A5の搭載エンジンはV型6気筒3.2Lの直噴仕様のみの設定。A4に搭載される直列4気筒の直噴ターボは搭載されていない。駆動方式はフルタイム4WDのクワトロのみの設定だ。
試乗車にはアウディドライブセレクトと呼ぶ可変機構がオプションで備えられていた。これはインパネ上のボタンを押すだけで、ダイナミックな走りとコンフォートな走りを切り換えられるもの。ほかにオートとインディビジュアルの設定も可能だ。これはエンジン特性、ダイナミックステアリングのギア比、ATの変速特性、ダンパーの減衰力などを変化させるもので、走りのフィールが大きく変わる。そのときの気分や道路状況などに合わせて好みの走りが得られるシステムだ。
このアウディダイナミックドライブはかなりメリハリが効いていて、コンフォートとダイナミックではかなり走りのフィールが変わる。足回りはコンフォートを選んでもけっこう硬めの乗り味だが、ステアリングのフィールは違いが明確なものとなる。低速時のキビキビしたレスポンスが特に印象的だが、違和感を感じさせるほどではないのが良い。
3.2Lエンジンは265ps(195kW)/33.7kg-m(330N・m)のパワー&トルク。十分に排気量に見合った動力性能を発揮しており、アクセルを踏み込めばクーペボディをグイグイ引っ張っていく感じの走りになる。スロットルをあまり開けなくてもフラットで分厚いトルクを感じさせるので、余裕の走りが楽しめる。
4WDシステムは標準状態での前後駆動力配分が40:60とされており、後輪に多めのトルクを配分したFR寄りの走りとされている。よりスポーティな走りを楽しみやすい駆動力配分といえる。
V型6気筒3.2Lエンジンを搭載した4WDのラグジュアリークーペということもあって、本体価格は695万円と相当に高い。オプションを装着して諸費用を払うと800万円を超える購入予算が必要になる。誰にでも簡単に買えるではないが、だからこそアウディのイメージを引っ張るモデルになるのだろう。