ブレーキフェード時の緊急路側帯

 クルマの保安部品で最重要項目の一つに数えられるのがブレーキ。もちろん、定期的なメンテナンスを受けてさえいれば、そのクルマに見合った性能で安全に制動をもたらしてくれますが、下り坂が連続するような峠道などでブレーキを踏みっぱなしにしているサンデードライバーさん、要注意ですよ。先日も紅葉狩りで賑わう某渓谷の下り坂で、前方を走るオバサマ5人寿司詰めのクルマがまさにその状態でした。
 最近のクルマはしっかり止まるように出来ておりますが、タイヤと回転を共にするディスクローターとそれを挟むブレーキパッドの接触している時間が長ければ、大した速度でなくとも摩擦熱が上昇し、確実にブレーキの性能低下を招きます。(フェードという現象です。)
 長い下り坂が続くような道路には、上記の写真のような緊急路側帯が設けられていますので、もし少しでもブレーキに異常を感じたら、焦らずこのような場所に退避しましょう。ちなみにこの緊急路側帯は、時速100キロで突入しても、停止できる設計だそうです。

 そこで、今回目をつけたのが、車両側に一切手を加えることなく、誰にでもカンタンに施工でき、確実にブレーキ性能をアップできる画期的な商品「マジカルストップ」とその姉妹品「D2」をテストしてみました。

マジカルストップの施工は超カンタン!ペンタイプなのでディスクローターに塗るだけ

マジカルストップ施工準備
ペンタイプの後方にあるダイアルを3回ほど回した量が一輪分の使用量。
マジカルストップ塗布
染み出してきた溶剤をディスクローターに3本放射状に塗布するだけ。
マジカルストップ塗布完了

 一万本以上の販売実績を誇る「マジカルストップ」。ホイールの隙間からディスクローターに直接塗布するだけなので、メカに詳しくない方や女性でもカンタン。一回の塗布で500キロほどの効果を発揮しますが、定期的に塗布する事で、皮膜が強化され、ディスクローターの表面がまるでメッキを掛けた様に輝いてくるらしいので、走り込んだ後の結果が楽しみです。(テスト車のディスクローターはサビが浮いていますが、テスト結果は後ほど。)

ブレーキオイルに添加するD2との併用でさらに効果的

ブレーキオイルのリザーバータンクを開ける
ブレーキオイルのリザーバータンクキャップを開ける。
吸引器具でブレーキオイルを吸い出す
吸引器具でD2の混入量と同じ量のブレーキオイルを吸引する。
D2混入

 ディスクローターに塗布する「マジカルストップ」のみでも十分な効果が得られるという事ですが、今回は、ブレーキオイルに直接添加する「D2」も同時に施工しました。こちらも作業はカンタンで、ブレーキオイルのリザーバータンクキャップを開け、純正のブレーキオイルを抜き取ったあと、同量の「D2」を添加するだけです。(普通車で100mL添加)
 また、ホイールの隙間が極端に少なく「マジカルストップ」がディスクローターに届かないクルマには、この「D2」の施工だけでも制動力向上が期待できるという事です。
 ブレーキオイルの取り扱いには十分気をつけないといけない事が一つだけあります。それは、塗装面に対して非常に攻撃性が高く、付着したら即除去しないと下地まで溶解してしまいます。

市街地走行を想定し時速50キロからの制動の変化をチェック

実走テストスタート

 人里離れた林道をテストコースに選び、施工前、後をテストする事にします。この製品は決して、峠を攻めて結果を出すといったコンセプトではなく、日常運転でのブレーキ性能を向上させ、安全運転のアシストをするものです。テストは市街地走行を想定し、時速50キロ→0キロで急制動を試みました。平坦の直線コースです。

施工前

マジカルストップ施工前(50キロ−0キロ制動)

施工後

マジカルストップ施工後(50キロ−0キロ制動)

 まず、何も手を加えていない状態で急制動を掛けてみました。テスト車は一応ドイツ車ですから、アウトバーン領域からのブレーキングも想定して設計されていますので、この時点では何の不満もありません。
 次に「マジカルストップ」&「D2」を施工し、停車状態で数回ブレーキペダルを踏んでいきますと、5,6回目から、ストロークの遊びが少なくなっている事が体験できます。これは、「D2」がブレーキ圧の伝達を向上させ、タッチレスポンスの改善が実証できました。
 最後に、ディスクローターに塗布した「マジカルストップ」を馴染ませる為、数回、急制動を掛け準備完了!

 さて、施工後の気になる結果は、上記の写真を見ていただければお判りのとおり、時速50キロからの急制動で約5m程、制動距離が短縮されています。この5mの差がとっさの時には、危険回避に大きく役立つといえます。
 また、ブレーキのタッチも今までのややスポンジーなものから、カチッとしたフィールに変化。運転中の安心感も得られます。
 
 やはり、ついやってしまいたくなるのは、峠道でのテスト。Dセグメントセダンのわりに、ロール剛性の高いテスト車でダウンヒルを試みました。これまでは、本気で攻めるとブレーキの踏力変化&パッドの焼けた匂いを麓で嗅ぐことが常でしたが、施工後は、カチッとした踏力に変化はなく、パッドの焼けはほとんど確認する事が出来ないほどでした。耐フェード性にも大きな効果を発揮してくれたといえます。

500キロ走行でローターが鏡面に

 メーカーの謳い文句にあった「数百キロ走行でディスクローターがメッキを掛けたように輝いてくる」という件ですが、結果はご覧のとおりです。うん、確かにピカピカですね。視覚的にもGOODです。

マジカルストップラインナップ

 カンタンな施工でブレーキ性能を飛躍的に向上してくれる「マジカルストップ」。ペンタイプで実勢価格2500円、増量タイプで3980円。ブレーキオイルに添加する「D2」は実勢価格5000円です。「マジカルストップ」は通常使用で40回以上、「D2」はブレーキオイルを抜き変えるまで効果を発揮しますので、コストパフォーマンスは優れているといえます。
 最初は疑っていましたが、コレはほんと効きますよ!何より、安全運転にも一役かってくれますから。

written by 外川 信太郎