オヤジは分かりやすい自己主張が苦手です。
ボクもオヤジ度が増していくたびに「分かりやすいもの」には拒否反応を示してくるようになった。逆によく見るとまったく違うものや、深みのあるものや「分かりにくいもの」に「シブさ」を感じ魅力的に思えてくる。クルマで言うとランエボやインプレッサSTIなどが「分かりやすいもの」でBMWのM3やメルセデスのAMGなどが「分かりにくいもの」とボクの中で分類されている。
そんなワケで正直に言うとランエボXが出るという話を聞いたとき、ちょっと拒否反応を示していた。またあの「いかにも」というスタイリングなんだろうなぁ・・・、と思っていたからだ。いかにも、私、速いんです! ひと目でWRカーのベース車両なんです! 大きな羽根はレーシングモデルの象徴ですから! といった「いかにもスタイル」のランエボが、なぜ苦手だったかというと「恥ずかしい」から。もう40歳を過ぎたオヤジなんで声高に自分を主張する年でもない。だから、でクルマもそういったテイストを感じるものには、ちょっと引いてしまうような・・・。それはある意味、若々しいパワフルさに嫉妬を抱いているのかもしれないのも事実だけど。
オヤジも納得の大人のプレミアム感にグラっときた?
で、初めてランエボXとご対面。おやおや「どうしちゃったんですか?」と聞きたくなるぐらい大人な雰囲気にまとめられていた。ベースとなったギャラン・フォルティスが洗練された大人なデザインだった影響なのか、なかなかシブイ仕上がりを見せている。フォルティスに比べ全長が‐75ミリ、全幅+50ミリ、全高‐10ミリ、ホイールベース+15ミリ、トレッド前後+15ミリと微妙な違いをみせる。フェンダーの張り出しなどは、パッと見た瞬間には分かりにくいが、写真で見比べたりジックリと観察すると、その違いは明確。ほんの少し下がった車高の効果もあり、その佇まいは只者ではない雰囲気を醸し出している。
こういった「いかにもデザイン」からの脱出は、ボクのようなオヤジ対策としてあえて行なわれている。ランエボはすでに10代目を迎え、ランエボと共に年を重ねてきたユーザーの多くが40歳代以上になってきたこともその要因。確かなクオリティとパフォーマンスをもつ「大人のスーパースポーツ」に乗りたい、というユーザーの要望が増えてきたのだろう。今でこそメルセデスのAMGは、大人のスーパースポーツの代名詞的になっているが、その昔はかなりヤンチャなエアロパーツで武装したクルマだったことを考えるとランエボXの変身も正常な進化のカタチともいえる。
インテリアの質感やスポーティムードの演出は、残念ながら300万円をはるかに超えるクルマのクオリティに届いていない。そこは、ベースとなったギャラン・フォルティスの限界。インパネやダッシュボードなどなど、質感UPが望まれるが、このクオリティだからこそ圧倒的に高い走りのパフォーマンスを300万円台で手に入れられるのかもしれない。そう思えばガマンできるレベルにはある。
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オヤジも楽チンにスポーツドライビングが楽しめるツインクラッチSSTはスゴイ
走りのトピックは、なんといってもツインクラッチSSTだ。これはマニュアル構造のATミッションと思えばいい。クラッチはないので、AT限定免許でもランエボXのハイパフォーマンスな走りを享受できる。GSRの5MTに比べ20kgほど重くはなるが、5MT に比べると圧倒的に現実的。もはや重さはハンデではなく、シフトチェンジによる空走感がない分ツインクラッチSSTの方が速いと思う。
さらに、変速モードはマニュアルを除くとノーマル、スポーツ、S-スポーツの3パターンがあり、走る環境により使い分けることができる。S-スポーツに関しては、もはや完全にレーシングモード。エンジン回転をレヴリミットまで引っ張り、シフトダウンは限界まで高回転を保つ制御がされており、ほとんどサーキットなどで使うモード。これがあれば、もうサーキットでさえハンドルから手を離す必要がないのでドライバーはハンドル、ブレーキ、アクセル操作に集中できる優れものだ。
それ以外にも大きな利点として、渋滞や軽く流して走るときはフツーのAT。スポーツカーが欲しいけど、さすがにMTじゃ疲れちゃうよねぇ、とか嫁さんも乗るのでATじゃないと、というユーザーも大丈夫だ。ここがライバルとなるインプレッサSTIとは大きく異なる点だ。恐らく販売台数にも差が出るポイントだと思う。
オヤジのデジタル化? S-AWCで上手くなる!?
ハンドリングに関しては、デジタルコーナリングロボ。S-AWCと呼ばれる統合制御で、ドライバーの腕以上に安定した姿勢でコーナーを抜けることが可能。本当はミスしているのに、クルマが勝手に何気なく修正してしまっているのがミソ。腕に自信のないドライバーは、このスイッチを切ることはお勧めできないほど。そういえば、テストコースでもすべての制御を切ったとたんにクルクル楽しそうに回ってた人もいたなぁ。腕に自信のあるドライバーでも、この制御をオフにすると遅くなりそうなくらいすごい制御なのだ。そういう私もテストコースでのドライビング時に「もしかしてオレ、上手くなった?」と勘違いしたほどだ。
インプレッサSTIが相変わらず男気あふれるアナログセッティングに対して、S-AWCは真っ向から対抗するシステムでもある。どちらがいいとか悪いとか、単純にいえないが「オレは体育会系、ドライビングを磨くぜ!」というのなら、インプレッサSTIだろうし「もっとイージーにスポーツドライビングを楽しみたい」というのならランエボXだと思う。ランエボXもインプレッサSTIも400万円以下と、世界的に見てもこのパフォーマンスでこの価格というのは、まさにバーゲンプライス。そう思うとランエボXとインプレッサSTIどちらを選ぶかますます難しくなった・・・。
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代表グレード
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GSR TC-SST
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4495×1810×1480mm
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車両重量[kg]
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1540kg
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総排気量[cc]
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1998cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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280ps(206kw)/6500rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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43.0kg-m(422N・m)/3500rpm
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ミッション
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TC-SST
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10・15モード燃焼[km/l]
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10.0km/l
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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375.06万円
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