搭載エンジンは直列6気筒1.6Lの自然吸気DOHCがSWに搭載され、SW GTiには1.6Lの直噴DOHC+インタークーラー付きターボが搭載される。今回試乗したのはSWで、120ps(88kW)仕様のエンジンを搭載し、電子制御4速ATと組み合わされるモデルだ。
この1.6Lエンジンはハッチバックに搭載されたのと同じで、プジョーがBMWと共同開発したもの。BMWではミニに搭載している。自然吸気らしい吹き上がりの良さとまずまずのパワーフィールを備えており、ハッチバックに比べて40kgほど重くなったSWのボディに対しても特に不満はない。強いていえばエンジン騒音が大きめなことが気になる程度だ。
ATもハッチバックと同じ電子制御4速AT。マニュアルモードを備えていてレバーを積極的に操作すれば、マニュアル車感覚の走りを楽しむことも可能だが、それだけに4速ATというのは何とも物足りない印象。ATの更新はそう簡単なことではないが、ほかのメーカーがこのクラスにも5速や6速のATを設定しているので、早期の多段化を望みたい。
電子制御ATとしてそれなりにいろいろな機能が含まれていて、ロックアップ状態への切り替えを滑らかにするとか、学習機能によって余分な変速を抑えたり、あるいは減速時に早めにシフトダウンして立ち上がりの加速に備えるなど、さまざまな対応をしてくれるのだが、それが必ずしもドライバーの感覚にジャストフィットするときばかりではないのもやや不満に感じる部分だ。
逆に乗り心地は格段に良くなった。重量物を積載する可能性のあるSWではバネレートが強化されているはずだが、角の取れた感じの乗り心地の良さはこれぞプジョーと思わせるもの。ハッチバック車の乗り心地がプジョーとは思えないくらいに硬かっただけに、これは大きなポイントになる。
●お勧めグレード
ターボ仕様のエンジンを搭載したSW GTiには試乗していないが、ハッチバックに乗ったときのことを思い出しても、一般のユーザーにはSWがお勧めで、スポーティな走りを楽しみたい人には5速MT車だけの設定となるSW GTiがお勧めとなる。今では免許の関係でマニュアル車に乗れない人も多いからSW GTiが限られた需要になるのは止むを得ない。
価格設定を見ても、SW GTiはゴルフヴァリアントのスポーツライン並みの価格になるが、SWはコンフォートラインに比べてやや割安で、レザー仕様が同等の価格となる。このことからも売れ筋になるのはSWのほうだろう。