大嶋 和也(左)・小林 可夢偉(かむい)(右) 両選手

未来のF1ドライバーをトヨタが育成!

 トヨタが、日本および世界のトップカテゴリーで活躍できるレーシングドライバーを育てるべく行っている“トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)”。これは、2000年より始まったフォーミュラ・トヨタ・レーシングスクール(FTRS)に端を発するもので、優れた才能を発掘し、磨きあげるだけでなく、継続的にステップアップできるというものだ。当然、トヨタが02年より参戦を始めたF1ドライバーをいちから育成する、という目的もある。

 FTRSはヤマハのカートプロジェクトとも連携し、優秀な成績を残したカート選手も14歳から受講可能。中でもFTRSスカラシップクラスで特に優秀な成績を挙げた選手は、自己負担なくフォーミュラ・トヨタに参戦出来る機会を与えるなど、若い才能の発掘に努めている。また全日本F3選手権や欧州フォーミュラ・ルノーなど、さらなるへの道も支援している。

“トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム(TDP)”活動報告会の模様
ポーズをキメる小林 可夢偉(かむい) 選手
がっちりと握手を交わすトヨタ 林主査(中央)と大嶋(左)・小林(右)両選手

トヨタ期待の星、小林 可夢偉 選手が登場!

 そんなTDPの2007年度報告会が、東京・台場のMEGA WEBで行われた。今シーズンはTDP出身の中嶋 一貴選手(『あの』中島 悟選手のご子息だ!)が見事ウィリアムズトヨタF1チームのシートを獲得するなど、TDPにとってうれしいュースの多い年となった。

 当初、来場予定だった中嶋選手は残念ながら都合がつかず参加出来なかったが、しかし来期からトヨタF1チームのサードドライバーとして参戦することが決まった小林 可夢偉(かむい)選手が登場し、会場は一気に華やいだ。

 しかし小林選手は、07年の自らの走りを「期待外れ」と厳しく評する。欧州を転戦するF3ユーロシリーズに出場。フランス戦の予選ではポールポジションを獲るほどの高い実力を持ちながら、年間シリーズランキングは4位に留まった。しかし苦しい戦いの中、それでも小林は「おかげで成長出来た」とあくまで前向きだ。
 来期は、F1サードドライバーに加え、F1直下のGP2アジアシリーズ及びGP2シリーズに参戦することが決まっている。目指す目標は「チャンピオン!」。同席したトヨタ モータースポーツ部 林 博美 主査も「小林は今年苦しんだが、壁を乗り越えて良い成長を遂げた。来期は今年の雪辱を晴らしていこう!」とエールを送った。

小林 可夢偉 選手
08年はパナソニック・トヨタ・レーシングチーム(F1)のサードドライバーに加え、F1直下のGP2アジアシリーズ及びGP2シリーズに参戦することが決まっている小林 可夢偉 選手
大嶋 和也 選手
07年は全日本F3選手権とSuper GT GT300クラスでそれぞれシリーズチャンピオンを獲得し、もはや国内では向かうところ敵なしな大嶋 和也 選手
トヨタ モータースポーツ部 林 博美 主査
今年は、TDP出身者による悲願のF1ステップアップ(中嶋 一貴選手:ウイリアムズ・トヨタF1チーム)が達成出来たウレシイ年だったと語るトヨタ モータースポーツ部 林 博美 主査

カートから華麗なステップアップを遂げてきた大嶋 和也 選手

 ハルナのカート選手権から全日本チャンピオン、さらにフォーミュラトヨタレーシングスクール、スカラシップでフォーミュラ・トヨタ参戦・・・と、まるで漫画『capeta(カペタ)』(曽田 正人著)に登場する平 勝平太クンさながらに素晴らしい大活躍を魅せている大嶋 和也選手。
 07年にはなんと全日本F3選手権とSuper GT GT300クラスでそれぞれシリーズチャンピオンを獲得。もはや国内では向かうところ敵なし、というTDP期待のホープ大嶋選手も意気込みを語った。

 来期の大嶋選手は、いよいよ欧州F3ユーロシリーズに参戦する。「日本のチャンピオンとして、恥ずかしい走りは出来ない」と話す。それに対し林主査は「精神的にはもう少し頑張って欲しい」とメンタル面での更なる成長を促す。ピットの裏で「メソメソと」(林主査 談)悔し涙を流した大嶋選手の姿を幾度となく観ていた。テクニックだけでは勝てないという厳しい欧州戦に挑むことで、大きな壁を乗り越えて欲しい、という。
 それに対し大嶋選手は「向こう(欧州)では活躍出来る自信がある。F1ドライバーとなって日本に帰って来たい!」と、そんな大きな期待に応えてみせた。


 最後に林主査は、「TDPにとって今年は悲願のF1ステップアップが達成出来た年だった。しかしF1進出だけが目的ではなく、一流ドライバーとして戦ってゆける強いドライバーを育てることが重要。さらに頑張りたい。」と、TDPの更なる将来像を熱く語った。

( PHOTO&レポート:CORISM編集部 )