新フェイスは、精悍さや押し出し感もあり、ひとクラス上の上級セダンに負けない存在感が出た。

全般的に少し若々しくなった。これには訳がある。クラウンがフルモデルチェンジしたときに、超大型のグリルを装備し迫力あるフェイスとした。その結果、大ヒット。さらに、高齢者が多かったクラウンユーザーだけでなく、従来よりやや若い新規顧客層が増えた。デザイン変更により、顧客層の若返りができたのだ。このデザインによる顧客の若返り作戦は、カローラ系でも行われ成功している。

トヨタプレミオ/アリオンプレミオ/アリオンの顧客層は、60歳以上が非常に多い。もはや、おじいちゃん層ともいえる状況。こうした顧客層は、年を重ねるほどに減っていき、プレミオ/アリオンの保有台数はドンドンと少なくなる。放置しておけば、近い将来いずれなくなる顧客層だ。そうなると、確実にプレミオ/アリオンはトヨタのラインアップから消えることが予想でき、それを回避するためのデザインともいえる。

インテリアも随分と変更され、高級感をよりアップした印象だ。質感も高い。インパネは、センタークラスターからシフトレバー付近までの形状を変更し、一体感のあるシャープなデザインとされた。メーターは一新された。多彩な情報を高解像度で表示する4.2インチカラーTFT液晶を採用。また、照明色・メーター指針を白に統一し、視認性に加え高級感もプラスした。

内装色は、本革シートにブラウンを採用。より上質で落ち着いた大人のセダンらしいインテリアになった。ファブリックシートは、アイボリーから明るいフラクセンに変更、ブラックに統一した室内とのコントラストで、メリハリのあるモダンなテイストにしながら、より広々とした雰囲気にまとめられている。

機能面で進化したのは安全装備だ。ようやく、トヨタの自動ブレーキであるトヨタ セーフティセンスCがエントリーグレードを除き標準装備化された。すべてのグレードに標準装備化されていない部分が、いかにもトヨタらしい設定だ。

トヨタプレミオ/アリオンしかし、自動ブレーキであるトヨタ セーフティセンスCは、歩行者検知の自動ブレーキではなく、もはや遅れている安全装備。トヨタによると、基本設計が古いため歩行者検知式自動ブレーキを装備するには多大な投資が必要だったからと説明する。ならば、フルモデルチェンジし、顧客や歩行者を守るため最新の安全装備である歩行者検知式の自動ブレーキのトヨタ セーフティセンスPを装備すべきなのだが、前述の通り、売れていないからできないとのことだ。他社はドンドン歩行者検知式の自動ブレーキを増やしているのに、トヨタは非常に微妙な選択をしている。それでも、インテリジェントクリアランスソナーを備えたことで、アクセルとブレーキの踏み間違えにも対応した。

プレミオ/アリオンの顧客層のほとんどが高齢者ということを考えると、アクセルとブレーキ操作を誤り事故を起こす可能性が高い。そうしたことを考慮するのであれば、こうした機能はメリットがある。ただし、標準装備化しなければ意味が無い。「俺はそんなミスをしない」なんて言って、こうした装備を選ばないドライバーほど危ないからだ。そこは、自動車メーカー側が「交通死亡事故ゼロ」を目指すとしているのだから、社会貢献として積極的に標準装備化してほしい部分だ。

また、安全面で微妙なのがサイドエアバッグ&カーテンエアバッグ類の有無だ。ひとクラス下となるカローラ系が標準装備化されているのに、プレミオ/アリオンには、サイドエアバッグ&カーテンエアバッグは、すべてオプション装備。利益が少ないということもあり、オプション化して利益を得ようというスタンスだ。こうした部分は、カローラ系の装備を見習ってほしい。プレミオ/アリオンを購入する場合は、忘れずにサイドエアバッグ&カーテンエアバッグのオプションを選択したい。価格は64,800円だ。

トヨタ プレミオ/アリオンの価格は高価だ。プレミオが1,908,655円から。アリオンが1,897,855円からとなった。両車とも安いクルマではなく、最上級グレードになると、なんと270万円弱という価格帯になる。この価格帯は、ミニバン のノア &ヴォクシー やプリウス まで買える。270万円出すなら、歩行者検知式の自動ブレーキが付いたプリウスを選んだ方が、すべての面でよい。

どうしてもプレミオ/アリオンというのであれば、おすすめは、比較的燃費が良い1.5L車だ。グレードでは、高級車らしい充実装備のプレミオF“EXパッケージ”2,306,291円とアリオンA15“G-plusパッケージ”2,269,963円だ。夜間より個性的なフェイスとなるBi-Beam LEDヘッドランプやパワーシートなども標準装備化されているので、満足度は高い。

■トヨタ プレミオ価格

<2WD>
・F 1,908,655円 “Lパッケージ” 2,097,163円 “EXパッケージ”2,306,291円
・X 2,047,091円 “Lパッケージ” 2,259,163円 “EXパッケージ” 2,528,182円
・G 2,423,127円 “EXパッケージ” 2,686,255円
<4WD>
・X 2,241,491円 “Lパッケージ” 2,453,563円 “EXパッケージ” 2,711,782円

■トヨタ アリオン価格
<2WD>
・A15 1,897,855円 “Gパッケージ” 2,086,363円 “G-plusパッケージ” 2,269,963円
・A18 2,032,363円 “Gパッケージ” 2,239,527円 “G-plusパッケージ” 2,491,855円
・A20 2,404,473円 “G-plusパッケージ” 2,650,909円
<4WD>
・A18 2,226,763円 “Gパッケージ” 2,433,927円 “G-plusパッケージ” 2,675,455円