メルセデス・ベンツ E550

圧倒的パフォーマンスをみせるE550

 大幅なマイナーチェンジを受けたメルセデス・ベンツEクラスの中で注目されるのは、新しいV型8気筒5.5Lエンジンを搭載したE550だ。これまでのV型8気筒5.0Lエンジンは3バルブのSOHCエンジンで、それなりにパワフルな実力を備えてはいたものの、ほかのエンジンが4バルブ化される中で、やや遅れた印象があった。それ一気に挽回するかのように排気量を5.5Lに拡大して4バルブDOHCエンジンを搭載してきた。
 
 5.5Lという排気量は従来のAMG仕様(新しいAMGは6.3Lに拡大)と同じ排気量になるが、チューニングの内容はAMG仕様ほどではないので、新しい5.5Lエンジンのパワー&トルクの数値は従来の5.0LとAMGの5.5Lとの中間的なものとなる。といっても285ps/530N・mという数値は相当にパワフルなもので、豪快な走りのフィールを感じさせる。加速の伸びはボディの重さを全く感じさせないもので、軽くアクセルを踏み込むだけで気持ち良く加速していく。

 排気量の拡大がどこまで進むのかという議論は別にあり、最近のヨーロッパ車のパワー競争は行き過ぎの印象が強いが、走りのパフォーマンスを求めるユーザーが多いことは確かであり、高いパフォーマンスを持つクルマに乗れば気持ちが良いのも確か。簡単に割り切れるものではないのがクルマという商品なのだと思うしかない。

メルセデス・ベンツ E550
E550のフロントビュー。派手な演出こそないものの、上級グレードらしいプレミアム感に満ち溢れている。
メルセデス・ベンツ E550
E550のリアビュー。マイナーチェンジで質感がさらにアップしているだけに存在感は抜群。

ベーシックなE300ステーションワゴンだって実力十分

メルセデス・ベンツ E300ステーションワゴン

メルセデスの "味" はしっかり味わえる

 E320CDIとE550に乗った後でE300ステーションワゴンにも試乗した。従来はE280と呼ばれていたのが今回のマイナーチェンジから素直に排気量通りのE300と呼ばれるようになったもの。Eクラスはミディアムクラスと呼ばれた時代から300Eが中心モデルだった経緯もあり、今回のマイナーチェンジモデルの売れ行きもセダン/ワゴンともE300が中心になるのは間違いないだろう。

 先にパワフルなエンジンを搭載したモデルに試乗し、乗る順番が悪かったためにE300の走りは特に感動的だったり印象的だったりするものではなかったが、170kW/300N・mのパワー&トルクはボディにも見合った十分なもの。E320CDIの540N・mやE550の530N・mなどというトルクのほうが過剰な性能と考えるべきだろう。

 アクセルレスポンスや加速の伸びなどを比べたらほかのモデルに及ばない部分はあるものの、Eクラスらしい質感の高い走りが得られるのも確か。加速の伸びに違いがあるといっても思い切り踏み込んだときの瞬間的なアクセルフィールだけの問題である。E300の実力は、これで十分と思わせるものだった。

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代表グレード
E300 ステーションワゴン
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4885×1820×1505mm
車両重量[kg]
1820kg
総排気量[cc]
2996cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
231ps(170kw)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
30.6kg-m(300N・m)/5000rpm
ミッション
7AT
10・15モード燃焼[km/l]
9.1km/l
定員[人]
5人
税込価格[万円]
722.4万円
発売日
2006/08
レポート
松下 宏
写真
佐藤 靖彦