【スマート フォーフォー プチ試乗記】

スマート "for four" の特徴

　今では完全にメルセデス・ベンツの子会社になったスマートが２番目のブランドとして投入したのがフォーフォー。フォーツーと同様にトリディオンセーフティセルと呼ぶ独自の安全ボディ構造を採用するが、そのセルの形状をそのまま表現した外観デザインが大きな特徴で、ドアパネルなどとツートーンカラーの個性的なデザインとなる。インテリア回りは丸をモチーフにしたデザインで統一されており、これもフォーツーと共通する。

"smart" らしい遊び心あふれるエクステリアを "for two" から踏襲して、5人乗りながら非常に個性的な佇まいである。

丸目4灯のヘッドライトがとてもカワイイフロントマスク。似たクルマを探すのはかなり困難である。

リアスタイルもかなり特徴的。シルエットだけ見ればオーソドックスだが、各所のデザインで個性を際立たせている。

テールランプも "6灯式" と変わっている。周りはブラックアウト化され、映えるコントラストだ。すっきりしていてスタイリッシュ!

アルミホイールはコンベンショナルなデザインを基調とする。しかし都きちんと会的で洗練されており、クルマとの相性はいい。

"for four" のエンブレムがつく。ちなみに "for two" にも同様の演出がされており、きちんとブランド化されていることが伺える。

外観に負けずユニークなパワートレーン

　搭載エンジンは三菱やヒュンダイと共同開発したアルミブロックの直列4気筒1.3Lと1.5Lの2機種。試乗したのは1.5Lエンジンの搭載車で、80kW/145N・mの実力はこのクラスのエンジンとしてはまずまずのもの。樹脂パネルの採用などによって軽量化を進めたハッチバックボディは1000kgを少し超える程度の軽さなので、動力性能は十分といえる。

　トランスミッションはATモード付きの6速シーケンシャルタイプ。MTを自動変速化したもので、自動変速時にトルクが抜ける感じになるのはフォーツーと同じ。動力性能の高さを生かしてマニュアルモードでスポーティな走りを楽しむこともできるが、ATとしてのデキには不満も残る。

ドイツ流の足回り&安全性

　硬めに味付けられた足回りはしっかりした乗り心地を感じさせ、操縦安定性のレベルも高い。特に高速クルージング時の安定感というか、落ち着きの良さはメルセデス・ベンツのものといえる。

　横滑り防止のESPを全車に標準装備するなど、安全性の高さはメルセデス・ベンツ傘下のクルマらしいところ。

特に個性的な内装

個性的な内外装のデザインを持つ特徴的なコンパクトカーとして一定以上の魅力を備えている。

高い質感を実現しつつT、スポーティさと遊び心を兼ね備えたインテリア。

大型のサンルーフは、もともとユニークな "for four" の室内をよりいっそう明るいモノにする。

ユニークなデザインのメーターを採用。見るだけでも価値がある。

シフトノブもシンプルで操作がしやすい。親しみやすさを感じさせる造形である。

十分な空間を確保しているフロントスペース。ドイツ流のシートの良さで、コンパクトカーとは思えない快適性も追求。

リアシートもきっちりつかえ、実用性を犠牲にしていないことがわかる。

●まとめ

　1.3なら200万円以下で買えるが、1.5でも230万円弱の価格設定。いずれも国産車とは比べられないが、際立つ個性を考えるとそれなりに納得できる価格である。並みのクルマとは違ったクルマが欲しい人にお勧めだ。

代表グレード	1.3
ボディサイズ［mm］（全長×全幅×全高）	3790×1685×1460mm
車両重量［kg］	1030kg
総排気量［cc］	1332cc
最高出力［ps(kw)/rpm］	95ps(69.87kw)/6000rpm
最大トルク［kg-m(N・m)/rpm］	12.7kg・m(24.54N・m)/4000rpm
ミッション	6AT
10・15モード燃焼［km/l］	15.6km/l
定員［人］	5名
税込価格［万円］	184.8万円
発売日	2004/09
レポート	松下 宏
写真	佐藤 靖彦