ザ・対決 ホンダ エリシオン・プレステージ VS トヨタ エスティマ
3.5リッターV6ミニバン編
ホンダ エリシオン・プレステージ vs トヨタ エスティマ

 ミニバンといえば、豊富な車種が出そろっており、そのキャラクターもさまざま。実用性重視のモデルが多いなか、注目なのはハイパワーな大排気量エンジンを搭載したミニバンだ。スポーツカーも顔負け。多人数を乗せて、俊足クルージングを可能にするだけに、走り好きのオーナーの心をグッと捉えて離さない。今回は日本のミニバン初の300ps達成車としてホンダからリリースされたばかりのエリシオン・プレステージと、ミニバンのナンバー1人気者、エスティマを対決させてみよう。エスティマもエリシオン・プレステージと同じ3.5リッターV6を搭載し、280psを誇るだけにその結果には興味津々だ!

PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
モデル/

ROUND1:ファーストインプレッション

ホンダ エリシオン・プレステージ
ホンダ エリシオン・プレステージ
日本初の300馬力ミニバン!
ホンダらしい走りへのこだわり

 エルグランド、そしてアルファードといったフルサイズミニバンクラスにホンダが送り込んだのがエリシオンだ。ただしこの2車と比較すると、若干サイズ的には小さくなることから、エスティマやMPVといったLクラスをもライバルとなっている。結果として、絶妙な立ち位置を得た。ただし実際の販売面は当初より苦戦気味。それを受けてか、06年末にマイナーチェンジを実施しつつ、新たに加わったグレードがプレステージだ。
 これはホンダらしさに走りを追求したモデルで、搭載されているのはレジェンド譲りの3.5リッターV6。出力はなんと国産ミニバン最大の300馬力を誇る。もちろん足まわりも専用チューニングが施され、スタビリティと乗り心地のよさを両立。まさにモンスターミニバンの風格たっぷりだ。
 写真を見ての通り、デザイン的にも標準グレードとは差別化が図られ、大型グリルを中心とした押し出しの強い、迫力のあるマスクなど、精悍なスタイルへと変貌している。インテリアもセンターコンソールがインパネと一体化になるなど、ただのエンジンコンバートではない点にホンダのやる気を感じる。
 ただし今回の取材で気になったのが、燃費の差。スポーティでパンチのある走りが楽しめるとはいえ、高速道路をある程度使用してもこの燃費とはいうのは気になるところ。購入時はランニングコストも計算に入れる必要がありそうだ。

[取材時実測燃費]
6.8km/L

[エリシオン・プレステージ価格帯]
357.0〜451.5万円

トヨタ エスティマ
トヨタ エスティマ
トヨタらしい使い勝手のよさ
Lクラスミニバンの人気者

 初代から続く、丸みを帯びたスタイルなど、他車とは一線を画す個性的なスタイル。そして使い勝手のいい、ジャストサイズのボディなど、トヨタらしく全方位的にうまくまとめられたのがエスティマだ。現行型は3代目となり、先代で確立されたハイブリッドなど、先進技術も豊富に装備している点にも注目したい。ラインナップは標準グレードに対して、エアロをまとったスポーティグレード、アエラスの2本立て。さらにエンジンは、2.4リッターと3.5リッターの2タイプが用意される。今回はもちろん3.5リッターを対決の土俵に上げたが、こちらは280馬力を発生するハイパワーユニット。今でこそ、エリシオン・プレステージに抜かされてしまったが、それまでは国内最高の出力を誇っていた。走行フィールは、ガンガン走り込むといった味付けではないのだが、ここぞというときの余裕はたっぷり。頼もしさも十分で、オールマイティな走りを楽しむことができる。FF車としては初搭載となった6速ATと相まって、走りと経済性の両立にも力が入れられている。
 ハイパワーエンジンと言っても、こちらは満足のできる数値を記録。そもそも10・15モードからして異なっており、それが実走行に出たと言っていいだろう。これはエンジンだけでなく、ATの違いによる影響もあるだろう。エスティマの6速ATの制御は絶妙で自然なのは体感できるほど。燃費に好影響を与えているのは確実だ。

[取材時実測燃費]
8.6km/L

[エスティマ3.5リッター価格帯]
321.3〜388.5万円

エリシオン・プレステージ SG
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4920×1845×1790mm
車両重量
1920kg
エンジンタイプ
V型6気筒SOHC
総排気量
3471cc
最高出力
300ps(221kw)/6200rpm
最大トルク
36.0kg・m(353N・m)/5000rpm
ミッション
5速AT
10・15モード燃費
8.5km/L
サスペンション(前/後)
ダブルウィッシュボーン/ダブルウィッシュボーン
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
357.0万円
エスティマ 3.5G
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4795×1800×1730mm
車両重量
1800kg
エンジンタイプ
V型6気筒DOHC
総排気量
3456cc
最高出力
280ps(206kW)/6200rpm
最大トルク
35.1kg-m(344N・m)/4700rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
9.8km/L
サスペンション(前/後)
マクファーソンストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
344.4万円
ホンダ エリシオン・プレステージ エンジン

