“RS”——最先端の技術が盛り込まれたスペシャルモデル
「技術による先進」をスローガンにするアウディのトップモデルがRSだ。つまりRSにはアウディが持つ技術の最先端が詰め込まれている。単にスポーティに走るとか、単に加速が速いということではなく、高級感が漂うインテリアは高品質な仕上げにより快適な居住空間も創りあげている。
2008年に登場したRS6はRSモデルの4代目になる。3代目はいまも継続しているRS4、その前は2002年にデビューした先代のRS6である。
RSモデルはボディ、エンジン、サスペンション、インテリアなどすべてが特別仕様のため、最終工程はネッカーズルムのクワトロ社の工場でハンドメイドにより製作される。
外観は大きなウイングがあるわけでもなく、超高性能車の派手さがないところが大人のクルマであるRSモデルらしい。でもよく見ると275/35ZR20(102Y)XLという太いタイヤを履くために大きく膨らんだフェンダーなど、密かにRS6のポテンシャルをアピールしている。
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注目はエンジン!! 650Nmのビックトルクを発揮!
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注目のエンジンはRS6のために開発されたV型10気筒で、5リッターの排気量にツインターボを備える。426kW(580PS)/6250-6700rpmというパワーと650Nm/1500-6250rpmというトルクを発揮できる。何よりも凄いのは、これまでの7リッター級のNAエンジンと同等の最大トルクをたった1500rpmで発揮できるところだ。さらに6250rpmという高回転までその最大トルクを発揮するという幅広いトルクバンドを持っているという点だ。
これはターボの威力だけではない。FSIの技術が大きな貢献をしているのだ。燃焼室に直接燃料噴射するFSIは、精密な制御により最適な燃料供給ができるだけでなく、燃焼室を冷やして吸入空気量を増やしたり、より効率的な燃焼に近づけたり、その効果は小さくない。
このエンジンに見合うブレーキも備えている。フロントのブレーキキャリパーは重量級のボディを制御するには充分な能力を持つ対向8ピストンである。タイヤは275/35ZR20(102Y)XLという太いピレリPゼロを履く。
先代のRS6にも採用されていたが、今回のRS6にもDRC(ダイナミック・ライド・コントロール)が備わる。これは前後・左右のダンパーをXのようにクロスして配管したものだ。通常は快適な乗り心地が得られるようにソフトな動きができるが、コーナリング状態になると外側のダンパーが縮み、内側のダンパーが伸びるという動きのときに、配管の途中にあるもうひとつのダンパーがその動きを抑えるのである。つまり快適な乗り心地とロールを抑えたコーナリングを両立させているのだ。さらに今回はDRCプラスになって、コンフォート、ダイナミック、スポーツという3つのダンパーの減衰力を選べるようにもなった。
インテリアもRS6専用の特別仕立てだ。RS6のロゴが入ったハイバックスポーツシート。カーボンファイバーの模様を強調したパネル。アルミで装飾されたペダルやフットレストなど走り出す前からドライバーを高揚させる演出は完璧だ。
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加速力は速く、しかし上品さを感じさせる
650Nmのトルクはやはり強烈で、アクセルペダルを踏み込んでいったときの加速力は、サーキットでも速いと感じさせるほどだ。しかしその加速の仕方は上品である。アクセルペダルの踏み込み量に従った加速力だからだ。ジェントルに走ることも強烈な加速も自在である。そして例え急激な加速をしようとアクセルペダルを踏み込んでもRS6は暴れることはない。アウディ得意のフルタイム4WDのクワトロによって、何事もなかったかのように乗員はただ加速だけを感じるのだ。富士スピードウエイの第一コーナーのブレーキングポイントでは250km/hを軽くマークするほど速い。
DRCの効果によってコーナリング時のロールは小さく収まり、タイトなS字コーナーでも揺り返しなくスムースに抜けられる。DRCプラスのモード切り替えは、サーキット走行でもダイナミックモードで充分である。
サーキットでこれほど速く走れるのに、一般道では快適な高級車になれるという二面性がRS6のキャラクターだろう。これもアウディの「技術による先進」がなせる業である。
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車名・グレード
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アウディ RS6 アバント
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4930x1890x1475mm
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車両重量[kg]
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2160kg
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総排気量[cc]
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4991cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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580ps(426kw)/6250-6700rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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650N・m/1500-6250rpm
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トランスミッション
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6速ティプトロニック
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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1660万円
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発売日
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2008年6月16日
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レポート
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こもだ きよし
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