ビックマイナーで反撃開始

日産のLクラスミニバン「プレサージュ」が生まれ変わった! 同社SUV「ムラーノ」にも似たスタイリッシュなマスクを得てライバル攻勢の反撃に出たプレサージュのオススメグレードとは!?
日産新型プレサージュ3.5ハイウェイスターと2.5標準車

【新型プレサージュの選び方】マイナーチェンジのポイントは

 今年2006年、日産では国内への新型車投入計画がほとんどないという。04年から05年にかけて投入された数々の新型車の新車効果もひと段落した印象だ。5月末の時点でも、昨年に比べ国内新車登録台数の落ち込みが非常に目立っている。そんな中、日産が国内市場に向け送り出す今年前半唯一のニューモデル「プレサージュ」。実際には既存車種のリニューアルなのだが、フルモデルチェンジかと思わせるくらいに随分と印象を変えてきている。まさに「ビック・マイナーチェンジ」(矛盾したコトバだが)といってよい。開発も販売現場も気合い十分!というところだろう。

日産新型プレサージュ ハイウェイスターのフロントマスク
今回のビックマイナーを象徴する新生ハイウェイスターのスタイリッシュなフロントマスク。このカットからは同社SUV「ムラーノ」とのデザイン共通性を感じさせる。
日産新型プレサージュ 250XL
こちらは標準車250XLのエクステリア。ボディ色は新色アイアンメタリック。写真のクルマに付くアルミホイールはメーカーオプション設定だ。
日産新型プレサージュ
350ハイウェイスターのリアビュー。日産全車を通じて初採用となる新色ディープカシス・パールメタリック。スポーティかつ上質な新型プレサージュのフォルムに良く似合っている。

 現行プレサージュのデビューは03年6月。後席両側スライドドアの採用や使い勝手に配慮したシートアレンジなど、同クラスのミニバンを研究し尽くしたと思われる「真面目」な内容で注目を集めた。しかしその年の秋に出た最大のライバル「ホンダ オデッセイ」の低床レイアウト・低車高デザインが放つセンセーショナルさ、あるいは今年06年に登場したエスティマの未来的フォルムなどに比べると少しばかり地味な存在となってしまったのも事実。
 今回のマイナーチェンジでは、そんな「地味」な印象を払拭する狙いがあったと思われる。もともと真面目な出来栄えがジマンのプレサージュだから、乗ってみればその良さは伝わる。あとはライバルに対抗出来るスタイリッシュさを加えれば必ず支持されるはず・・・そのためデザインを中心とした大幅リニューアルが行なわれた、というワケだ。

【新型プレサージュの選び方】グレード構成は

 スタイリッシュにリニューアルした新生プレサージュ。今回のマイチェンを期にほぼ直4 2.5リッター車中心のグレード構成に改められており、V6 3.5リッターエンジンが選べるのはハイウェイスターのみとなった。3.5リッターはFFのみでエクスロイドCVTのみと組み合わされる。いっぽうの2.5リッターには各グレードにFFと4WDが用意され、共にフルレンジ電子制御4速ATと組み合わされる。

 グレード構成は標準グレードと「ハイウェイスター」系の2つ。標準グレードの外装は直線基調のシンプルなメッキグリルの採用で上質さを増した。ホイールサイズは16インチで全車ホイールキャップが標準装備となる。いっぽうのハイウェイスター系では同社「ムラーノ」にも似た力強いフロントマスクやエアロパーツの採用でスポーティかつスタイリッシュな印象となった。ホイールサイズは17インチでアルミホイールが標準だ。内装についても同様に差別化が図られ、標準グレードでは「エクリュ」と呼ばれるベージュ系の明るい内装色、ハイウェイスター系ではブラック系のスポーティでシックな内装色が選択される。以上のことにより、グレード差によるキャラクターがより明確になった。

日産新型プレサージュ 350ハイウェイスターのインパネ
外装同様に、なんとインパネデザインも一新された。通常、マイナーチェンジでここまで手をかけることは珍しい。(写真は350ハイウェイスター)
日産新型プレサージュ 350ハイウェイスターのインテリア
350ハイウェイスターの内装。インパネデザイン一新のほか、内装素材の変更や木目調加飾などによる質感の向上など、変更点は多岐に渡る。
日産新型プレサージュ 2列目リモコンウォークイン
250XL(写真)とハイウェイスター系には、セカンドシート左側をリモコン操作により電動で倒すことが可能。3列目の乗降性に寄与する。

 標準グレードは下から250XE(240.45万円・FF/269.85万円・4WD)、250XG(247.8万円・FF/277.2万円・4WD)、250XL(255.15万円・FF/284.55万円・4WD)の3タイプ6グレード。さらにフロントプロテクター(チンスポイラ−)、サイドシルプロテクター(サイドスカート)、ルーフスポイラ−を追加したエアロバージョンも各グレードにディーラーオプションで用意される。

