ランエボXではクルマをうまく操るための制御技術が、ACD(アクティブ・センター・ディファレンシャル)、AYC(アクティブ・ヨー・コントロール)、ASC(アクティブ・スタビリティ・コントロール)、EBD付きスポーツABSの4つのデバイスを統合してS-AWC(スーパー・オール・ホイール・コントロール)と呼ぶまでに進化した。
エンジンのトルクを前後左右のタイヤに最適に配分することによって、ハンドルを切っている方向へクルマを向けてくれる。トルク配分だけでは向けきれない場合には4輪のブレーキをバラバラに掛けることによってさらに強く向きを制御することができるようになった。アンダーステアの制御もオーバーステアの制御もやってくれる。
実際の走りではコーナーでハンドルを切り込んでいくとノーズもインに向いてくるし、必要に応じてリヤを滑らせてまでドライバーの意思を反映させようとしてくれる。リヤが滑りだすようなハンドルを急激に切った状況では、これらのデバイスがうまく働いてリヤの滑りはすぐに止まる。
これらのお蔭でタイヤのグリップ限界が凄く高くなったような気がしたが、限界付近でも危なげないドライビングができる。それは高いグリップ限界を超えたときでも、その動きは穏やかだからだ。
ゲトラグ・フォード・トランスミッションと三菱の共同開発によってできたのが6速のTC-SST(ツインクラッチ・スポーツ・シフト・トランスミッション)だ。2個の湿式多板式クラッチを介して、途切れの無い加速を実現している。
クラッチペダル付きの5速MTもある。こちらのメリットはTC-SSTより20kg軽いことだ。コーナーのターンインでノーズの入り方が5速MTの方が素直でスムーズである。
4B11型2リッター直列4気筒ターボエンジンは280ps/6500rpm、43.0kg-m/3500rpmというパワーとトルクを発揮する。2000rpm以下でもう少し低速トルクがあったらいいのにと思う場面もあるが、高回転まで回して強烈な加速力を味わうのもランエボXの楽しみだ。