アストンマーチン「V8 ヴァンテージ」フロント

一目でわかるアストンマーチンらしさ

 V8ヴァンテージは高級GTカーのアストンマーチンのヴァンキッシュ、DB9に続く、第三のモデルとして登場しました。ボディサイズは全長×全幅×全高=4382×1866×1255mmで、全幅を除けば扱いやすいサイズです。実は2005年発表前の2004年8月に私はV8ヴァンテージのテスト車両を目撃しています。場所はドイツのニュルブルクリンクです。その時は偽装で印象は薄かったですが、日本で改めて見ると「かっこいい」ですね。一目でアストンマーチンと分かる気品とスポーティさが滲み出ています。

いよいよ試乗、スポーツカーらしい勇ましいエンジン音が迎えてくれる

 期待を胸にいよいよ試乗です。外からドアを開けるにはドアに付いているプレート部分を押してドアノブを引っ張り出します。文章で書くと難しいように感じますが、初めてでも直感的に開けられます。シートの着座位置は低めで、電動シートのスイッチはセンタコンソールの横にあり簡単に調整できます。エンジンはやや長めのクランキングの後にスポーツカーらしい勇ましい音でアイドリングを開始します。オールアルミニウム製4.3LV8ユニットは、380psの最高出力と41.8kgmの最大トルクを発生しドライサンプ潤滑システムを採用しています。

V8 ヴァンテージ ドア
V8 ヴァンテージ ドア
V8 ヴァンテージ ドアオープン時

しなやかなサスペンション、乗り心地は良好!

V8 ヴァンテージ シフト

 シートベルトを確認していざスタート! と、したいところですがドアとシートの間の右側にあるパーキングブレーキの解除の仕方が分かりません。オーナーに聞いて解除しましたが、操作方法は一回聞いただけでは理解出来ませんでした。速度計は左側、回転計は右側にありますが回転計だけ反時計回りに動きます。両方を見るのは結構難しく、幸い回転計の中にもデジタル表示の速度計があり、試乗中は回転計だけを見ていました。シフトレバーはやや重いです。一方クラッチは380psの出力の割には軽く、これだったら都内の渋滞でも大丈夫です。まだ新車ですので3000回転を目安に走り出します。この回転数でも充分に周囲をリード出来ます。サスペンションはしなやかで乗り心地はスポーツカーとしては良好です。ステアリングのセンター付近の遊びも少なくパワーステアリングのアシスト量も自然です。

V8 ヴァンテージ 運転席
V8 ヴァンテージ メーター
V8 ヴァンテージ フロント

まさに体感! 追求された操作性の良さ

V8 ヴァンテージ リヤ

 コーナーに進入するとフロントが自然にスッと入っていき、しかもリヤの追従性が良く、トラクションも抜けないため安心感があります。運動性を追求したモデルと聞いていましたが、その通りで運転が楽しくなりました。後で知ったのですがパワートレーンはトランスアクスルを採用し、更にプロペラシャフトはカーボン製にすることにより前後の重量配分は49:51。理想的な重量配分で、その成果の操縦性の良さは誰にでもわかります。高速道路に入っても好印象は変わりません。エンジン及びエクゾースト音も大きめですが気になるレベルではなく、スポーツカーとしては必要に感じます。軽くステアリングに手を添えるだけで直進安定性も良く、乗り心地もフラットで快適です。気持ちが良いのでエンジンを全開にしたい誘惑に何度も負けそうになりました。

比較モデルはポルシェ911

V8 ヴァンテージ バゲッジスペース

 運動性のために重量配分にこだわり、ニュルブルクリンクで鍛えた高剛性なボディ、それを生かすサスペンションのしなやかな動き。ハッチバックを開ければ二人分の荷物も余裕で載せられる実用性も兼ね備えています。同価格帯にはポルシェ911があり、購入時は迷いますね。両車とも運転して楽しいスポーツカーですから、どちらにしても後悔はしないでしょう。