日産 オッティ
オッティ

日産が言うところの「シカク」が強調されたオッティのスタイリング。

オッティ

リアから見ればオッティのグラスエリアの広さがよくわかる。これが取り回しをよりいっそう向上させてくれる。

オッティ

オッティに用意されているエンジンはNAとターボの2種類。どちらも環境性能に優れている。

オッティ

操作系がすべてセンターに集められており、使い勝手に優れるオッティのインパネまわり。

オッティ

オッティのフロントシートは軽自動車であることを忘れるくらいにゆったりしている。

オッティ

オッティのリアシートも、問題なく大人が座れるひろさがある。このパッケージングは凄い!

オッティ

スクエアなボディがラゲッジスペースにも好影響を与えている。絶対的容量は小さいが使いやすい。

SHIFT_Heart Beat Motors オッティ!

 Mr.コストカッターことカルロス・ゴーンCEOのもと、奇跡的な回復を見せた日産自動車。魅力的な車種構成と、徹底したコスト管理がキモであったのは皆さんご承知の通り。Z33型フェアレディZをはじめ、ムラーノ、ティーダ、ティーダ・ラティオ、ノート、ラフェスタと続いた新型車ラッシュの陰に隠れがちであが、ゴーンCEOのもと軽自動車の拡充も図られたのである。これも日産リバイバルプランの柱であったことは揺るぎない事実だ。
 その第1弾としてスズキからOEM供給を受けているモコが、第2弾は三菱からはクリッパーが販売となった。そして、このたび第3弾となる軽自動車オッティが登場した。このモデルもクリッパーと同じく三菱からOEM供給を受けるモデルで、ベースとなったのはekシリーズである。
 オッティは幅広い層に訴求するシンプルなエクステリアと、扱いやすさと開放感のあるインテリアを持っているのが大きな特徴。また、余裕の空間をもちながら立体駐車場にも入れられる車高や、豊富な収納スペースを持っている使い勝手に優れたモデルである。さらに、大きなガラスエリアとスクウェアなボディによる運転のしやすさとともに、扱いやすさと高性能を両立させた2種類のエンジンと優れたサスペンションをもち、ライバルに引けをとらない快適な走行性能を実現させているのも自慢のポイントであるという。

ユニクロのフリースなみのカラバリと使い勝手の良さが自慢のオッティ

 エクステリアデザインで三菱のekシリーズと大きく変わった点を探すとすれば、フロントマスクやリア周りの処理だけである。しかし、それ以外の部分でekシリーズと大きく差別化が図られているのだ。
 それはカラーバリエーション。オッティにはランスブルーや、ライトオレンジ、ペールベージュに、クールシルバーといった今までの軽自動車では考えられない(逆に今の日産車であれば当たり前といえる)ほど、個性的で明るいボディカラーがなんと10色も用意されている。日産は「シカク」と表現するスクウェアでシンプルなボディラインをよりいっそう強調してくれる鮮やかなカラーリングがこそが、オッティ最大のセールスポイントなのかもしれない。
 もちろん、何度も言うがオッティの元になっているのは三菱のekシリーズである。今やランエボ、コルトとならび三菱の貴重な稼ぎ頭となっているクルマがベースになっているというのであるから、使い勝手に文句が付くワケがない。
 広く居心地の良い居住空間と扱いやすいボディサイズを両立させたパッケージング。毎日の扱いやすさを考えた大きなガラスエリアによる広い視界。立体駐車場にも入れられる1550mmの全高、操作系をセンターに集中させ、収納を左右に振り分けて配置した使い勝手の良いダッシュボード。各席乗員の用途に合わせて設定された多彩な収納。書き出したらどんなに文字数があっても足りないほど、オッティのユーティリティは考え抜かれている。小さな軽自動車によくぞココまで詰め込みましたねといった感じだ。やはりこれは軽自動車を作り慣れている三菱だからこそできた結果であろう。きっと、日産がゼロから軽自動車を作った場合、経験値のなさからこのような仕上がりは望めなかったと思われる。

オッティは走りだって自慢! 目玉はグリーン税制が適用されるターボエンジン

 オッティに用意されているエンジンは2種類。街乗りに最適な扱いやすさと経済性を両立させた660ccの3G83型エンジン(最高出力50ps、最大トルク6.3kg-m)と、街乗りから高速道路、山道までをパワフルに走ることが可能な660ccの3G83型インタークーラーターボエンジン(最高出力64ps、最大トルク9.5kg-m)だ。駆動方式はどちらも2WDと4WD が選べ、トランスミッションは5速MT、4速AT、3速ATの3タイプが用意されている。
 これらのエンジンを環境面から見てみると、2WDの3G83エンジン車が平成17年基準排出ガス75%低減レベル(SU-LEV)、4WDの3G83エンジン車および3G83インタークーラーターボエンジン車は平成17年基準排出ガス50%低減レベル(U-LEV)に適合している。また、2WD/4WDの3G83エンジン5速MT車は「平成22年度燃費基準+5%」を達成、2WDの3G83エンジン3速AT/4速AT車は「平成22年度燃費基準」を達成し、それぞれグリーン税制の優遇措置を受けることができる。
 このへんはターボエンジンを作り続けている三菱の面目躍如といったところであろうか。日本で初めて量産車にターボエンジンを搭載したのは日産であるが、環境問題が厳しくなろうとも、安全基準が厳しくなろうとも、ターボエンジンを作り続けてきたのは三菱である。ランエボを頂点に据えた過給器付きエンジンのセッティングこそ三菱最大のセールスポイントである。そのDNAと技術がオッティにも当然のように注ぎ込まれているということだ。
 まさにハート・ビートがシフトした軽自動車。日産と三菱のいいとこ取りといえるオッティは軽自動車戦線の台風の目になるかもしれない。それに、このクルマは日産の経営面にとっても三菱の経営面にとってもプラスに働くことは間違えないだろう。

代表グレード
RX
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
3395mm×1475mm×1550mm
車両重量[kg]
850kg
総排気量[cc]
657cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
64ps(47kW)/6000rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
9.5kg-m(93N・m)/3500rpm
ミッション
4速AT
10・15モード燃焼[km/l]
16.0km/l
定員[人]
4人
税込価格[万円]
137.55万円
発売日
2006年6月7日
レポート
神田卓哉(221616.com編集部)
写真
和田清志
取材協力
日産自動車