パッソ、フルモデルチェンジで進化した1.0Lエンジンの燃費は28.0㎞/Lへ!


トヨタパッソ パッソMODA

トヨタは、現行のトヨタブランド車で最も小さなコンパクトカーであるパッソをフルモデルチェンジし発売を開始した。全長約3mというマイクロカーのiQがラインアップから姿を消したこともあり、パッソはトヨタブランド車の中で軽自動車を除き最も小さなモデルとなっている。

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従来モデル同様に、トヨタ パッソは、ダイハツ ブーンと姉妹車関係にあるコンパクトカー。従来モデルは、トヨタとダイハツの共同開発というものだったが、今回からダイハツが企画・開発から生産までの全てを担当した。

より上質な新グレードMODAは、ダウンサイザーの受け皿?

約6年ぶりにフルモデルチェンジした新型トヨタ パッソは、2つのボディデザインが用意された。ベーシックなXグレードに加え、MODAと呼ばれる新グレードが加わった。MODAは、フェイスまわりのデザインも異なる。基本的に、Xに対しても上級グレード車という位置付けになっていて、より上質感あるデザインや装備が用意されたグレードになる。高齢化社会に伴い、トヨタ顧客の多くが上級車からダウンサイジングしている傾向がある。上級車に乗る顧客は、コンパクトカーにも高い質感を求める傾向があり、MODAはこうしたダウンサイザーの受け皿となっている。また、顧客ニーズの多様化にも対応。より個性的で上質なコンパクトカーが欲しい、というニーズにも対応している。

新型パッソのデザインは、女性的から男性的へ


新型パッソのデザインは、随分イメージが変わった。売れ筋と予想されるXグレード系は、先代のいかにも女性向けでカワイイ系デザインから、全体的にキリリとしたヘッドライトに、張りのあるたくましいフェンダーラインなど、かなり男性的になった。従来のパッソでは、あまりに女性をターゲットにしたデザインだったため、男性ユーザーには少々抵抗があったのだろう。ダイハツのデザインは、こうした傾向が強く、軽自動車のムーヴもいかにも女性的なデザインから男性でも抵抗なく乗れるシャープでスポーティなものへ変更されているくらいだ。

MODAのデザインは中性的

トヨタ パッソそして、新グレードのMODAは中性的だ。ミニに共通するような上質感と愛嬌のあるフェイスが特徴。MODA専用のフロントグリルは、サテンメッキを施した質感をアップ。さらに、LEDのロー&ハイビームとクリアランスランプを組み合わせたBi-Beam LEDヘッドランプを装備。LEDクリアランスランプは、リング状に点灯することで夜間でも存在感を主張する。

プラットフォーム改良で後席スペースはクラストップレベルの広さに


新型パッソXのボディサイズは、全長3,650×全幅1,665×全高1,525mm。先代パッソと比べると全高が10mmほど低くなっている程度だ。ボディサイズは、ほぼ同じだが、クルマの土台となるプラットフォームは大幅に改良された。

大きな改良点は、ホイールベースが50㎜も伸ばされている点だ。ホイールベースの延長により、室内スペースは拡大。前後乗員間距離は940㎜となり、先代に比べ+75㎜となり、後席スペースは、クラストップレベルの広さとなった。

取り回しの良さは軽自動車並み

ホイールベースを伸ばすと、最小回転半径が基本的に大きくなる。最小回転は、狭いところでの取り回しの良さをはかる指標のひとつ。新型パッソでは、ホイールベースを伸ばしながらも先代の14インチタイヤ装着車より0.1m最小回転半径を小さくし4.6mとした。この数値は、軽自動車並み。ダイハツ ミライースは、さらに優れていて4.4m。スズキ アルトとは4.6mと同じ。コンパクトカーだが、軽自動車並みの扱いやすさをもつ。

パッソのインテリア

トヨタ パッソ新型パッソのインテリアは、限られたスペースをいかに広く見せるかというデザインが採用されている。インパネは、ワイド感を強調する水平基調タイプ。MODAには、専用アクセントカラー(マゼンタ)をオーディオクラスター、サイドレジスターリング、シート表皮などに施し、上質でオシャレな空間としている。

