フォルクスワーゲン トゥアレグ

<より高級感のあるデザインへ変更。自動ブレーキなどを装備し安全性能が向上させたマイナーチェンジ>

フォルクスワーゲンは、大型のSUVであり日本マーケットにおけるフラッグシップであるトゥアレグを4年ぶりにマイナーチェンジした。

まず、今回のマイナーチェンジでは、ラインアップが整理され3.6LのV6エンジンのみとなり、ハイブリッド車が姿を消した。トゥアレグは世界的なSUVブームに乗り2003年に初代モデルが日本に登場した。その後、ハイブリッドモデルも投入され、フォルクスワーゲンのフラッグシップとしての地位を確立したかのようにみえた。しかし、販売台数は思うように伸びない。フォルクスワーゲンは、ゴルフやポロといった小型車を得意としているメーカーだけに、当時1千万円近い価格が付いていたトゥアレグ ハイブリッドを購入してくれる既納先が多くなかったようだ。そのためか、今回は、V6 3.6Lで637万円からのモデルに絞り、他のプレミアムブランドより割安感を出している。

今回のマイナーチェンジでは、デザインも変更され高級感も上手く表現している。エクステリアは、最新のフォルクスワーゲンデザインである水平基調を強調したものとなった。シャープなデザインになったLEDポジションライト付きのバイキセノンヘッドライトが装着されて、キリッと引き締まった上品な顔となった。

インテリアは、フォルクスワーゲンの文法通り、無駄のないシンプルさを基本とした力強いデザインだ。トゥアレグV6のインパネの場合、シルバーメタリックのデコラティブパネルを装着しているが、トゥアレグV6 Upgrade Packageでは、高級感のあるウォールナット製のウッドデコラティブパネルを装着され、より高級感をアピールしている。

そして、注目したいのは安全装備の進化だ。30km/h未満での走行中に、自動的ブレーキを作動させて、前方障害物への衝突を軽減するシティエマージェンシーブレーキを含むプリクラッシュブレーキシステム“Front Assist Plus”と、追突された場合、時速10km/h 以下になるまで自動的にブレーキをかけ、追突による二次被害を軽減するマルチコリジョンブレーキが標準装備された。こうした自動ブレーキ関連のセンサーを使った前走車追従式のアダプティブクルーズコントロール“ACC”も標準装備されている。

さらに「Upgrade Package」には、65km/h以上での走行時に、フロントガラス上部にあるカメラが、ドライバーの意図しない車線逸脱を検知すると、ステアリングを振動させるなどしてドライバーに注意喚起するレーンディパーチャーワーニングシステム“Lane Assist”と、30km/h以下での走行時にリヤバンパーのセンサー(左右)が接近車両を検知すると、ドアミラーの専用インジケーターを点させ、車線変更時に危険を感知すると点滅させてドライバーに注意を促すレーンチェンジアシストシステム“Side Assist”が、さらに標準装備されている。

トゥアレグは、すでにモデル末期に入ってきたモデルだ。一般的には、モデル末期のモデルに最新の装備が装着されることは少ない。そうした傾向が強い中、フルモデルチェンジまで放置せずに、最新の安全装備を装着できるようにしたフォルクスワーゲンの安全思想は高く評価できる。

さて、トゥアレグの選び方。トゥアレグV6の価格は、6,370,000円。Upgrade Packageが6,860,000円となっている。価格差は49万円だ。大きな装備差は、レーンディパーチャーワーニングシステム、レーンチェンジアシストシステム、レザーコンフォートパワーシート、シートヒーター、ウッドデコラティブパネルなど。装備アップ相当の価格とはいえるが、このクラスの高級車なら、レーンディパーチャーワーニングシステム、レーンチェンジアシストシステムは標準装備とするのは当然だろう。やはり、安全装備は全グレードが同じで、レザーシートなどの豪華装備をオプションとするのが理想。600万円以上出して、基本的な安全装備が半分程度の価格のゴルフ以下では、高級車を買う顧客の期待を裏切ることにもなる。そう考えると、トゥアレグはUpgrade Packageを選びたい。

■フォルクスワーゲン トゥアレグ価格:V6 6,370,000円/Upgrade Package 6,860,000円