フィアット チンクエチェント
往年のオリジナルスタイルと
実用的で不満のない走りを両立
2004年のジュネーブショーで姿を現わしたのが「3+1」(トレピューノ)と名付けられたコンセプトカー。往年のフィアット500をモチーフとした、可愛らしいスタイルで話題になったものの、フィアットは大赤字を抱えて窮地に陥っていただけに、市販化は無理と見る意見も多かった。よくある、懐かしのスタイルコンセプトカーのひとつとしてしか見られなかったわけだ。しかし、その後、各モーターショーで市販化を前提としたコンセプトが発表され、昨年ついに発売となった。ベースはニュー・パンダとしたことからサイズ的には当初よりも大きくなってしまったが、そのスタイルは変わらず。鏡餅のような独特のスタイルとキュートな顔つきはオリジナルの雰囲気をうまく表している。ちなみに生産はニュー・パンダと同じ、ポーランド工場だ。 1.2リッター(69馬力)と1.4リッター(100馬力)、2タイプのエンジンとミッションもニュー・パンダのモノを基本的に流用しているが、そのセッティングは大幅に進化。エンジンは下から上までキッチリと使え、評判のよくなかったデュアロジックと呼ばれる2ペダルのセミオートマもつながりがかなりスムーズになったのは注目すべき点だ。日本車から乗り換えると、さすがに違和感があるかもしれないが、すぐに慣れるレベルだ。 インテリアもメーターまわりやインパネ、細かいところではドアオープナーなどオリジナル風のデザインで仕上げられており、センスよくさすがイタリアといったところ。スペース的には正直狭く、まさに大人3人と子供1人がせいぜいだ。
[エコ&燃費] 1.2リッターエンジンはなんと80年代に登場したもの。すでに20年以上経っているだけに、いくら手を加えても環境性能的には厳しい。それでも燃費は15.6km/Lだから立派といえば立派だ。一方、1.4リッターは16バルブで比較的新しく、電子スロットルや可変バルブタイミングなどを採用し、09年から施行予定の排ガス規制、ユーロ5にも適合している。
[安全性能] じつは安全性もチンクエチェントの自慢のひとつ。フロントまわりにはなんと7つものエアバッグが標準装備されている。ただしリアまわりはひとつもないが……。そのほかABSには制動力を自動分配するEBDや横滑りを防止するESPまで標準装備。このESPには坂道発進をアシストするヒルホールドシステムも付いているほどで、じつに贅沢だ。さらにフィアットの伝統(?)である火災防止装置ももちろん付いている。
[取材時実測燃費] 13.6km/L
[チンクエチェント価格帯] 222.0〜250.0万円 |
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ミニ
ミニのオリジナリティと
BMWの高い技術のコラボ
横置きFFの2ボックスという、新しいコンセプトを世界に先駆けて確立したのがミニ。初代は長きに渡ってスタイルを変えずに生産され、今ではBMWによって作り続けられているというのはご存じの通り。BMWになってからのミニは、現行で2代目。先代と現行型ではそれほど変わっていないようにも思える。だが、実際は99%ものパーツが新たに開発されており、先代からの流用はルーフ程度だという。ミニという強烈なブランドイメージゆえに、あえてイメージは変えないというのが正解だろう。インテリアも先代同様で、初代をモチーフにしたセンターメーターがドンとインパネ中央に位置し、その他のスイッチ類はあえてゴツさを演出して、コクピット感を強調する。操作感は意外にいい。エンジンはBMWとPSA(プジョー/シトロエン)の共同開発で、BMWが生産。先代のエンジンはクライスラー(ダイムラーは関係なし)との開発ユニットだっただけに大きな進化だ。1.4リッターが1タイプと1.6リッターが2リッターで、後者はNAとターボとなる。今回取材に連れ出したのは1.4リッターを搭載するONEで、可変バルブタイミングを採用するなどして、95馬力を発生。扱いやすくて、実用性に溢れる味付けだ。一方1.6リッターのNAはバルブトロニックを採用して120馬力を発生。ターボは175馬力で小型のツインスクロールタービンで、低速からもキッチリとパワーが出る点に注目だ。足回りもFRのようなFFとBMWが自慢するように、グイグイと曲がる踏んでいけるセッティングで、操る楽しさたっぷり。高速でもフラットライドで、レベルの高さを見せつけてくれる。
[エコ&燃費] 1.4リッターでは可変バルブタイミングが付くなど、積極的な制御を行なうことで、環境性能も高いレベルにある。また車重は先代から変えず、エンジンのポテンシャルを向上させており、燃費はなんと23%もアップしている。さらにオイル交換を2.5万km/2年毎に指定するなど、メンテでの省資源にも力を入れている。
[安全性能] ボディ自体の剛性を高めているのはもちろんのこと、本国ではオプションになる装備も標準化しているというだけに、安全性も高いレベルにある。エアバッグは6つで、横滑り防止装置のASC+Tも全グレードに標準で付く。欧州のユーロNキャップで、最高の5つ星を獲得しているほどだ。
[取材時実測燃費] 13.1km/L
[ミニ価格帯] 218.0〜318.0万円 |