コンパクトミニバンとしての優れたパッケージングとスタイリッシュなフォルムを両立!
ホンダ・モビリオの後継モデルが、いよいよその姿を現す。5月に正式デビューと噂されている、ホンダが満を持して市場へ導入する新型コンパクトミニバンの名前は「フリード(FREED)」。一時、コンパクトミニバンカテゴリーは、トヨタ・シエンタ、日産キューブ・キュービックといった小さいながらも優れた実用性を備え、大きなミニバンまで必要ないと考えるファミリー層に人気を博したが、『大は小を兼ねる』というユーザーニーズや、ノア/ヴォクシー、セレナといった5ナンバーサイズミニバンが相次いで新型へと移行したことが影響し、クラス全体を見ても販売は低調気味であった。しかしながら、先述した「大きい必要がない」という需要が根強く残っているのは確かである。フリードは、そんなニーズに対し、ど真ん中のストライクともいえるクルマだといっていいだろう。それでは、さっそくその詳細をレポートしていこう。
まず、もっとも目を引くのがスタイリッシュなフォルムだ。角張ったスタイルでスペースユーティリティを追求した結果、野暮ったさが否めなかったモビリオの面影は完全に払拭されている。ご覧の通り、ゆるやかな曲線がフロントフェンダーからリヤドアにかけて引かれたキャラクターラインが、スッキリとしたシャープな印象を醸し出している。エッジの効いたフロントグリルや大胆なデザインのヘッドライトで構成されるフロントマスクも、ひと目でフリードだとわかる個性を強調するとともに、コンパクトミニバンとは思えない迫力を演出している。
ボディサイズは、全長が4215mm、全幅が1695mm、全高が1715mmで、プラットフォームはシビック系を採用。モビリオに比べると、全長が145mm、全幅で10mm拡大されたことになる。この恩恵をうけ、室内スペースはモビリオのそれを上回る広さを実現している。室内長は2625mmとなっている。これはモビリオより190mm長くなっており、ひとクラス上のモデルであるステップワゴンに比べても、150mmほど短いだけなのだ。
この広い室内には、最大8人乗車を可能にする3列シートが装備される。フリードは、モビリオおよびモビリオスパイクを統合した後継車となるため、5人乗りの2列シート車と7人乗りおよび8人乗りの3列シート車がラインナップされる。3列シート車のセカンドシートについては、7人乗りは前席と後部座席間の移動が自在に行える左右独立式のキャプテンシートで、8人乗りがベンチシートという設定。5人乗り仕様は広々としたラゲッジスペースをもっており、2列目シートを倒せば、さらに広大な荷物スペースとして活用できる。
パワーユニットは、1.5リッター直4SOHCが搭載される模様。エンジン型式そのものは、モビリオと同様だが、最高出力118馬力、最大トルク14.7kg-mを発生する。モビリオが90馬力、13.4kg-mだったことを考えれば、中身は大きく進化したことが伺える。このエンジンに組み合わされるトランスミッションは、フィットと同じトルコン付CVTとなる。このCVTの採用によりドライブフィールが格段に高まっているのはもちろん、燃費の向上も実現しているのも見逃せないポイントだ。
気になるグレード体系は、7人乗り仕様車が標準タイプの「G」とエアロ仕様の「Gエアロ」と「Giエアロ」の3タイプ。8人乗り仕様車が、「G」と「Gエアロ」の2タイプとなる模様。また、5人乗り仕様車は「フレックス」という名称となり、標準タイプの「フレックス」とエアロ仕様の「フレックスエアロ」、「フレックスiエアロ」の3タイプが用意される。ちなみに、「i」が付いているモデルは最上級グレードで、15インチアルミホイールやスマートキーシステム等が標準装備となる。
予想価格は7人乗り仕様と8人乗り仕様の「G」が200万円前後、5人乗り仕様の「フレックス」が約160万円となる。スタイリッシュで個性的なフォルム、優れたユーティリティ性能を実現する広さ。さらに、経済性と走行性能を両立させたパフォーマンスを実現したフリードは、コンパクトミニバンに再び活況をもたらすだけでなく、ひとクラス上のミニバンとも勝負できるクルマであることは間違いないだろう。