ジェッタ・エクステリア

「ジェッタ」の車名が久々に復活

 ゴルフをベースとした「ジェッタ」は1979年にデビュー。コンパクトなボディながら大人5人がゆったりくつろげる居住性、広大なトランクルームを備え、地味な存在ながらも実用車として人気を博しました。(実は私も所有していました。)
 その後、「ヴェント」、「ボーラ」と姿を変え、今回のフルモデルチェンジにて車名を世界市場で「ジェッタ」に統一しました。(先代モデルのボーラも北米ではジェッタの名称でした。)ちなみに「ジェッタ」とはジェット気流に由来しています。
 

元、「ジェッタ」オーナー、現行の「ジェッタ」の変貌振りに驚愕

ジェッタ・フロント
ジェッタ・リア
ジェッタ・ラゲッジルーム

 初代「ジェッタ」の全幅が1650mm程度だったのに対し、現行の「ジェッタ」は1785mm。車名こそ同じですが、その堂々たる存在感に思わず同じ血統なのか?と疑ってしまいました。
 当時、「金庫のような剛性感」と言われたボディですが、現行の「ジェッタ」はまるで「シェルター」。例によって重量感のあるドアは、「ブシュ!」とボディに吸い付くように閉まり外気と遮断されます。
 ジェット気流を意味する車名に相応しい、クーペーのような流麗なフォルム。メッキを配したスポーティなV字型グリルにLEDを採用した丸型テールランプ。無骨だったあの初代「ジェッタ」が、スポーティなプレミアムセダンに変貌を遂げ、本当の意味で「ジェッタ」になったのだと実感しました。もちろん、伝統の巨大なトランクルームは健在。現行では実に527Lの容量を誇ります。

その走りはまさにジキルとハイド

ジェッタ走行シーン
ジェッタ・エンジン
ジェッタ・ホイール

 06年1月に日本デビューを果たした「ジェッタ」には、2.0リッターFSIエンジン搭載の「ジャッタ2.0」と2.0リッターFSIインタークーラー付きターボの「ジェッタ2.0T」がありますが、今回試乗したのは、後者のモデル。
 200psを発生させるエンジンに2ペタルMTの6速DSGが組み合わされ、フロアシフトの他、ステアリング左右に設けられたパドルでもシフトチェンジが可能です。
 まずは、イージードライブモードであるDレンジで街中を流してみましたが、通常のトルクコンバーター式のオートマチックと変わらない程滑らかで、段付き感など皆無。切れ目のない加速は実に快適です。
 ステージを高速道路に移し、ステアリングのパドルに手を掛け、本線合流でフルスロットルをくれてみると、このクルマの「ハイド」の部分が浮き彫りに…。同エンジンを積む「ゴルフ�・GTI」よりマイルドな味付けになっているものの、「シュワーン」という抜けの良いサウンドと共に、約7秒弱で時速100Km/hに到達。パドルを2回引いた時には、すでに周囲を走るクルマの倍ほどの速度に…。慌てて、Dレンジに戻し、減速をした程でした。(ホイール内径一杯に配されたディスクローターとキャリパーは、高速域からの制動も強力。瞬時に速度を殺してくれます。)
 このエンジンの印象ですが、ターボラグをほとんど感じることはありません。2.0Lとは思えないほど全域においてトルク感に溢れ、+1000cc程のゆとりを感じるものでした。
 脚回りですが、タウンスピードではやや硬さが気になりますが、高剛性ボディがビシッとショックを吸収し、決して不快なものではありません。
 ハンドリングは、「クイック」のひと言。初代「ジェッタ」が、かなりダルなステアリングフィールでしたが、現行「ジェッタ」はまるでアルファ159のような感触。蛇を入れた瞬間、瞬時に反応し、ロールも最小限。ワインディングでも、下手なスポーツカーなど追いまわせる実力を有しています。

上質でムーディな空間は助手席も満足

ジェッタ・シート
ジェッタ・インテリア
ジェッタ・メーターパネル

 インテリアの質感はクラストップレベルと言えます。
 「ジェッタ2.0T」では、シートヒーター内蔵の本革バケットシートを装備。(運転席は電動アジャスト付き。)スポーツ走行にも対応し、横方向へのホールド性も十分満足できます。
 2世代前あたりのフォルクスワーゲン車のインテリアといえば、「使い勝手の良い道具」といった感がありましたが、最近では、色気も満点。各種スイッチ類にはレッド、計器類にはブルーのイルミネーションが灯り、空間演出にも抜かりがありません。助手席にエスコートされた女性のウケもよく、ステキなナイトクルージングを共にするには最高の空間といえるでしょう。

 「ジェッタ2.0T」に乗ってみて、改めてフォルクスワーゲンの「脱大衆車」という指針が込められているように感じました。