日本でもピックアップが新車で買えるゾ!
1t級のピックアップトラックは、かつてはハイラックスやダットラ、フォルテやプロシード、ファスターなど、主要な自動車メーカー各社がラインナップしていた。ラインナップしていないのはフレーム付きボディのクルマを作れる生産ラインを持っていなかったホンダくらいのものだった。それが今では国内向けに販売しているメーカーがないような状態で、欲しくても手に入らない状態になっている。
そんなこともあって、限定的な形ながら三菱がタイで生産するトライトンを輸入・販売した。三菱はトライトンの旧型に当たるストラーダをタイで生産し、日本を含めた全世界に供給していた経緯がある。
商用車とは思えないほど洗練されたエクステリア
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トライトンの外観デザインはトラックのものとは思えないような流麗なラインで構成されている。私はこのクルマをタイでも見たり乗ったりしたが、タイで最初に見かけたときにはかなりのインパクトを感じた。
ただ、タイ国内ではデザインが先進的すぎて実用性に欠けるきらいがあるなどと評価されているらしく、このあたりが難しいところだ。でもトライトンの主な仕向け地であるヨーロッパや、あるいは日本では、流れるようなリヤドアのラインなどがカッコ良いトラックとして評価されるだろう。
使いやすいボディ形状に乗用車的インテリア
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インテリア回りのデザインにしても、近未来的とまではいかないが、並みのトラックとは違うレベルの先進的なデザイン処理が施されている。
トライトンのボディは何種類か生産されているが、日本に輸入されるのはダブルキャブタイプのボディのみ。荷物と乗員をバランス良く乗せることができ、いろいろな用途に使えるタイプだ。
運転席のシートはそれなりだが、後席のシートはやはり商用車用のもので、特に座り心地が良いというものではない。主にフロントシートを中心に使うクルマだろう。
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メカニズムはちょっと旧いイメージを残す
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搭載エンジンはV型6気筒3.5LのSOHC。日本ではかつてパジェロに3.5LのDOHCエンジンが搭載されていたが、そのエンジンのSOHC版と考えたら良い。これに4速ATが組み合わされている。
メカニズムとしてはさすがにちょっと古い仕様ながら、不具合を潰して熟成を進めた仕様でもある。131kW/295N・mというパワー&トルクは排気量に相応する実力。フレーム付きボディの重量はけっこう重いが、それに見合う実力ともいえる。タイではディーゼルターボを搭載した仕様にも乗ったが、そのデキが良かった。できればピックアップトラックにはディーゼルエンジンが欲しいが、今の状況ではそうもいかないだろう。
エンジンの吹き上がりや加速フィール、ATの変速フィールなど、いずれも何年か前のクルマに乗っているという印象で、最新の乗用車感覚のクルマが欲しいというユーザーが選ぶべきクルマではない。トラックに大きな遊び道具などを積んで出かけたいというユーザーが選ぶクルマだ。
フレーム付きシャシーとリーフリジッドのサスペンションによる乗り心地も、今の乗用車からすれば相当に異なるレベルのもの。荷物を積まない状態では、上下動なども大きくなる。快適な乗り心地に期待して乗れるクルマではないは覚悟しておきたい。
タイで乗ったときにはもっと良い印象だったが、これはタイで乗ったクルマがタクシーにしてもミニバンにしても、日本のレベルとは異なるため。周囲のクルマのレベルが高い日本ではトライトンへの評価が変わるのも仕方ないと思う。
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●まとめ
トライトンは、当初予定した300台をすぐに売り切ってしまったため、追加で300台を入れることになったという。取り敢えず人気を集めたのは前述のような遊びに使いたいというニーズがあったからだ。でも、そうしたユーザーがたくさんいるわけではない。ニーズはあるが相当に限られている。年に1度、300台くらいのニーズが集まったら輸入するという程度の売り方で良いと思う。
代表グレード
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3.5 4WD
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ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
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4995×1800×1780mm
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車両重量[kg]
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1840kg
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総排気量[cc]
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3496cc
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最高出力[ps(kw)/rpm]
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178ps(131kw)/4750rpm
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最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
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30.1kg・m(295N・m)/3500rpm
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ミッション
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4AT
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10・15モード燃焼[km/l]
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7.8km/l
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定員[人]
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5人
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税込価格[万円]
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294.0万円
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発売日
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2006/09/21
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レポート
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松下 宏
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写真
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和田清志
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