レクサスIS250CとBMW 335iは新たに追加されたモデルで、独特の雰囲気を持つオープンカーだ。
その中でもエレガントなスタイルを持つカブリオレは、スポーツカーとしてのオープンではなく、セダンやクーペをベースにしたものだ。海外メーカーの中でもプレミアムな車種には必ずラインナップされる。

今回の徹底対決は、レクサスIS250CとBMW 335iのプレミアム オープンカー編。
どちらも扱いやすいボディサイズというだけでなく、元々スポーティなテイストも持ち合わせており、オープンモデルでどう表現されているかが気になるところだ。
また、両車とも要のルーフに電動開閉メタルルーフを採用。閉めたときのスタイルのよさも自慢のひとつである。
意外にキャラクターが被る両車が、どのように評価されるのか注目だ。

この記事の目次 CONTENTS
1.レクサス IS250Cのファーストインプレッション
2.レクサス IS250Cの性能
3.レクサス IS250Cのエンジン&インテリア
4.BMW 335iカブリオレのファーストインプレッション
5.BMW 335iカブリオレの性能
6.BMW 335iカブリオレのエンジン&インテリア
7.オープンカーの楽しみ方で選ぶクルマが変わる

ライター紹介

自動車ライター&エディター

近藤 暁史 氏

某自動車雑誌の編集者から独立。その前はファッションエディター(笑)。とにかくなんでも小さいものが好きで、元鉄チャンで、今ではナローゲージを大人買い中。メインのクルマは19歳の時に買ったFIAT500。エンジンのOHからすべて自分でやり、今やもうやるところがない状態でかわいがっております。表向きは自動車ライターながら、業界唯一の省燃費グッズの評論家というのがもうひとつの顔。

1.レクサス IS250Cのファーストインプレッション

実質ソアラのSC、ということは別として、レクサスの新開発モデルとなるのがIS250Cだ。
すでに欧米や中国では発売済みで、3.5リッター(IS350C)、3リッター(IS300C)を搭載。2.5リッターのみの日本仕様に対して、排気量の大きいものが搭載されている。

スポーティなISからは一転

気になるのはその走りだが、やはり215馬力の2.5リッターでは正直パンチに欠ける。車重が160キロもセダンと比べて重たくなっていればなおさらだ。
開発陣によれば「ユーザーの年齢層が高めになる日本市場を考えてのこと。大排気量については今後の動きを見極めてから。」とのこと。

高いレベルに仕上がったボディ剛性

V6ということもあり、そのフィーリングはたしかに滑らかで、ゆったりと流すにはちょうどいい感じ。もちろんオープンカーというキャラクターを考えると、絶対的にパワーを追求するのも考え物ではあろう。
ボディの剛性は、補強材やクロスバーなどの追加を行なうことで、かなり高いレベルに仕上がっている。

オープンはエレガントに楽しむ

ルーフにはアルミ製メタルトップを採用し、電動で開閉。要する時間はたった20秒で、なおかつ作動はとても滑らかだ。
また、開いているときのスタイルだけでなく、閉めたときのクーペスタイルにもこだわっているとのことで、流麗な2ドアクーペに見える。若干ウエッジシェイプがきついかなと思う程度で、トランク部分にルーフが収まっているとは思えない。
こういった細かい部分の造りのよさはプレミアムブランドであるレクサスならではだろう。

2.レクサス IS250Cの性能

レクサス IS250Cの性能について詳しく解説。

エコ&燃費:全体的に環境に配慮している

カタログ値は11.2km/Lと、省燃費性能に力を入れているトヨタとしてはまずまずといったところ。やはり車重が問題か?LCAと呼ばれる生産から廃車までの環境負荷基準を導入しており、全体で環境に配慮している。

安全性能:多くの安全装備を標準装備

レクサスはさすがプレミアムブランドだけに、多くの安全装備を標準で装着しているのが特徴だが、IS250Cも例外ではない。プリクラッシュセーフティシステムがオプションで用意される程度だ。

取材時実測燃費

9.8km/L

レクサス IS250C価格帯

495.0〜535.0万円

レクサス IS250C バージョンLのスペック

レクサス IS250C バージョンLのスペック情報は以下の通り。

ボディサイズ(全長x全幅x全高) 4635×1795×1415mm
車両重量 1730kg
エンジンタイプ V型6気筒DOHC
総排気量 2499cc
最高出力 215ps(158kw)/6400rpm
最大トルク 26.5kg-m(260N・m)/3800rpm
ミッション 6速AT
10・15モード燃費 11.2km/l
サスペンション(前/後) ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格 535.0万円

3.レクサス IS250Cのエンジン&インテリア

レクサス IS250Cのエンジン&インテリアについて詳しく解説。

セダンより快適性を重視したセッティング

エンジンは今のところ2.5リッターのV6のみ。海外には3リッターや3.5リッターもあるが、パワー的に大きな不満は感じられない。

タイヤサイズは全車17インチが標準で、セダンより快適性を重視したセッティングが与えられている。オプションで18インチも装着可能だ。

質感の高さは申し分ないインテリア

インテリアの質感の高さは申し分なく、デザインは基本的にはセダンと共通のもの。バージョンL(写真)には白の本革シートが装備される。

オプティトロンメーターは視認性にも優れている。車速やエンジン回転数にあわせて照明の色が変わる仕掛けも見逃せないところだ。

フロントシートはサイズも大きめで、ゆったりとくつろげる。小物の収納なども充実しているので使い勝手の良さも文句はない。

4人乗り仕様ということもあってリヤシートは左右独立した形状。スペースも想像以上に広く、大人でもそれほど無理なく乗れる。

大きな荷物も入れやすいラゲッジスペース

この手のオープンカーでは仕方のないことだが、ルーフを収納した状態では手前側のわずかなスペースにしか荷物を入れられない。

ルーフを広げた状態では十分なラゲッジスペースが確保されている。開口部も大きめで荷物の出し入れもしやすい。

ルーフの開閉はスイッチひとつでOK。メーター内のインジケーターや音で作業の終了を知らせてくれる。

4.BMW 335iカブリオレのファーストインプレッション

BMWは以前からセダン&クーペベースのカブリオレを精力的にラインナップしてきた。現行の3シリーズたるE90系も例外ではなく、335iカブリオレが用意されている。
ちなみに外観はマイルドなセダン顔ではなく精悍なクーペ顔とし、リヤまわりを中心にカブリオレ専用としてデザイン。独特の雰囲気を醸し出している。

