
<燃費のカローラか? それとも、パワフルな走りのグレイスか? >

グレイスは、フィットをベースとした作られたセダンだ。今までは、フィットアリアと呼ばれフィットの派生車であることを明確にしていた。しかし、今回のモデルから、フィットの名は外され、グレイスとまったく異なる車名に変更されている。また、フィットベースのワゴン車であるフィット シャトルもシャトルとなりフィットの名前が外されている。どちらも、フィットの名前が無くなると同時に、フィットとは全く異なるデザインが採用され、独自性の高いモデルになった。
グレイスは、コンパクトな5ナンバーサイズでありながら、広い室内、そしてハイブリッドなので低燃費ということもあり、ダウンサイザーの受け皿として人気を得た。しかし、ハイブリッド車だけの設定のため価格は高価。売れ筋グレードEXの価格は221万円と、安価なクルマでない。当然、こうしたコンパクト セダンを選ぶ顧客の中には、価格重視の顧客や法人などもあり、ガソリン車の設定は必須ともいえるものだ。また、ライバルのカローラアクシオ には、ハイブリッド車の他に1.3Lと1.5Lと2タイプのガソリン車が用意されていることもあり、ガソリンエンジン搭載車の投入が急務だった。グレイスは、基本骨格がフィットなので、いつでもガソリン車の搭載は可能だ。そう考えると、ホンダはあえてガソリン車を遅らせて投入したようにもみえる。発売初期は利益の高いハイブリッド車をまず売りたい、新型車ラッシュで少しでも営業力の分散を避けたい、リコール問題でリソース不足になり、ガソリン車の開発がやや遅れたなど、色々な理由があったようだ。
そして、満を持して投入されたのが、今回のガソリン車だ。搭載されたエンジンは、1.5L直噴DOHC i-VTECエンジン。このパワーユニットは、パワフルさに定評がある。出力は、132ps&155Nmとなっていて、カローラアクシオの1.5Lが109ps&136Nmなので、その差は歴然。カローラアクシオより、余裕ある走りが可能だ。

グレイス ガソリンのグレード設定は、LXのみの1グレード設定。低速域での自動ブレーキとサイドエアバッグなどがセットになったあんしんパッケージは、オプション設定とやや腰が引けている。LEDヘッドライトもオプションだ。ただし、「プラズマクラスター技術搭載フルオートエアコンディショナー」や「リアエアコンアウトレット」、「Hondaスマートキーシステム」、「本革巻ステアリングホイール」、ドアの施錠・解錠に連動してドアミラーが自動で開閉する「オートリトラミラー」などは標準装備されていて、装備はそこそこ充実している。あんしんパッケージをオプションで選択すれば、十分な内容の装備と言える。
価格は、グレイスLXが175万円。カローラアクシオの最上級グレードGの価格が約181万円。カローラアクシオには、自動ブレーキのトヨタセーフティセンスCが標準装備なので、ほぼ同等の価格。自動ブレーキ関連では、30㎞/L以下の低速域でしか作動しないホンダのシティブレーキアクティブシステムより、80㎞/hまでの速度に対応するトヨタ セーフティセンスCの方が性能的に優れる。残念ながら、両車とも、歩行者検知はできない。
両車ともなかなか微妙なところが多い。ザックリとしたところでは、走りに余裕のあるグレイスか? 燃費のカローラアクシオか? と、いった部分がコンパクトセダン選びのポイントになりそうだ。なかなか難しい選択なので、両車ともじっくりと試乗してから決めるといいだろう。
■ホンダ グレイスLX価格:1,750,000円
グレイスのカタログ情報
- 平成26年12月(2014年12月)〜令和2年7月(2020年7月)
- 新車時価格
- 175.0万円〜265.0万円