東京モーターショーで公開されるFT86コンセプト

80年代に登場したAE86("ハチロク")は偉大なクルマだった!

新車時はレビンのほうが人気が高かった

 私は中古車を20台以上乗り継いでいるので、比較的1台の所有期間が短いのですが、そんな私が唯一8年間も乗り続けたクルマがあります。それがAE86(通称"ハチロク")と呼ばれていたトレノです。86トレノを買ったのが20代前半で、買った直後からレースにお金をつぎ込んでいたので買い換える余裕がなかったという背景もありますが、それだけAE86が自分にとって素晴らしいクルマだったということも間違いありません。

達人岡島も20代の頃はAE86トレノに乗っていた

 AE86は単なるカローラのスポーツモデルでしたが、セダンがFF化された中でレビンとトレノはFRが継続採用され、エンジンも4A-Gと呼ばれる高回転型の1.6リットルエンジンが設定されました。エンジンパワーはソコソコでしたが、ボディは1トンを切る軽量設計だったので、エンジンを回して走れば軽快な走りを楽しむことができました。

AE86はパッケージングや使い勝手も良かった

 その上、カローラがベースだったので後席にも人が乗ることができ、私が乗っていたのはハッチバックだったのでタイヤや工具などを運ぶ時などにも重宝しました。私のように若い頃に86で運転の腕を磨いたり、モータースポーツに参加して、86に深い思い入れを持っている人は多いでしょう。

 そんな人に朗報が届きました!なんと、そのAE86の血筋を受け継ぐ、小型FRスポーツモデルのコンセプトカーが東京モーターショーに参考出品され、再来年ぐらいには市販される計画になっているようなのです。

2リットルの水平対向エンジンを搭載したFR専用モデルになる!

フロントマスクはシャープなデザイン

 東京モーターショー参考出品されるのは、その名もズバリ『FT-86コンセプト』。そのネーミングからもAE86にインスパイアされたモデルだと言うことが分かります。ボディサイズも全長4160mm、全幅1760mm、全高1260mm、ホイールベース2570mmと、最近のクルマとしてはコンパクトな設計。全幅やホイールベースは現代のクルマらしく大きくなっていますが、全長はAE86と大差なく、全高は低くなっているのでシャープなフォルムに仕上がっています。

 スタイリングは少しフェアレディZっぽいデザインですが、このコンセプトカーはハッチバックではなくトランクリッドを持つクーペモデル。後席はかなり狭そうですが、一応乗車定員は4名になっています。

リヤはハイデッキのアメ車風スタイル

 搭載されるエンジンは自然吸気の水平対向4気筒2リットルなので、提携関係にあるスバル製の水平対向エンジンを積むことになるでしょう。ショーカーのミッションは6MTで、どのようなATを採用するかは現在検討中とのこと。

 スバルとの共同開発車という話だったのでプラットフォームはインプレッサなどと共通と思っていましたが、実際には専用に新規に開発しているようです。確かによく見てみるとエンジンの搭載位置がスバル車のように4WDを設定できるポジションではなく、FRに適したフロントミッドシップになっています。サスペンションはフロントがストラットで、リヤがダブルウィッシュボーンになっていました。

敏腕チーフエンジニアも決定!2011年の市販は間違いない!

インテリアはまだプロトタイプと言った感じだ

 このコンセプトカーには、すでにトヨタの敏腕チーフエンジニアが就任しており、市販化は間違いない模様。開発も順調に進んでいるということなので、以前社長が会見で説明していたように2011年の市販を目指しているようです。

 チーフエンジニアいわく、メインターゲットはズバリAE86世代のミドルエイジとのこと。もちろん若い人にも乗ってもらいたいので、価格は仕様によって差をつけて幅広い設定にしたいと語っていました。ということは200万円前後から300万円台前半ぐらいの価格帯が有力になってくると思われます。

 さらにチーフエンジニアは、「今の時代にこのようなクルマを発売しても、売れると言う保証はまったくありません。でもエコカーだけではなく、誰もが手軽に走りを楽しめるクルマも作りたかったんです」と話していました。

 確かに最近のトヨタ車には走りを楽しめるクルマが全滅してしまっていたので、個人的にその意見には大賛成です。エコカーも重要ですが、スポーツカーのような趣味性の高いクルマが絶滅してしまったら、自動車は徐々に移動のための道具になってしまい、人々の興味の対象から外れてしまいますから。そうなったら、さらにクルマが売れなくなってしまうでしょう。

 なにはともあれ噂の小型FRスポーツカーの話が立ち消えになっていなくて、本当に良かったです。この86コンセプトに興味がある人は是非、東京モーターショーに行って実車をご覧下さい。実車はなかなかカッコイイですよ!

ハチロクの再来!「トヨタ FT-86 コンセプト」[コンセプトカー](※写真提供:トヨタ自動車)
達人プロフィール: 岡島裕二
職業:モータージャーナリスト
自動車雑誌や自動車サイトを経験後、2003年よりフリーとなった若手ジャーナリスト。今まで乗ってきたクルマすべてが中古車という、根っからの中古車好き。レース経験もあるほか、一級船舶免許ももつなど乗り物全般に興味をもっている。

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【新車情報】  written by CORISM編集部 (2009.10.06)

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