ハマーH3

ハマーってどんなクルマなの?

最近、都内を走るクルマの中で最も目立つのはハマーだ。ハマーといえば、元々は米軍用に作られている軍用 車で、ごく一部が市販される形だった。ハマーがGMの傘下に入った後は、一般のユーザー向けの販売も意識したクルマ作りをするようになり、それが三井物産オートモーティブを通じて日本にも輸入され、注目を集めている。

ハマーの一般化 "H2からH3へ"

 特に注目されるのは最初に導入されたH2だが、これはさすがに大きすぎて日本では扱いにくいシーンが多くなる。そんな日本で大柄なボディのハマーH2を乗り回すから注目されるのも確かだが、あまりに現実的ではない面があるといえる。
 そこで、もう少し現実的なハマーとして注目されるのがH3。こちらは角張ったデザインの外観は見るからにハマーそのものであるものの、ボディサイズはやや小さくなって扱いやすさも確保されている。といっても1980mmの全幅は日本では大きすぎるくらいに大きいといえるのだが・・・。

ちょっと意外なインテリア

 インテリアはサイズの割にはタイトなイメージがある。というのも室内高があまり高くないからだ。横方向の広さというか、運転席と助手席の距離の遠さは相当なものだが、特に後席に座ったときなどはルーフの低さがタイト感を感じさせる。インパネ回りのデザインはごくシンプルで機能的なものだ。

気になる走りはどうか?

 ハマーH3の基本プラットホームはハマーオリジナルのものではなくGM製。搭載エンジンは直列5気筒3.5LのDOHCエンジンで、基本的には4速ATとの組み合わせだが、タイプSには5速MT車の設定もある。試乗したのは4速AT車だが、走りのフィールは普通のSUVに近い感覚のもの。ハマーであることを意識せずに運転できるクルマである。
 164kWの動力性能はまずまず十分なものだが、車両重量も2100kgを超えていて相当に重いので、特に良く走るという感じではない。全体に重厚感のある走りが実現されている。アイポイントが高く、視界が開けている分だけ取り回しの悪さをカバーしてはいるが、2m近い全幅があるとさまざまなシーンで走りに気をつかわざるを得ない。あくまでも慎重な走りが必要である。

ハマーH3
十分大きいサイズであるのにも関わらず、もともとの "H1" "H2" のイメージからか、どことなく可愛らしいイメージを感じてしまう。日本でも同じような商品戦略で"パジェロ" "パジェロイオ" "パジェロジュニア" "パジェロミニ"というのいがあったが、こちらはスケースが違う。
ハマーH3
リアスタイルも、やっと実感のわくイメージになった。そしてハマーシリーズの中ではもっとも洗練された印象だと思う。目立つことには違いないが、都会で走っていてもしっくりくる。また、圧倒的な存在感は他車では得られない独特のものである。圧倒的な存在感を誇り、ある意味もっとも輸入車らしい輸入車だろう。
ハマーH3
エクステリアの強烈なイメージに比べれば、いたって "普通" のインテリア。ちょっと物足りないと思う人もいるかも知れない。しかしハマーはもともと軍用車であり、実用性の極地を求めてきたワケ。だから逆に、このストイックな世界観を認められる人が乗るべきクルマだとも言える。
代表グレード
タイプS 4AT
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
4720×1980×1860
車両重量[kg]
2150
総排気量[cc]
3460
最高出力[ps(kw)/rpm]
223(164)/5600
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
31(304)/2800
ミッション
4AT
定員[人]
5
税込価格[万円]
512.4
発売日
2005.6
レポート
松下 宏
写真
佐藤靖彦