トヨタ プロボックス

<12年ぶりのマイナーチェンジ! 全車CVTとなり、低燃費性能&安全装備が向上!>

トヨタプロボックス/サクシードトヨタ は、商用バンであるプロボックス とサクシードをマイナーチェンジして発売を開始した。

トヨタ プロボックスとサクシードのデビューは2002年7月。商用車のモデルチェンジ期間は長いとはいえ、すでに12年が経過。そして、ようやくというべきかプロボックスとサクシードは、12年ぶりにマイナーチェンジが施された。こういった商用車のマーケットは、トヨタが圧倒的に強い。このクラスで、なんと63%もシェアを占めている。ところが、日産も徐々に商用モデルに力を入れ始め、最近では日産ADが燃費で上回っているなど、さすがのプロボックス/サクシードもやや古さが目立ってきた。

そうしたライバルの出現もあったりするのだが、しかし12年振りでもマイナーチェンジというのは驚きだ。さすがに、放置し過ぎた感じもあったのか、トヨタも今回のマイナーチェンジでは、限りなくフルモデルチェンジに近いほどの大幅改良し再びマーケットに送り出している。

まず、大きなところでは、なんとプラットフォームのフロント部を半分近くを刷新した。当然、サスペンションの構造も大幅に変更され最適化された。その結果、優れた操縦安定性と上質な乗り心地の高次元で両立。車両全体のロール剛性を高めたことにより、優れた緊急回避性能を実現している。プラットフォームの大きな変更により、ボディそのものが大きく進化し、それに合わせて足回りもグレードアップしたということになる。

そして、燃費で日産ADに負けていたことから、プロボックスの1.3L車には低燃費を誇る1NR-FEエンジンを新搭載され総じて低燃費化が施された。1.5L車は継続して1NZ-FEが搭載されている。組み合わされるミッションは、4ATから低燃費化に貢献するCVTに変更。この組み合わせで、クラストップの燃費性能を実現し、全車「エコカー減税」の対象としている。

ここまでやりながら、アイドリングストップ機能は装備されていない。多くの乗用車にも今時アイドリングストップ機能を装備しないトヨタらしい仕様だ。燃費は、1.3Lよりなぜか1.5Lの方が良く18.2㎞/L、1.3Lが17.6㎞/Lとなった。日産ADの1.5L FFが17.4㎞/Lなので、今まで負けていた燃費性能でも上回ることができた。ただし、商用車としての機動性の指標でもある最小回転半径は、プロボックスが4.9mに対して、ADは4.7m。小回り性能ではADが上回る。1.3L車以外には、ほぼすべてのグレードに4WD 車が設定されていて、積雪地域の顧客も幅広いグレードから選ぶことができるのはトヨタらしい配慮だ。

トヨタプロボックス/サクシードアイドリングストップ機能は装備されていなかったが、安全装備の向上は高く評価できる。横滑り防止装置(VSC)、TRCやヒルスタートアシストコントロールが全車標準装備となった。とくに、横滑り防止装置はロングライフ重視で硬く滑りやすいタイヤを使う商用バンにはありがたい装備だ。距離を多く走る商用車にとって、確実に事故の軽減に役立つ装備と言える。乗用車は、すでに標準装備化が法律で義務化されている。ライバル車となる日産AD には、オプションでも装備できない。車両価格は重要だが、商用車を運転する社員の安全を願う経営者なら、プロボックス/サクシードを選ぶべきだろう。

また、使い勝手面も大きく進化した。日々よく使うもの、必要なものを収納するスペースを運転席まわりに集約。携帯電話やスマートフォンのホルダーをはじめ、A4 のバインダーなどを置くトレイやビジネスバッグ専用のスペース、そして飲み物や弁当を置くテーブルなどを手の届くところで腰から上の高さに配置されている。限られた車内空間を効率よく使える設定になった。

長時間の運転には、シートが重要。疲れにくく快適な新型シートを採用ドライバーをフォロー。最新のシート骨格の採用をはじめ、座面やシートバックの形状を最適化して腰から背中へのフィット感を改善している。また、運転者の体格に合ったシートポジションを設定しやすくするシートスライド、シート上下の可動量を拡大するとともに、リクライニング可動量も76度まで拡大した。これだけ拡大してくれれば、ちょっとした休憩も快適だ。

トヨタ プロボックス/サクシードの価格は、ややアップしたものの、エコカー減税分と燃費差分で多少取り戻せる。安全装備が充実したことにより、事故を未然に防ぐ効果もある。これは、無事故であれば、結果的に自動車保険のコスト低減にもつながるだろう。

■プロボックス価格:DX 1NR-FE(1.3L) FF 1,317,600円~F 1NZ-FE(1.5L)  4WD 1,798,691円