ルーフは若干遜色があるが、内装は精悍さがある

ルーフは流行のメタルトップで、3分割して複雑にトランク内に収納されることから、開けるのは22秒、閉めるのは23秒と、他車と比べて若干遜色がある。
内装もクーペに準ずるものだが、2008年11月の仕様変更でかなり質感を高め、精悍さを増している。
また各スイッチ類の操作性も改良された。

直噴&ツインターボ装備で豪快な走り

とくに注目したいのは走りだ。
今回の対決相手たるレクサス IS250Cがゆったりと流すキャラクターなのに対して、こちらはBMW流の駆け抜ける喜びが十分。3リッターV6は直噴化され、ツインターボを装着することで、全域でパンチのあるパワーを楽しめる。たとえばトルクは1300回転から40kg-m近くを発揮する。

エンジンの良さを引き出した7速DCT

これも仕様変更で実施されたのだが、トルコン式の6速ATから7速DCTへと変更され、エンジンのうま味を余すところなく引き出してくれる。ボディ剛性も高く、車重は増えているもののその分ドッシリと構える。
BMW流のカブリオレ、ここにありだ。

5.BMW 335iカブリオレの性能

BMW 335iカブリオレの性能について詳しく解説。

エコ&燃費:環境に配慮はしているようだが燃費は厳しめ

3リッターでツインターボ。直噴化されているものの、燃費は8.9km/Lで、こんなものといえばこんなものだが数字だけ見れば厳しい。
また、ダブルVANOSや軽量化素材の使用により、二酸化炭素の排出量を低減すると謳ってはいる。

安全性能:エアバックや骨格強化で乗員を守る

転倒時はバーが瞬時に飛び出しつつ、ウインドまわりの骨格も強化されたため衝撃から乗員を守る。エアバッグも余裕をもって装備されており、全方位的に展開する。

取材時実測燃費

7.2km/L

BMW 335iカブリオレ価格帯

802.0万円

BMW 335iカブリオレのスペック

BMW 335iカブリオレのスペック情報は以下の通り。

ボディサイズ(全長x全幅x全高) 4590×1780×1385mm
車両重量 1830kg
エンジンタイプ 直列6気筒DOHCツインターボ
総排気量 2979cc
最高出力 306ps(225kw)/5800rpm
最大トルク 40.8kg-m(400N・m)/1300〜5000rpm
ミッション 7速DCT
10・15モード燃費 8.9km/l
サスペンション(前/後) ストラット/5リンク
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格 802.0万円

6.BMW 335iカブリオレのエンジン&インテリア

BMW 335iカブリオレのエンジン&インテリアについて詳しく解説。

乗り心地とハンドリングのバランスは良い

直噴の3リッターツインターボエンジンを搭載する。様々な技術の投入によりパワーと燃費を両立したというが、あまり燃費は良くない。

標準は17インチだが、オプションのMスポーツパッケージを選ぶと18インチ仕様となる。乗り心地とハンドリングのバランスはとてもいい。

質感の高さとスポーティさを感じるインテリア

IS250Cと同じく本革や本木目を多用したインテリア。だが335iカブリオレはレクサスとは異なり、よりスポーティさを強調した雰囲気だ。

BMW伝統のシンプルなデザインのメーター。見た目にもとてもスポーティで、質感の高さも感じさせる。もちろん視認性に優れてもいる。

335iカブリオレは、スポーティな形状のシートを装備している。コーナーでもしっかり体を支えてくれ、長距離ドライブでの疲労も少ない。

IS250C同様、リヤシートは左右独立した形状となる。スペースも窮屈な印象は少なく、小物の収納場所もしっかりと確保されている。

左右方向の余裕は少ないスペース

335iカブリオレもルーフを収納するとこれだけのスペースを食われてしまう。入れられるのは小さな手荷物程度だ。

IS250Cに比べて、左右方向の余裕は少なめだ。実用上困るというほどではないが、あまり大きな荷物を積むことはできない。

335iカブリオレもセンターコンソール上のスイッチでルーフの開閉が可能。動作時間はIS250Cよりわずかに長い。

7.オープンカーの楽しみ方で選ぶクルマが変わる

レクサス IS250Cは、ソフトで快適な乗り心地を重視したセッティングが施されている。どちらかというとオープンの雰囲気をエレガントに楽しみたいというユーザーに向いているといえるだろう。
また、シートの造りや装備類も快適性を重視したもので、レクサスにふさわしい上質さを備えたインテリアがとても印象的だ。

BMW 335iカブリオレは正反対のキャラクターで、オープンカーながらスポーティな走りも重視した設計だ。足まわりも硬めだが乗り心地とハンドリングのバランスが絶妙で、不快な印象はまったくない。
ただ、ハイパワーなターボエンジンが災いし、燃費性能はあまりいいとはいえない。

(PHOTO/ 森山良雄 モデル/ 佐藤まいみ