いま世界中の自動車メーカーが開発競争にしのぎを削っているのが燃料電池車。その新しいモデルとしてホンダからFCXクラリティが登場した。
最初にまず燃料電池(FC)についておさらいしておこう。FCのフューエル・セルを訳して燃料電池としたわけだが、これはほとんど誤訳に近い直訳。発電自動車といったほうがよほど実態に合っている。その発電の燃料に使うのが水素というわけだ。
小学校の理科で、水の電気分解というのを習ったと思う。水に電気を加えるとH2Oが水素と酸素に分解することを実験した人も多いだろう。燃料電池車はその逆の原理を使う。水素と酸素を結びつけて水を作れば、電気分解とは逆に電気が発生するわけで、その電気を使って走るのが燃料電池車だ。発電時に発生するのは純粋な水だけだから、クルマそのものからは有害な排出物を全く発生しない究極の無公害車になる。
といっても、これが簡単にできるなら苦労はいらない。クルマとして実用化するには相当にいろいろな壁がある。そうした壁の多くを突き破りつつ実用化の方向性を示したのが今回のFCXクラリティと言っても良い。まだまだ越えなければならない壁も多いが、クルマとしてまとめられ、未来が見えてきたのが今回のFCXクラリティだ。