プジョー・シトロエン・ジャポン�広報部 平福さん

もう、ブランドだけでは売れない輸入車

プジョー207画像

 輸入車がとくに売れない。輸入車市場の10月までの対前年比は‐21.0%と大幅な下落を見せている。なかでもプジョーは、対前年比‐35%と販売状況は深刻だ。その背景にあるのは、エコカー減税である。輸入車のほとんどの車種がエコカー減税の対象車とならないからだ。高級車になればなるほど、重量税・取得税が増えていく傾向にあるため、減税対象車は減税額が大きくなる。例えば、約1100万円するレクサスLS600hというハイブリッド車などは、約67万円も減税されるのだ。
 そのため、高級車の代名詞ともいわれるメルセデス・ベンツなどもブレンドイメージを強調した広告展開から、トヨタの子供店長のごとく一部の車種を「減税対象車」であることをアピールし始めた。それほど売れない。業界ではそんな広告展開を「ついにメルセデス・ベンツも野に下った」、「背に腹はかえられない」などといわれている。もはや、どのインポーターも売るための手段を選んではいられないほどの状況なのだ。

デフレ対応? プジョーが国産車にも負けない低価格戦略をスタート!

プジョー207画像

 そんな冷え切った市場の中、プジョーは独自の戦略を取りはじめた。その戦略とは実質のプライスダウンという手法だ。ついに、輸入車までがデフレ化しはじめたのか・・・。
「単純に値下げというより、戦略的な新価格設定です。10月5日から、プジョー207の価格を改定しました。とくにエントリーモデルに買い得感を持たせたのが特徴です。207スタイル1.4は、21万円プライスダウンの189万円。新規追加グレードとなる207スタイル1.6が199万円としました。この2グレードは200万円以下であるということと、現行のグレードと同等の装備を維持しての価格です。国産のライバル車と価格を比べても、十分に競争力のあるグレードとなっています」とプジョー・シトロエン・ジャポン株式会社広報部の平福さん。

来場者数30%アップ! 新規顧客も獲得した低価格戦略

プジョー207画像

 確かに今の主流は低価格戦略だ。ユニクロにしても勝ち組は「安くてより良いモノ」を提供している。そういう流れの中で、装備を維持して価格を下げる手法は王道でもある。しかし、クルマは衣料ほど安価でなければ、数も出ない。果たしてクルマに低価格戦略は通用するのだろうか?
「お客様が戻ってきていただくには、もう少し時間が必要かと思います。ですが、手ごたえも感じてきています。来場者数は約30%アップしましたし、207に関しては前年並みに戻りつつあります。さらに、うれしいことに今までに無かった新規の顧客層が取れるようになりました。プライスダウンにより、国産ユーザーの方にも注目されてきたようです」と広報部の平福さんは語る。

個性派の輸入車が安く買える!? 他社も追随か? 輸入車戦略

 食料品や衣料などデフレが進んでも、今までクルマにまではあまり影響しなかった。しかし、昨今の不況とエコカー減税のダブルパンチは、減税対象車を持たない輸入車インポーターにとって、あまりにも強烈な向かい風に変わったようだ。今回のプジョーの低価格戦略の成功次第では、各社が追随する可能性もある。より個性的な輸入車がリーズナブルなプライスで手に入ることは、とても喜ばしい。さて、プジョーの次の一手はなにか? 今から楽しみである。

written by 大岡 智彦

プジョー「207」マイナーチェンジで装備充実! でも価格は最大10%引き!!

【新車情報】 (2009.10.02)

プジョーはコンパクトハッチバック「207」の5ドアハッチバックモデルをマイナーチェンジし、10月1日より発売する。今回のマイナーチェンジでは、内外装のリファインや装備類の充実、そして最大10%の値下げなどが行なわれた。 >> 記事全文を読む


【'09フランクフルトショー:現地レポート】極めて独創的! プジョーの街乗りEV(電気自動車)「BB1」[コンセプトカー]

【新車情報】 (2009.09.18)

プジョーブースでは、現在から近未来にかけてのシティコミューターを目指して作られたコンセプトカー「BB1」を観た。極めて独創的なEVの模様を速報でお届けする。 >> 記事全文を読む


【'09フランクフルトショー】プジョーもEV! プジョー版i-MiEV『Ion』と、シティコミューターのコンセプトカー『BB1』登場!

【新車情報】 (2009.09.17)

プジョーは、9月15日より開幕したドイツ・IAAフランクフルトモーターショーにて、三菱からOEM供給される電気自動車の「Ion」と、プジョーオリジナルの電気自動車「BB1」を発表した。「Ion」は、先ごろ国内で市販化が始まった「三菱 i-MiEV」[欧州仕様のワイド版]がベースとなっている。 >> 記事全文を読む


クルマもデフレ化!?【新型 トヨタ マークX 開発者インタビュー】デフレ時代の高級車とは!?

【特集】  written by CORISM編集部 (2009.12.07)

とにかく安いトヨタ マークX。デフレ化はついにクルマにも波及。装備を考えるとライバル車より約50万円もリーズナブルなケースも・・・。デフレ時代の高級セダンのあり方を新型トヨタマークXの開発担当者、商品開発本部トヨタ第1乗用車センター製品企画チーフエンジニア 友原孝之氏に直撃インタビュー。 >> 記事全文を読む


【新型日産フーガ 開発者インタビュー】売れない高級車を売る秘訣!

【特集】  written by CORISM編集部 (2009.11.25)

11月19日にフルモデルチェンジされた日産のフーガ。開発を担当した日産商品企画本部商品企画室チーフプロダクトスペシャリストである大澤辰夫氏に新型フーガの魅力を伺った。 >> 記事全文を読む


中国、なんちゃってハイブリッド車撤退?【達人 国沢 光宏の広州モーターショー レポート】極端に減ったハイブリッドカーのカラクリ

【達人ISM】  written by 国沢光宏 (2009.12.08)

昨年は北京ショーから広州ショー、上海ショーまで「ハイブリッド祭り」という様相を呈していた中国のモーターショー。だが今年の広州モーターショーではハイブリッドカーの出展が極端に減少。その謎に迫る。 >> 記事全文を読む