走り出すと本領発揮!! まさに気持ちよく走れるクルマだ!
ツインクラッチSST仕様に乗り込み山岳路コースから試乗を開始。最初は3段階ある変速制御モードの「ノーマル」を選びスタート。4000回転付近からはっきりしたターボパワーを感じる。むやみに最高出力を追わず、低中速でのトルクアップ(43.0kg・m/3500rpm)を狙ったエンジンはレスポンスが良く扱いやすい。シフト・アップ時のショックはAT車よりはっきり感じるが、全体的にはAT車から乗り換えても違和感が少ない。変速制御を「スポーツ」に切り替える。スポーツに相応しくエンジンは高めにキープ。ターボが充分効いている回転域のため、「ノーマル」より明らかに速いペースでコースを駆け抜ける。最後は「スーパースポーツ」を選択。大して違いは無いだろうと思っていたら、最初のコーナーの進入で驚いた! ブレーキを踏み速度が落ちると自動的にシフトダウンして高回転を維持。クリッピングポイントを過ぎてアクセルを踏むと、回転計の針は狂ったように駆け上がる。しかも車両運動統合制御システム(S-AWC)の威力で無駄な動きは出ない。このような速いペースでもブレーキディスクサイズを拡大したブレンボのブレーキシステムは制動力、踏力の変化が最後まで変化がなく安心してコーナーに進入できる。
今度はステージをジムカーナコースに移動。スタビリティコントロール(ASC)をオフにして限界性能を試してみた。4WDと言うこともありアンダーステアが基本。荷重移動でオーバーステアに持ち込もうとするが、アクセルを踏むとリヤのスキッドが止まる。スピンをするにはかなり大きなドリフトアングルが必要。極めて安定していて公道では安心してアクセルを踏めるだろう。
ハイパフォーマンスパッケージ仕様(ビルシュタイン社製のショックアブソーバーとアイバハッハ社製のコイルスプリングを採用)は標準車に比較して、よりしなやかな動きで100km/hオーバーでも路面の追従性が良く、出来れば欲しいオプションである。
高性能を堪能できる反面、もう少し質感がプラスされれば言うなし!
実はどのステージでも一番気持ちよかったのが、5速マニュアルミッション車。ダブルクラッチSST車に比べて20kg軽いので、動きが全体に軽快。更にASCをオフの状態が更に自然で気持ち良かった。これはエボXの基本性能が良いとの証明であるが、公道では“もしも”があるのでASCは切らない方が良いだろう。
これだけの高性能車を375万6千円(GSRツインクラッチSST)で購入出来るのは三菱自動車の頑張りを感じる。一方、400万円弱の価格を考えると全体的の質感が足りない。ドライバーが触れるパドルシフトのクリック感やシフトレーバーの剛性感などの操作系だけでもドイツ車並に高めてくれれば、更に満足度は高まると思う。
ゆっくり走れば室内も静かで後席も広いから、家族を乗せてのドライブも不満が出ないでだろう。いつでも何処でも一番速い車が欲しい人にはお勧めのクルマだ。