長引く不況のなかでも消費が�ゼロ�になることはない。消費者は�買わない�のではなく、�買う基準を高めている�ということが容易に想像できる。つまり商品に関する情報を事前に収集し、充分に吟味したうえで、選別するというのが消費動向の実態であるといっていい。かつては高い買い物ほどこうした傾向が強かったが、昨今は身近なものであっても購買行動は慎重になってきている。
こうした状況下にあって着実に業績を伸ばしている企業は少なくない。中古釣り具を扱う『タックルベリー』もそのひとつだ。同社は2000年、リサイクル・リユース事業のなかでアウトドア・レジャー用品分野に着目。当時、まだどこも参入していなかった釣り具に特化した中古専門店を設立。そんなタックルベリーの取締役営業本部長である明楽氏に、中古釣り具業界について話を伺った。
釣り具業界ではここ数年、新品の売れ行きが伸び悩んでおり、とくに個人で経営する釣具店は減少傾向にある。その一方でタックルベリーをはじめとした中古品を取り扱う小売店が注目を集めている。リサイクル、リユース、リデュースの3Rが、広く浸透したことはもちろんだが、やはり「中古品=購入しやすい』というメリットが消費者の購買欲を高めていることは間違いない。
こういった動向は、中古文化の代名詞ともいえる中古車も同様。中古のエコカーを選べば、リユースにもなりさらにエコになりダブルエコである。
ひと昔前なら、他人が使っていたもの、ましてそれを購入するという行為に躊躇する人は少なくなかった。しかし、釣り具に限らず、近年は技術革新が進んだことで、性能・機能・耐久性など、品質に対して不満を覚えることが少なくなった。これが中古品が売れるようになった大きな要因のひとつだ。また、インターネットでのオークションの普及も中古品流通の拡大を促したことも間違いない。さらに、ユーザーサイドが中古品に対するリスクを理解してきたことも付け加えておこう。
タックルベリーではこうした市場動向やユーザーニーズを的確に読み取り、迅速な店舗展開によって市場を拡大させてきた。また、同社の取締役営業本部長である明楽氏は、「買取品の査定を全国で統一すると同時に、全店舗の在庫情報を共有、商品を自由に検索・取り寄せられるようにしたことで、商品回転率や市場動向を踏まえたプライシングを実現しています」という、タックルベリーならではの強みを語ってくれた。
不要になったものを買い取り、それらを欲しいと思う人に適正価格で提供する。そこには、一片のムダも存在せず、趣味を謳歌するための経済的な無理もない。まさに、スマートな中古文化の真髄があるのだ。