<燃費なのか? 走りなのか? ハッキリさせて?>
スバルXVハイブリッドスバルは、スバル初となるハイブリッドSUVであるXVハイブリッドの発売を開始した。発売直後2週間の受注は絶好調。なんと、月販550台の目標に対して10倍を上回る5,580台もの受注を集めている。それほど、スバルのハイブリッド車に対する期待値が高かったことがうかがえる。

XVハイブリッドは、1モーター式のハイブリッドシステムを使ったモデル。トヨタとの関係が強いスバルだったので、トヨタの2モーター式ハイブリッドTHSIIかと噂も一時期あったが、実際は簡易タイプの1モーター式でのデビューとなった。XVはインプレッサスポーツをベースに、車高を上げ最低地上高200mmを確保。樹脂製フェンダーアーチやアンダーガードを装備して、SUVらしさをアップさせたモデル。さらに、スバルのAWDが加わり、本格的な走破性も兼ね備えている。

スバルXVハイブリッドXVハイブリッドのハイブリッドシステムには、10kw&65Nm程度という小さいなモーターが使われている。これは、ホンダのインサイトやフィットハイブリッドのモーターと同じ出力で、トルクは78Nmとホンダが上回る。ホンダのIMAもほとんどモーターによるEV走行ができなかった。そのため、XVハイブリッドもほとんどEV走行ができないものとなっている。そのため、燃費はガソリン車に対して約30%アップの20.0km/Lと、最近のハイブリッド車と比べると少々物足りない結果となっている。

その小さいモーター分を補うために、エンジンが大きく進化した。FB20というエンジン型式やパワー&トルクも同じでも、まったく違うものになっている。エンジンの再始動を滑らかに行うために、インテグレーテッドスタータージェネレーター(ISG)を採用。さらに、高圧縮比化や吸気レイアウトの変更、クールドEGRの採用された。その結果、得られた燃費が20.0㎞/Lという低燃費性能なのだ。このエンジンの開発は、結果的に今後他のガソリン車の燃費を上げるシナジー効果もある。

スバルは、このXVハイブリッドは走りのハイブリッドだとも言う。しかし、乗ってみると、ほんのすこしだけガソリン車よりはフィーリングがよく上質なイメージで、言うほど速さは感じない。10kWのモーターではそれが限界。XVの車格のクルマには、さすがにこのモーターは小さ過ぎる。ハイブリッド車は、重く大きな電池を積む。そのため、もはや10kWのモーターでは、その分の車重増で相殺されている感じだ。

燃費なのか、パワフルなのか、どちらにしても少々役不足な感じのするモーターとなっている。スバル側としてみれば、無難なところで着地しようとしたのだろうが、燃費なのか走りなのかどうも中途半端感がにじみ出ている。個人的には、スバルにはF1のKERSのように、使える時間は僅かでも明確に速さをアピールして欲しかった。

ただ、マーケティング的には素晴らしい。このクラスのSUVで4WDは、マーケットには存在しない唯一無二の存在。最近の低燃費車の多くがAWD仕様を見放している。そのため、エコカー減税免税でAWDでSUVとなるとXVハイブリッドしかない。そう考えると、積雪地方の顧客にとっては価値があるクルマになる。

<人気のアイサイトは最上級グレードでしか選べない設定は・・・>
スバルXVハイブリッドさらに、スバルのマーケティングは巧妙だ。XVハイブリッドを買った顧客の90%以上がスバルの安全技術の売りであるアイサイト付きのグレードを選んでいる。それは、最上級グレードしかアイサイトの設定が無いためだ。最上級グレードほどの装備が必要なくても、アイサイトは欲しいという顧客は多いのだろうが、そういう設定なので最上級グレードを選ぶしか無い仕組みになっている。自動的に顧客はスバルにとって、一番利益の出る最高級グレードを選ぶしか無いのだ。これだけの人がアイサイトを選ぶのだから、アイサイトを標準装備としても良かったかもしれない。XVハイブリッドは、オプションのナビまで装着すれば、300万円を超える高級車。リセールバリューをも含めれば、結果的に最上級グレードを選んだほうが満足感は高い。

■スバルXVハイブリッド価格
・HYBRID 2.0i 2,499,000円
・HYBRID 2.0i-L  2,677,500円
・HYBRID 2.0i-L EyeSight 2,782,500円