アウディのミディアムクラスといえばA4。前シリーズの80シリーズから数えると、今年登場した新型で8代目となるから、まさに伝統のモデルといったところ。とはいえ、昔のアウディといえば、VWの兄弟ブランドという程度だったのは確か。それがここ10年ぐらいからだろうか、グンとプレミアム性を上げてきているのは皆さん、ご存じの通りだ。
そこで、新型である。今回乗ってみたのは1.8リッター直4の直噴ターボのほう。グレードはエンジン別でふたつしかなくて、もうひとつは3.2リッターV6で、こらちも直噴でNAだ。スタイル的にはあまり先代と変わった感じはしないけど、フロントアクスルやステアリングギアボックスの位置を変更して、ロングホイールベース化。同時にオーバーハングを短くもしているので、よく見るとどっしり感はアップしている。
という程度で、乗り込んでみてもいい意味で変化なし。アウディのミディアムセダンらしい雰囲気で、「ドイツのミディアムセダンを買ったゾ」的な満足感はある。メルセデスやBMWの大上段に構えたテイストに抵抗がある人にはやっぱりアウディはオススメ。実際に買うのも、そういった人が多いという話しを聞いたことがある。逆に、最近ドンドンと性能&プレミアム性をアップさせてきている、VWとの差別化がむずかしくなってきているのではないか。社名の持つ格が違う、といってしまえばそれまでだけど、逆に実の部分を取るとウカウカしてられないのでは。
と、思いつつ、乗ってみるとこれまた安心感十分。何度も繰り返して恐縮だけど、メルセデスみたいにガッチリと構えなくていいし、VWよりも高級感はある。その微妙な立ち位置は確保できている。1.8リッターのほうはミッションが欧州車には珍しいCVTを採用しているけど、これも以前のモノに比べると格段によくなった。前のは「やっぱりCVTは日本車のお家芸だよな」ってシミジミ思ったもんである。このCVTとマイルドな味付けのターボとの相性がこれまた抜群。どちらも滑らかな加速をうまく演出していて、走りの質を十分に高めているといっていい。まぁ、刺激的な走りはまったくなくて、やっぱりあくまでもよくできたミディアムセダン。この点は購入時にツボとして押えておいてほしい。
エコ&セーフティについては、ボディシェル自体を先代比で約10%軽量化していることもあって、1.8リッターエンジンで燃費は約7%アップ。3.2リッターについては約9%アップしているとのこと。安全性については歩行者保護に重点を置いてさらなる対策が施されている。