ツウ好みに仕立て上げられたエンジンは、それだけでも魅力大!
初代モデルの登場以来、ジャパニーズスポーツカーの代名詞として君臨してきたフェアレディZ。世界中のスポーツカーを向こうに回し、大活躍をつづけてきた歴史的名車だ。あの箱スカGT-Rと同じS20型エンジンを搭載し、世間をあっといわせた初代S30型のZ432。いまだにチューニング業界では名機の誉れ高い2.8リッターのL28型エンジンを搭載し、アメリカで大人気を博した2代目S130型。そして3代目のZ31型は日本製スポーツカーにV6エンジンを初めて搭載させ、つづく先代のZ32型はV6・3.0リッターツインターボを搭載し、280馬力の自主規制まで設定させてしまった歴史がある。
まさにフェアレディZは日本スポーツカー史上に燦然と輝く伝説なのだ。
が、1月13日、ここに新たなるページが加わったのだ。日産は、フェアレディZの生誕35周年を記念して期間限定モデル35th Anniversaryを登場させたのである。
このモデルのすごいところは、インテリアやエクステリアのデコレーションに力を入れたのではなく、車の心臓ともいえるエンジンの改良に心血を注いだ点である。搭載されているエンジンは標準モデルと同じV6・3.5リッターVQ35DEエンジンだが、その内部には徹底的に手が加えられているのである。
ノーマルのVQ35DEエンジンはどちらかというとトルク重視型のユニット。発進時はまるでロケットスタートのような加速を見せてくれるが、高回転時の伸びに不満が残る状態だった。日産は、なんとここにメスを入れた。低回転時の大トルクからよどみない高回転域まで一気に回りつづける気持ちよさを両立させようと、まず世界初となるe-VTC(電磁式バルブタイミングコントロール)をエキゾースト側に採用した。
プラスかマイナスか。これによりある一定の回転粋に達すると瞬時にバルブタイミングが切り替わることになるので、パワーラグがなく0から280馬力まで一気にエンジンがそのポテンシャルを発揮できるようにしたのだ。無論、これだけでエンジンの改良は終わっていない。あわせてカム動作角の拡大や、インテークマニフォールドの形状変更、ピストンリングの張力アップも行った。
さらに、コンロッドボルトの変更や、クランクシャフトの油圧経路変更までやってしまったのだ。これによりVQ35DEの最高回転数が6600回転から7000回転にまでアップした。最高出力は280馬力とノーマルと変化はないが、その回転のスムーズさは比べ物にならないほどになったのは間違いない。
日本を代表するスポーツカーの35周年記念モデルであるからと登場したZの35th Anniversary。特別仕様として、標準装備になるのはスペシャルエンブレムと新形状の18インチアルミホイールだけというところがニクイ演出だ。「スポーツカーに重要なのは見た目じゃなくって、走りでしょ?」とでも言いたげなフェアレディZ35周年記念車の価格は388万5000円。当然トランスミッションは6速MTのみ。そして、このモデルは05年の5月末受注分までの販売なので、歴史の1ページに自分も参加したいと思う人はすぐに注文を。