 いっぽうのハイウェイスター系は250ハイウェイスター(268.8万円・FF/298.2万円・4WD)、350ハイウェイスター(302.4万円・FF)の2タイプ3グレードだ。こちらにもフロントプロテクター、ルーフスポイラ−を追加した「スポーティバージョン」が同様にディーラーオプションに設定されている。

日産新型プレサージュ ディーラーオプションのエアロバージョン(左)とスポーティバージョン(右)
ディーラーオプションのエアロバージョン(左・250XL)とスポーティバージョン(右・350ハイウェイスター)。標準車に比べ随分と雰囲気が変わる。
日産新型プレサージュ 350ハイウェイスター
エルグランドに代表されるエアロ装着の日産「ハイウェイスター」シリーズ中、プレサージュはエアロの『後付け』感も少なくシンプルかつ違和感なく収まっている印象だ。(写真は350ハイウェイスター)
日産新型プレサージュ ナビ非装着車
マイナーチェンジ前は最初からモニタースペースが確保されていたため社外品のカーナビを装着することが事実上不可能だったが、今回のマイナーチェンジによりナビ非装着車に2DIN分のスペースが確保された。

【プレサージュの選び方】ライバル車は

 価格帯としては200万円台中盤から300万円台前半にかけてのゾーン。クラスとしてはLクラスミニバンと呼ばれる。先に記したように最大のライバルは「ホンダ オデッセイ」と「トヨタ エスティマ」だ。この他にも「マツダ MPV」も強力な対抗車となる。これらライバルと新型プレサージュの4台を比較してみよう。4車は全長4770mm〜4870mm、全幅1800mm前後に収まるボディサイズを持つことで共通している。

 その中でオデッセイは、なんといっても低床レイアウトによる全高1550mmという驚きのスタイルに注目が集まる。全長もライバル中最短の4770mmだ。タワーパーキングにも収まる低い車高は普通のステーションワゴン並で、世界にも類を見ないセールスポイントとなる。しかしそのしわ寄せがパッケージングに現れているのも事実。特に3列目シートの居住性や乗降性にその影響が大きい。

 方や「王者」エスティマは高い車高を持つため3列目への乗降性能がライバルの中では抜きん出ている上、3列目自体十分な広さを確保する。ただし車高は1730mm(アエラス・FF)とライバル中抜きん出て高く、卵型のモノフォルムということもあり随分と大きなクルマに感じられるが、その分室内空間は4車中最も広々と取られている。この車高・フォルムをメリットと取るかデメリットと取るかはユーザーの考え方次第となるだろう。なお地上から床面の高さ自体はやや高く、スライドドアからの子供やお年寄りなどの乗り降りの面でやや不便かもしれない。ただしこれは4車を比較してのハナシなので念の為。

日産新型プレサージュのライバル「トヨタ エスティマ」
日産新型プレサージュのライバルその1「トヨタ エスティマ」
日産新型プレサージュのライバル「ホンダ オデッセイ」
日産新型プレサージュのライバルその2「ホンダ オデッセイ」
日産新型プレサージュのライバル「マツダ MPV」
日産新型プレサージュのライバルその3「マツダ MPV」

 MPVとプレサージュ(ともに車高1685mm)は両車の中間という感じで、乗降性と日常の使い勝手を兼ね備えた丁度良い落としどころとなっているといえるだろう。これ以上の広さを求めるならエスティマか、いっそのこと、より大きいLLクラスの「トヨタ アルファード」「日産 エルグランド」「ホンダ エリシオン」なども検討に加えるべきだ。

 なお、直4 2.4リッター級(プレサージュは2.5、MPVは2.3だ)のエンジンラインナップに加え、エスティマとプレサージュではV6 3.5リッターの高排気量エンジンをラインナップするが、エスティマが300万円台中盤から400万円台がボリュームゾーンになるのに対し、プレサージュでは302.4万円(350ハイウェイスター)と随分と戦略的な値付けとなっていることにも注目したい。
 排気量こそノーマル同様だが、オデッセイではスポーティグレードのアブソルートに「エンジンのHonda」ならではのハイチューンI-VTEC 2.4リッター200psエンジンを積む。価格は278.25万円(FF)。
 いっぽうのMPVでは2.3リッターをベースにターボエンジンとすることで245psの大出力を実現している。そのターボ搭載グレード23Tが280.0万円(FF)というから、こちらもライバルに比べて非常に買い得感がある設定といえるだろう。

