達人「松下 宏」が斬る!
職業:自動車評論家
中古車の業界誌から自動車誌の編集者を経て、自動車評論家に。誰でも買える価格帯であり、小さくて軽く、そして燃費がよいということを信念として評論。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。そのため、大本命といわれている車種さえ外して...
カーボン製パーツを装着した迫力あるルックス
光岡自動車がファッショナブル・スーパーカーとして開発して大注目を集めた大蛇(オロチ)の09年モデルとしてカーボンパーツを装着した大蛇・兜(オロチ・カブト)が設定された。
光岡自動車では企業規模から考えても相当に大きな投資をして大蛇(オロチ)を開発したので、長い時間をかけて投資の回収を図る計画。といっても単純に同じモデルを長期にわたって生産したのでは飽きられてしまうため、さまざまな変更や改良を加えながら進化させていく計画とのこと。それを具現化したのが今回の大蛇・兜(オロチ・カブト)である。
09年モデルではボディカラーを絞ることで生産効率を高め、これによって標準車の価格を1092万円に引き下げたほか、カーボンパーツを装着した大蛇・兜(オロチ・カブト)を5台の限定車として1380万円で発売した。
ベースの大蛇(オロチ)の外観スタイルも相当に奇抜なもので、ワイド&ローのデザインに加えて文字通り大蛇をイメージさせる顔つきなどは正に異様なもの。これにカーボン製のエアロパーツを装着した兜はさらにインパクトのある外観デザインになっていて、街を走らせるととにかく注目を集める。
大蛇(オロチ)が発売されてしばらく経過したとはいえ、街ではまだまだ初めて実車を見る人が多いためか、ほとんどの人が驚きの目で見るのでけっこう気恥ずかしい感じになるほどだ。運転中はなるべくほかのドライバーと目を合わせないようにしていた。
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その日の気分や走るステージにあわせたセッティングが選べる!
走り出した当初はかなり神経を使った。ボディは2mを超える全幅があり、コーナー部分の見切りも良くないので、狭い場所では神経を使う。またフロントスポイラーが低い位置にあるため、段差のある部分などは注意が必要になるためだ。走り出した後は慣れてきて、高速道路に入れば余裕で走れる。料金所のETCゲートをくぐるときなども普通に走れる。
大蛇・兜(オロチ・カブト)も基本メカニズムは変更を受けていない。搭載エンジンはトヨタ製のV型6気筒の3.3リッターで233ps(172kW)/33.4kg-m(328N・m)のパワー&トルク。トルクを重視した設定で、大蛇・兜(オロチ・カブト)のボディに対して十分な実力。際立ってスポーティなフィールではないが、そもそも大蛇(オロチ)がファッション性を重視したスーパーカーで、走りのパフォーマンスを追求したモデルではないので、これで十分という印象なのだ。
電子制御5速ATの印象も最新のATに比べれば多少の不満もあるが、エンジンと同様にこれで十分という印象だ。
外観デザインなどから受ける印象とは大違いで、乗り心地は相当に良い。角のとれた感じの当たりの良さで、気持ち良くドライブできる。それでいて、ワイドトレッドの効果もあって安定性に優れた足回りなのだ。
高速道路を走行中、道路に落ちていた角材を避けるために軽いダブルレーンチェンジを試すようなシーンがあったが、それも何なくこなしてくれた。ただ、ワインディングなどを積極的に走りたいというようなタイプのクルマではない。
大蛇(オロチ)にカーボンパーツを装着した兜は、さらに注目を集めるクルマになったのは間違いない。1000万円を超える価格は簡単に手の届くものではないが、ほかのどのクルマにも似ていないクルマが欲しいというユーザーには、有力な選択肢のひとつだろう。そして大蛇(オロチ)のような自由な発想で作られるクルマが日本にあっても良いと思う。
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written by 松下 宏
代表グレード
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ミツオカ 大蛇・兜(オロチ・カブト)
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4560×2035×1180mm
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車両重量[kg]
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1580kg
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総排気量[cc]
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3311cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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233ps(172kw)/5600rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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33.4kg-m(328N・m)/4400rpm
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ミッション
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5速AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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-km/l
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定員[人]
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2人
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税込価格[万円]
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1380.0万円
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発売日
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2008/9/26
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レポート
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松下宏
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写真
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高木博史
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