エンジンは、従来まであった1.3Lは廃止され1.0Lのみという割り切った設定となった。搭載されている直3 1.0Lの1KR-FE型エンジンは、比較的新しい低燃費エンジンだったが、今回さらに進化し2WD車の燃費は28.0km/Lとなった。4WD車には、ようやくアイドリングストップ機能が採用され24.4km/Lを達成している。もちろん、エコカー減税の対象だ。

パッソの安全装備


自動ブレーキなどを含む先進安全装備は、やや物足りない状況。自動ブレーキ関連は、軽自動車と同じスマートアシストIIが採用されている。スマートアシストIIは、衝突警報機能(対車両・対歩行者)、衝突回避支援ブレーキ機能(対車両)、誤発進抑制制御機能(前方・後方)、車線逸脱警報機能、先行車発進お知らせ機能の5つの機能でドライバーをサポートする。対歩行者に関しては、警報を発するものの自動ブレーキは作動しない。もはや、軽自動車のスズキ スペーシアなどには、歩行者検知式自動ブレーキであるデュアルカメラブレーキサポートが用意されている時代だ。高齢者による操作ミスなどの事故は多く、とくに、高齢者がダウンサイジングして乗るクルマ、というのであれば、誤発進抑制だけでなく、歩行者との衝突を避ける機能の標準装備かも非常に重要になる。交通死亡事故ゼロを目指すというのであれば、こうした装備を早急に全車標準装備化してほしいところだ。とくに、トヨタのように、販売台数の多いメーカーは社会的な責任も大きい。

選ぶならスマートアシストII装備のX LパッケージS以上に


さて、新型トヨタ パッソの選び方。排気量はすべて1.0Lなので、排気量の選択で悩む必要はない。グレード選びでは、まずデザインが違うXグレード系にするか、MODAにするかという選択になる。どちらのデザインが好きにで選ぶことになるが、MODAはやや高価であるということが選択時のポイントだ。また、より高級感が欲しい、より個性的なモデルというのであればMODAという選択になる。

Xグレードの価格は、1,150,200円とリーズナブル。まさに、生活のための足として使うにはいいが、少々装備が貧弱だ。X Sも同様で、このあたりは法人やレンタカー向けといった印象。そうなると、X LパッケージS(1,317,600円)以上がおすすめとなる。注意したいのは、X Lパッケージだとやや価格が安いのだが自動ブレーキのスマートアシストIIが装備されていない。今時、自動ブレーキの無いグレードは選びにくい。中古車マーケットでも、自動ブレーキの人気は高いので、自動ブレーキ無しのグレードを選ぶとリセールバリュー面でも不利になる傾向が強い。

トヨタ パッソそして、MODAは上質さが魅力なグレードなので、SかGパッケージがお勧めだ。それ以外だと、自動ブレーキのスマートアシストIIが装備されていない。上級・上質というグレードなら、自動ブレーキくらい標準装備化してほしいものだ。Gパッケージになると、14インチのアルミホイールやLEDフォグランプ、オートライトなどが装備されている。ここまでくれば、上級車からのダウンサイザーも十分納得できる装備と質感になる。ただし、MODA Gパッケージの価格は1,657,800円と高価になる。この価格は、少しサイズが大きくなるヴィッツなどの中上級グレード並みの価格帯だ。

ただ、このクラスのコンパクトカーは、ボディサイズが小さいことから軽自動車と競合するケースが多い。価格的にも、1.0L車でありながら、軽自動車ハイト系並みの価格になっている。ところが、軽自動車のスーパーハイト系になると、新型パッソより高額になるケースが多い。パッソが5人乗りなのに対して、軽自動車は4人乗りであることが大きな違い。居住性面や積載性では、軽自動車も非常に優れていたりする。こうなると、あえてパッソを選ぶ理由が欲しいところだが、軽自動車は税制面で優遇されていることもあり・・・。非常に難しいクラスとなっている。

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価格


トヨタ パッソの価格は以下の通り。

2WD(FF)

・X 1,150,200円
・X“S” 1,215,000円
・X“L package” 1,252,800円
・X“L package・S” 1,317,600円
・X“G package” 1,447,200円
・MODA 1,431,000円
・MODA“S” 1,495,800円
・MODA“G package” 1,657,80円

4WD

・X 1,323,000円
・X“S” 1,387,800円
・X“L package” 1,425,600円
・X“L package・S” 1,490,400円
・X“G package” 1,620,000円
・MODA 1,603,800円
・MODA“S” 1,668,600円
・MODA“G package” 1,830,600円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。