ザ・対決 レクサス IS350 VS BMW 330i
ミディアムスポーツセダン編
ミディアムスポーツセダン対決

レクサスの日本上陸以来、浸透してきたプレミアムという言葉。ただの高級車ではなく、さらにプラスアルファを付加しているのだが、今回はスポーツセダンという視点で捉えてみようと思う。レクサスからはISが。迎え撃つ形になったBMWは3シリーズが登場。しかもそれぞれIS350と330iとなるだけに、3リッターオーバー対決というのも見どころだ。とくに高級かつ、スポーティという微妙な落としどころに対して、レクサスがどういった評価を下されるのかは興味のあるところである

川口みさ
PHOTO森山良雄 構成/近藤暁史
モデル/ 川口みさ

ROUND1:ファーストインプレッション

レクサス IS350
レクサス IS350
走りにこだわりあり
高級感も大幅にアップ

 海外での車名からすると、アルテッツァの後継車となるのだが、クラウンのシャーシを使用していることなどを考えると、スポーティな味付けはそのままとはいえ、車格は確実にアップ。以前のアルテッツァ時代にはあまり感じられなかった、高級サルーンの風格を身に付けている。デザインはハイデッキスタイルを強調した押し出しのあるもので、サイズ的には取り回しやすく、日本の道路事情にマッチするといっていいだろう。エンジンは2.5リッターと3.5リッターのV6を搭載し、ミッションは両グレードとも6速ATとなる。今回登場したのは上級グレードとなるIS350だが、IS250にはない挙動安定を制御するVDIMを装備している点には注目だ。また取材車は本革仕様のバージョンL(スポーティ装備のバージョンSもあり)で、総車両価格で見るとISのなかでは一番高くなり、525万円にもなる。この価格が納得できるかというのも、日本におけるレクサスの存在意義を考えるキーポイントとなるだろう。
[レクサスIS価格帯]
390.0〜525.0万円

BMW330i
BMW330i
スポーツセダンに対して
長年に渡ってこだわり続ける

 欧州ではDセグメントとしてISの真っ向ライバルとして捉えられているのが、BMW3シリーズだ。現行モデルは3シリーズ誕生30周年に合わせて、2005年に発表されたもので、5代目となる。一貫しているのは、グレード的な例外はあるものの、コンパクトなボディに直列6気筒を縦置きし、FRで駆動するという点。日本人にジャストサイズのスポーツセダンに仕立てられている。330iは3リッターの直6ユニットを搭載するが、新開発されたもので、マグネシウム合金製ブロックを採用し、話題になった。もちろん軽量化に大いに貢献するもので、約30%も軽くなっている。BMW自慢のバルブトロニック(電子制御可変バルブリフトによるスロットル)&VANOS(可変バルブタイミング)を採用。ダイレクトかつレスポンスのいい吹けが楽しめ、さらに省燃費にも貢献する。ミッションは6速ATで、マニュアルモードのステップトロニック付きだ。そしてしっかりとしつつも懐の深い味付けで定評のある足まわりについても、フロントはオールアルミ化されている。
[BMW3シリーズ価格帯]
393.3〜665.0万円

レクサスIS350 バージョンL
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4575x1795x1430mm
車両重量
1600kg
エンジンタイプ
V6DOHC
総排気量
3456cc
最高出力
318ps(234kW)/6400rpm
最大トルク
38.7kg-m(380N・m)/4800rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
10.0km/L
サスペンション(前/後)
ダブルウイッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格
525.0万円
BMW330i
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4525×1815×1440mm
車両重量
1550kg
エンジンタイプ
直6DOHCダブルVANOS
総排気量
2996cc
最高出力
258ps(190kW)/6600rpm
最大トルク
30.6kg-m(300N・m)/2500rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
9.3km/L
サスペンション(前/後)
ストラット/5リンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格
635.0万円
レクサスIS350 エンジン

GSと共通となる3.5リッターのV6ユニット。パワーは318馬力と、330iを大きく上回る。ストレスフリーの滑らかな吹けが身上だ。

BMW330i エンジン

マグネシウム合金とアルミニウム合金製を採用した直6ユニット。軽いだけでなく、静粛性の向上にも貢献している。

レクサスIS350 タイヤサイズ前:225/45R17 後:245/45R17

前後異サイズで、前:225/45R17 後:245/45R17となっている。伸びやかな細身のスポークホイールもISらしさを演出する。

レクサスIS350 インパネ

アッサリ目のデザインで、そつなくまとめられた感じはしてしまう。ただしカラーリングは切り返しをうまく取り入れて、高級感を醸し出す。

BMW330iタイヤサイズ 225/45R17

225/45R17とサイズはISより小さいが、デザインはBMWらしい骨太な感じだ。足回りについてはしっとりとした味付け。

BMW330i インパネ

高級感をうまく演出しつつも、ガッシリとしたイメージもプラスすることで、ソリッドなドライブフィールをも予感させる。

レクサスIS350 インテリア

厚みのある座面はクッションがほどよく効いている。座り心地は絶妙で包み込んでくれる感じだ。サイズ的にも日本人にちょうどいい。

レクサスIS350 インテリア

リヤシートのスペースは車格を考えると狭い。足元も最小限といったところ。ゆったりとくつろぐことができるかは微妙。ただし座り心地はいい。

BMW330i インテリア

ボディサイズは先代よりもひとまわりほど大きくなっているものの、不満はないが、室内は広々とした感じはしないというのが正直なところ。

BMW330i インテリア

広いとは残念ながらいえない後席。それでも、前モデルに比べれば広くなっている。

レクサスIS350 ラゲッジ

日本におけるセダンの評価は、ラゲッジの大きさによってなされることも多い。その点、奥行きも十分で、まったく問題はなし。

BMW330i ラゲッジ

ラゲッジは少々狭いというか、奥行きがあまりないのは残念なところだ。キャビン優先のレイアウトといっていいだろう。

レクサスIS350 VS BMW330i

シフトは最近のBMWの例にならい、直線的な動きをするもので、サイズもコンパクトなら、動きも最小限。カチッとした操作が可能だ。