アストンマーチン社にOEM供給される「トヨタ iQ」(写真は「アストンマーチン シグネット」のデザイン・モデリング風景)
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突如、トヨタから飛び込んだ刺激的なニュース!

 トヨタ自動車(株)(以下、トヨタ)は「自分らしさを表現したい個性派層」の幅広いニーズに、タイムリーにお応えしていくため、「iQ」のバリエーションを拡大していく。

 iQは、超小型ボディに4人乗車可能な超高効率パッケージを実現し、サイズを感じさせない独自のデザインで存在感と上質感を創出するとともに、優れた環境性能と走行性能を両立したクルマである。

 具体的には、国内において、GAZOO Racingにより、足回りやハンドリングをスポーティーにカスタマイズし、iQの特徴である俊敏性と高速での走行安定性を高次元で実現した限定車をネッツ店を通じて11月から販売するほか、女性や若年層をターゲットに、内外装により趣向を凝らしたクルマも投入していく方針である。

 また、欧州では、トヨタの欧州における事業統括会社であるToyota Motor Europe NV/SA(TME)を通じて、英国アストンマーチン(以下、AML)社にiQをOEM供給する。今回の提携は、「最高の品質と革新的な技術を備えたクルマをつくる」という両社共通の企業理念のもと、実現したものである。AML社は、プレミアムで独自性のあるクルマを求める同社の顧客に向けて、iQをベースに、AML社独自のデザインを施した新型車「シグネット」を欧州のAML社販売店で販売する予定である。

■トヨタ自動車 2009年6月29日付け プレスリリースより一部抜粋

 これはiQに関するトヨタのプレスインフォメーションである。昨年秋に発売になったiQだが今年になってボディカラーの追加はあったが、大きな話題はなかった。しかしここにきて刺激的なバリエーション追加のニュースが飛び出した。
 ボクが一番気になったのは、英国アストンマーチン(アストンマーチンラゴンダ社)にiQをOEM(オリジナル・エクィップメント・オブ・マニュファクチャラーズ)供給するという話題だ。「シグネット」というネーミングになるようだが、これはトヨタメイド・アストンマーチンブランドのiQということになる。

小さいけれど、しっかり"アストンマーチン"してる

「アストンマーチン シグネット」デザイン検討用1/1モデル

 イラストも発表されていたが、これが実にカッコいいのだ。フロントマスクはだれが見てもアストンマーチンに見える。ラジエターグリルの両肩の微妙な逆カーブとヘッドライトのデザインは見事にアストンマーチンを表現している。
 写真はないがぜひ後姿も見たいとも思った。それはiQの後ろ姿はプレミアムマイクロコンパクトと呼ぶには相応しくない安っぽさが感じられるからだ。その原因はバンパー下のスカート部分で、尻切れトンボになっているからだ。ここにきれいなアンダーカバーを付ければかなり印象は違うと思う。そこをアストンマーチンデザインはどうするか見たいのだ。

インテリアの仕上げも気になる

「トヨタ iQ」インテリア:写真はiQ 特別仕様車「130G "+(プラス)"」[内装アクセントカラー:スコーピオンレッド]

 アストンマーチンではトヨタからOEMで供給を受けるということは、アストンマーチンの指示に従ってトヨタが製造するということだ。アウターパネルが変わるだけでなくインテリアも当然アストンマーチンになるはず。いったいどんな仕上がりになるのか楽しみである。ここでトヨタは超高級車メーカーのエクスクルーシブなクルマ創りを勉強するチャンスが訪れていることを認識して、全面的にアストンマーチンのいうことを聴いてみることである。
 しかしもしかしたら、これはボクの勝手な想像だが、シグネット(アストンマーチンiQ)のデザインはトヨタが描いたものかもしれない。iQのコンセプトそのものを表すデザインができたので、どうせならアストンマーチンに買ってもらおうという話が出たのかもしれない。トヨタにもこんなクルマを創れる能力があるとしたら、嬉しい限りではないか。
 シグネットはアストンマーチンのディーラーでしか買えない。買ってしまえば世界中のトヨタディーラーでも通常の整備できるはずだから、何の不便もない。
 しかし発売当初はすでにアストンマーチンオーナーに優先して販売するそうで、この辺も超高級車ブランドらしいところである。

世界的な燃費総量規制で生まれた副産物

8月に追加された「トヨタ iQ」の1.3リッターモデル

 アストンマーチンラゴンダ社ではなぜiQを自社ブランドで発売する気になったのか。それは厳しくなる排気ガス規制、燃費規制に対応するためだろう。大排気量しかないアストンマーチンは、メーカー別の規制が厳しくなったらやっていけなくなる。だから桁違いに燃費のいいクルマが欲しかったのだ。
 アストンマーチン・シグネットはiQの本来のコンセプト通りのクルマだと思う。ぜひいいクルマを創り上げてもらいたいと思っている。

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達人プロフィール: こもだ きよし
職業:モータージャーナリスト
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)、JAF交通安全委員会委員、セーフティドライビング・インストラクター・アカデミー会長、警察庁運転免許制度に関する懇談会委員、BMWドライバー・トレーニング・チーフインストラクターなど...
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