【新型プレサージュの選び方】オススメグレードは

 さて新型プレサージュを選ぶ際、まずは標準タイプとハイウェイスター系のいずれかを取捨選択する必要がある。
 まずは標準車。こちらは3グレードがあり、価格はFF・4WDともにそれぞれ73,500円差で設定されている。全て2.5リッターのみの設定だ。ベーシックな250XEと中間グレード250XGの主な違いはリア5面のプライバシーガラス、CD一体オーディオ(XEはオーディオレス)などだ。メーカーオプションの「カーウィングスナビゲーションシステム」(サイド・リアビューモニターとセット)「プレサージュスーパーサウンドシステム」も250XG以上で選択が可能となる(ディーラーオプションのナビ・オーディオはXEでも装着可能)。リモートコントロールエントリーキーは両車とも標準装備だ。以上のことから、自身で自動車用品店やパーツ店などに出向きドレスアップをやる、というユーザーでない限り250XG以上から選んだほうが無難な選択となる。
 さて、標準車のトップグレード250XLとの差は、バンパー組み込みフォグランプ、本革巻ステアリング、インテリジェントキー(スマートキー)、イモビライザー、オートスライドドア(助手席側のみ)などの快適・安全装備などとなり、価格差も妥当といえる。しかもコレらの装備は下位2グレードではメーカーオプションでも選ぶことが出来ないというところがポイントだ。日産のインテリジェントキーは、一度使うとヤメラレナイ快適装備の代表。またヒンジタイプのドアに比べ重さのあるスライドドアで電動スライドが選べないのは非力な女性ユーザーには困るかもしれない(※オートクロージャ−は左右とも全グレードで標準装備)。このあたりが気になる方はディーラーで試してみるといいだろう。
 というワケで新型プレサージュ、編集部がオススメする標準タイプは250XLだ。オデッセイの上級グレード「L」(273.0万円・FF)と比べるとバリュー度もある。

日産新型プレサージュ 250XLのインパネ周り
標準車「250XL」のインパネ周り。日産お得意のエクリュ内装色がファミリー層好みの暖かい雰囲気だ。
日産新型プレサージュ 250XLのキャプテンシートモード
250XLのキャプテンシートモード。2人掛けの独立シートだ。コレはマイナーチェンジ前からプレサージュの特長だったシートアレンジ。この状態から・・・(右に続く)
日産新型プレサージュ 250XLのベンチシートモード
(左から続き)250XLのベンチシートモードに変化する。なんとセカンドシートが前後のみならず左右にも移動するのだ。また、この状態では3名乗車も可能になるというカラクリぶり。

 いっぽう3.5リッターエンジンが欲しい!となれば、これは自動的にハイウェイスターになる。
 ハイウェイスターは充実装備の250XLをベースに、専用のエアロパーツや内装を装備するグレードだ。2.5リッター同士では136,500円高の268.8万円(FF)となる。エアロパーツを後付けすると考えればこの価格差は割安だ。なお4WDが必要な場合も今のところ3.5リッター版は用意されておらず、自動的に2.5リッターを選ぶことになる。
 単にエアロパーツが欲しい、ということであれば標準車に前出のエアロバージョン(ディーラーオプション・取り付け費込み価格171,365円)を装着する手もあるが、250XG(247.8万円・FF)と250ハイウェイスター(268.8万円・FF)の価格差(210,000円)を考えると、コレもやや微妙なところ。
 そもそも今回の新型プレサージュで一番の目玉である(と筆者は思う)ハイウェイスター系のスタイリッシュなフロントマスクや一体感のあるサイドシルプロテクターはディーラーオプションのエアロ(※形状が異なるのだ!)では代用が利かないのだから。そう考えると、もとも装備充実のハイウェイスター系、特に250ハイウェイスター(268.8万円・FF)はエアロ派のみならず全タイプ中で最もオススメグレードとなる。これに、予算が許せばメーカーオプションの「カーウィングスナビゲーションシステム」(サイド・バックビューモニターとセット・301,350円高)や運転席・助手席SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンエアバッグシステム(94,500円高)もプラス装備したいところだ。多くの乗員を乗せるミニバンだけに、安全装備には投資したほうが良い。コレはCORISM編集部からの提案だ。

 しかしライバルのひとつであるMPVが、非常にバリューな価格設定(ターボエンジン搭載の23T・FFが280.0万円)であることを考えると新型プレサージュの250ハイウェイスターがやや割高な感も否めない。そのあたり惜しいところで、標準車の250XGやXEに相当する「廉価版ハイウェイスター」も欲しい。これは今後の特別仕様車・限定車等の展開に期待したい。

( レポート:徳田 透<CORISM編集部>/写真:和田 清志<TOP写真> )

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written by 徳田 透
職業:町のクルマ好き
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