ROUND2:達人によるコダワリ評価

評価するのはこの達人たち
松下 宏

小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。

片岡 英明

学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。

国沢 光宏

歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

コダワリ評価GO!
走り
Driving
フィアット チンクエチェント
ミニ
フィアット チンクエチェント 走り ミニ 走り
松下 宏

1.2リッターエンジンの動力性能はごく平凡なレベルにとどまるし、マニュアルATのトランスミッションはかなり良くなっているはいるものの、ATやCVTのような滑らかさはない。

7点

プジョーと共同開発したエンジンや6速ATなど、走りのメカニズムは最新のものを採用。MT車の設定もあるが、走りの性能では断然ミニがチンクエチェントを上回っている。

10点
片岡 英明

パンダから譲り受けた1.2リッター4気筒は軽やかに吹き上がるが、パンチ力は今一歩だ。デュアロジックのマニュアルモードを駆使しての走りが楽しい。ATモードの変速はぎこちない。

7点

ベースグレードのOneが積むのはBMWが開発したバルブトロニック採用の1.4リッター4気筒DOHCだ。吹き上がりは軽快だし、加速も冴えている。6速ATの変速も滑らかだ。

9点
国沢光宏

ボディ剛性もエンジンの回り方も日本製のコンパクトカーと似ている。ロボタイズド式(普通の5速MTを油圧で自動的に動かすタイプ)のATは、違和感が非常に大きい。

5点

ヨーロッパ車らしく気持ちよく高回転までキッチリ回るエンジン。そしてガッシリしたボディ。ロールを抑えながら上質な乗り心地を確保している足まわりに至るまで文句なし!

10点
SUBTOTAL
19点
29点
スタイル(デザイン)
Style(Design)
フィアット チンクエチェント
ミニ
フィアット チンクエチェント ミニ
松下 宏

初代モデルに似過ぎていて、もう少し現代的なアレンジが欲しいと思うが、可愛らしいデザインであることは確か。デザインだけで選ぶユーザーもたくさんいるだろう。

9点

初代モデルを現代風に翻案したBMW製のミニが相当に出来がよかった。そのためにBMWとしての2代目ミニは外観デザインを何も変える必要がなかったほど。出来は上々だ。

9点
片岡 英明

フロントエンジンになったが、先代のフィアット500のイメージを上手に再現している。デザインだけで惚れ込んでしまう人も少なくないだろう。バンパーまわりの造形も秀逸だ。

10点

BMWが復刻した先代の流れを汲むデザインだ。細部の造りはよくなっているが、パッと見ただけでは新型か旧型かわからない。見慣れてしまっただけに新鮮味はちょっと欠けた。

8点
国沢光宏

ほかのどんなクルマにも似ていない可愛いデザインだけで、チンクエチェントが欲しくなってしまうユーザーも少なくないと思う。古き良き「FIAT500」の雰囲気を上手に残す。

10点

ミニもチンクエチェントほどじゃないまでも、オリジナルのミニの雰囲気をキッチリ伝えている。モデルチェンジでボンネットが少し厚ぼったくなってしまったという声が多い。

9点
SUBTOTAL
29点
26点
パッケージング
Packaging
フィアット チンクエチェント
ミニ
フィアット チンクエチェント インテリア ミニ インテリア
松下 宏

コンパクトなクルマとしてよくまとまっている。後席にはもう少し余裕が欲しいところだが、全体のバランスを崩すよりは、このパッケージングのほうがよいのかもしれない。

7点

ミニの欠点を上げるとすれば、後席の居住空間が窮屈なこと。せめてミニクラブマンくらいの広さがないと、大人が乗れる空間にはならない。パッケージングには工夫がほしい。

7点
片岡 英明

横方向は余裕があるし、背も高い。ルーミーなキャビンは大きな魅力だ。グラスルーフは開放感満点で気持ちいい。後席も狭いが、何とか座れる。ただし、頭上はミニマムな空間だ。

7点

シートは大ぶりで、ドイツ車の香りがする。インテリアの質感は高いが、ちょっと詰め込みすぎの印象だ。後席は大人ふたりが座るのには十分な広さを確保している。頭上も余裕だ。

8点
国沢光宏

フィアット・ニューパンダのシャーシを流用して開発したため、リヤシートの居住性などが犠牲になってしまっている。もう少し実用性能を確保できていたら、よかったと思う。

6点

完全ミニの専用設計となるシャーシを使う。もちろんオリジナルの初代ミニとは比較にならないくらいの高い実用性をもっている。リヤシートの居住性だって悪くありません。

9点
SUBTOTAL
20点
24点
プレミアム性
Premium
フィアット チンクエチェント
ミニ
フィアット チンクエチェント エンブレム ミニ エンブレム
松下宏

価格だけはミニ並みでプレミアムなレベルにあるが、基本メカニズムを考えるとそこまでのクルマではない。今はまだ走っている台数が少なく、希少性の高さは魅力となる。

7点

小さいながらも高いバリューのあるクルマとして評価され、結果としてよく売れている。値引きなしでもかなり売れているのはプレミアム性の高さを示すものといえる。

8点
片岡英明

ラテン系ならではのライト感覚がある。小さいが、存在感があり、目立つ。周囲の視線を集めるからいい気分でドライブできるだろう。インテリアの質感もクラス相応のレベルだ。

8点

こちらも小さいが、走っていても止めておいても目立つクルマだ。インテリアの質感は高いからクルマを知らない同乗者でも満足度は高いだろう。すべてが理詰めのプレミアム感だ。

8点
国沢光宏

本来ならプレミアム性を追求したモデルじゃないが、日本だと「話題の輸入車」である。ただ人気は長続きしないと予想しておく。価格設定からして実力以上だと考えます。

6点

BMWグループのモデルということもあり、少しずつプレミアム性が上がってきた。良質なエンジンやミッションを採用するなど、ハードにもお金掛けている。

8点
SUBTOTAL
21点
24点
お買い得感
Buyers
フィアット チンクエチェント
ミニ
フィアット チンクエチェント ミニ
松下 宏

最上級グレードではミニONEと変わらない価格が設定されており、排気量差などを含めて考えるとかなり高めの印象を受ける。決して買い得感のあるクルマとはいえない。

6点

チンクエチェントが高めの設定をしてきたので、ミニの割高感が薄れたが、決して買い得とはいえない。リセールバリューなども含めてトータルで考えたらそこそこ買い得になる程度。

7点
片岡 英明

スモールサイズで233万円だから、価格だけを見れば割高と感じられる。が、このクルマを所有しているだけで優越感に浸れる。高級車と並んでも負い目を感じないので買い得?

8点

ベースグレードのミニOneの価格はフィアット500より安い。エンジンはパワフルで洗練度が高いし、インテリアの造りも上質だ。日本的な価値観でいえば買い得感はかなり高い。

9点
国沢 光宏

ユーロ高の影響を受け、初期モデルは豪華装備をゴチャゴチャ付けて価格を上げるという戦略をとってきた。本来ならシンプルに乗りたいクルマである。割高感が強い。

5点

ドイツ車と同等のボディの質感や工作精度高そうなエンジン/ミッションなど、どれを取ってもキッチリとお金がかかっている。内容を考えれば、お買い得な価格設定かと。

9点
SUBTOTAL
19点
25点