F1ヨーロッパGPは、地元ミハエル・シューマッハが連勝!

5戦目のドライバー交代劇

5戦目のドライバー交代劇

 F1ヨーロッパGPはドイツ・ニュルブクリンクサーキットで行われたが、GPウィークの初日、スーパー・アグリ・F1チームからドライバー交代の発表があった。第3ドライバーのフランク・モンタニーと第2ドライバーの井出有治が交代することとなったということだ。この交代は、FIAからの通達で井出有治選手のレース出場を見合わせるようにとの連絡が入ったことによるもの。井出選手は急造アグリチームで事前テストが殆どできずに参戦し、4戦を戦い完走はわずか1回。第4戦では、スタート直後にクリスチャン・アルバースと接触し、アルバースは横転する大クラッシュとなった。この件に関してFIAから厳重注意の処分が行われていたが、それに加えた措置となる。モンタニーはルノーなどで多くのテストをこなし、F1での走行実績が多く期待出来るドライバーではあるが、準日本チームの日本人ドライバーが減ることは悲しいものである。(逆に久々のフランス人ドライバー参戦でフランス人にとっては嬉しいニュースであろう。)

予選はルノーのアロンソがポールを奪取

 予選ではルノーのフェルナンド・アロンソが唯一1分29秒台のタイムでポールポジションを獲得、しかし、前戦サンマリノで復活の優勝を遂げたフェラーリのミハエル・シューマッハが予選2番手、3番手もフェラーリのフェリペ・マッサが入るなどフェラーリが一昨年までの速さを取り戻した。予選4番手はホンダのルーベンス・バリチェロが続き、ホンダもこの2チームに何とか追いつきたいところだろう。また、スーパー・アグリの佐藤琢磨は予選21番手、モンタニーはトラブルでタイムが出ず22番手となっている。

ピット戦略とレースコントロールによる勝利

 決勝レースはアロンソとシューマッハの争いに終始した。アロンソはスタートでトップを守り、ミハエルが2位の状態でレースは進み、アロンソのペースでレースは進んでいるのかと思われた。ピットインもアロンソが先で、その後ミハエルがピットインする。1回目のピットインではアロンソの翌周にミハエルがピットインし順位はそのまま。しかし、レース展開が変わったのは2回目のピットインであった。
 38周目にアロンソがピットインすると、そこからミハエルがスパートをかけ41周目にピットインする。そしてミハエルがコースに復帰した時、アロンソはミハエルの後ろ。ミハエルの戦略が成功した。今年はブリヂストンタイヤの性能も良く、フェラーリもマシンも速い。チームが一丸となって一昨年の速さを取り戻した瞬間だ。抜きどころのないニュルブルクリンクのレースはそのままゴールを迎え、シューマッハの2連勝となった。アロンソは2位。
 3位はマッサが入り自身初の表彰台、4位マクラーレン・メルセデスのキミ・ライコネン、5位バリチェロ、6位ルノーのジャンカルロ・フィジケラ、7位ウィリアムズ・コスワースのニコ・ロズベルグ、8位BMWザウバーのジャック・ビルニューブまでが入賞となる。

ルノーVSフェラーリがどうなるか

期待したいホンダチーム

 今年は予選方式も変更されレースも昨年より面白い展開が多いが、フェラーリに強さが戻ってきた事で今後更に面白い展開となる。昨年のルノー&アロンソのコンビは、ミハエルのような強さがあった。もちろん今年も同様の強さがあるが、フェラーリとの全面対決では、同じルノーのフィジケラが鍵となるだろう。フィジケラも第2戦で優勝しており、一線級の速さを持つが安定性に欠ける。今回も予選の失敗で上位入賞を逃してしまっている。それに対してフェラーリのセカンドドライバーであるマッサは、今回初表彰台ながら一戦一戦調子を上げてきており、今後のレース展開に期待が持てる。もちろん、フィジケラも今後優勝を狙ってくるだろうが、アロンソの安定した強さと比べると厳しい面がある。フェラーリの速さが本物になった今、アロンソとミハエルのそれぞれのチームメイトの働きが、チャンピオンシップを大きく左右するだろう。
 もちろん、マクラーレン・メルセデスも優勝を狙えるところにおり、ライコネンの速さにも注目したいところだが、序盤の躓きが今後重くのしかかることだろう。また、ホンダもマシンの性能が十分発揮されておらず、厳しい戦いが続いているのと同時に、今年加入したバリチェロが乗りきれていないのが痛い。中盤以降にこの2チームがチャンピオンシップを面白くしてくれることを願う。

次戦はアロンソの地元スペイン

 F1第6戦はスペインで開催される。地元のアロンソが昨年チャンピオンを獲得したことで、スペインでのF1人気は高まりミハエルとの優勝争いは大いに盛り上がるだろう。
5月14日が決勝となる。

 井出有治選手のスーパーライセンスが取り消しになるとFIAから発表があった。これで今年のF1に参戦する日本人は佐藤琢磨選手だけとなってしまった。井出選手の分も琢磨選手を応援しよう。