ミニバン初の300馬力を発生するV6 3.5リッターエンジン。高回転まで回した時のパワー感はさすがで、静粛性もなかなかのもの。

ホンダ エリシオン・プレステージ ホイール

18インチのアルミホイールを標準装備。ハンドリングも抜群で乗り心地も良好だ。

トヨタ エスティマ

ハリアーなどにも搭載されている3.5リッターV6エンジン。圧倒的なパワー感はもちろん、静粛性も抜群だ。

トヨタ エスティマ

エスティマは17インチのアルミホイールを履く。快適な乗り心地と優れた静粛性を実現している。

ホンダ エリシオン・プレステージ インパネ

ブラックを基調としたスポーティな印象のインテリア。ナビの画面も見やすくエアコンなどの操作性も良好だ。

ホンダ エリシオン・プレステージ シフト

5速ATはシフトショックも少なく滑らかな加速感を実現。高回転までストレスなくまわるエンジンとのマッチングも良い。

トヨタ エスティマ インパネ

ベージュの明るいインテリアは開放感も抜群。ウッド調パネルなどを多用し、高級感は抜群だ。

トヨタ エスティマ シフト

マニュアルモード付きで、スポーティな走りも味わえる。スムーズな加速と低燃費を両立している。

ホンダ エリシオン・プレステージ フロントシート

ボディサイズが大きいおかげで運転席まわりのスペースに不満はない。サポート性も高く、長距離ドライブでも快適に過ごせる。

ホンダ エリシオン・プレステージ セカンドシート

セカンドシートはスライド量も十分あり、足下スペースもたっぷりある。本革シートの手触りもよく、質感の高さを感じさせる。

トヨタ エスティマ フロントシート

ソフトな手触りのシート地を採用し、高級感たっぷりのフロントシートまわり。座り心地も良好で快適そのものだ。

トヨタ エスティマ セカンドシート

セカンドシートへの乗り降りはしやすい。オットマンを装備しているので、長距離ドライブでも疲労感は少ない。

ホンダ エリシオン・プレステージ サードシート

さすがはLクラスミニバンだけあり、サードシートのスペースにも不満はない。フル乗車時でも全員が快適に移動できる。

ホンダ エリシオン・プレステージ フルフラットシート

シートアレンジは重視していないため、フルフラットにしても若干凹凸が残ってしまう。だがスペースは広いので、ゆったりとくつろげる。

トヨタ エスティマ サードシート

エリシオンよりもボディサイズが一回り小さいだけに、わずかにスペースは不足気味。とはいえ大人でも十分快適に過ごせるスペースは確保されている。

トヨタ エスティマ フルフラットシート

エリシオンよりは凹凸が少ないが、やはり完全にフラットになるわけではない。だが広々した感じで快適にくつろげる。

ホンダ エリシオン・プレステージ インテリア

セカンドシートを収納すれば広いスペースが現われる。大きなものでもスライドドアから簡単に積み降ろしができる。

ホンダ エリシオン・プレステージ ラゲッジ

フル乗車時のラゲッジスペースは若干少なめだ。だがフロアが低いので重い荷物も楽に積み込むことができる。

トヨタ エスティマ インテリア

ファーストクラス並みの広さを誇るスーパーリラックスモード。2列目が3列目の位置までスライドするので驚くほど広大だ。

トヨタ エスティマ ラゲッジ

ラゲッジスペースの使い勝手はよい。床下収納などもあるので大きなものから小さなものまで整理して積むことが可能だ。

ホンダ エリシオン・プレステージ ラゲッジ

片側を前方にスライドさせれば長尺物の搭載と多人数乗車を両立できる。細かい部分だが、こうした使い勝手の良さは魅力といえる。

ホンダ エリシオン・プレステージ ラゲッジ

エスティマとは異なり、サードシートの右側はこの位置までしかスライドできないのが少し残念なポイントだ。

トヨタ エスティマ ラゲッジ

サードシートは大きく前方にスライド可能で、大きな荷物も楽に積み込める。使い勝手の良さはさすだ。

トヨタ エスティマ ラゲッジ

ラゲッジの床下には大きな収納スペースがある。電動可倒式のサードシートはこの部分に収納される。

ホンダ エリシオン・プレステージ vs トヨタ エスティマ

どちらもハイパワーエンジンを搭載しているだけに、高速道路でのクルージングも快適そのもの。静粛性や乗り心地にも不満はない。