本物志向!アウディ A8 3.2 FSIクアトロ試乗記

シンプルなインテリアに、アグレッシブなボディ!

本物志向!アウディ A8 3.2 FSIクアトロ試乗記

 アウディA8 3.2 FSIクアトロはA8のボディでは一番小さなエンジンを積んだ車です。一番大きなエンジンのV12 6.0(450ps)の半分以下のパワーしかありません。この大きなボディに3.2(260ps)ですから走りの期待はしないでキーを受け取りました。

 想像したより軽いドアを開けると、室内は品の良い明るいベージュのレザーに覆われていて、外観のアグレッシブなスタイルと対照的に室内は保守的で、むしろBMW7シリーズの方が未だに革新的です。MMI(マルチメディアインターフェイス)を搭載しますが、コントローラーの周りはスイッチが多く、いきなり触るのは少し躊躇します。リヤシートは充分の広さがありますが、車体サイズよりはタイトな印象です。

一般道も高速も、変わらぬ上質な乗り心地

 ボディは、少し走っただけでカタログに謳っているオールアルミニウムボディの高剛性を感じさせてくれます。軽やかですが堅いボディが好印象。車幅感覚は掴みやすく、軽く正確なステアリングと相まって、狭い道でもストレス無く運転出来ます。
 
 アクティブエアサスペンションを硬めのダイナミックと柔らかいコンフォート、そしてオートマチックのどれを選んでも乗り心地はどっしりしていて、235/55R17のタイヤもプラスと働き、高級車としてとても上質の乗り心地です。好印象は高速道路に入りスピードを上げても変わりません。一部の無音に近い高級車とは違い、しっかり外部の音は入ってきますが、不快な音ではなく、むしろ運転に必要な音が入ってきて好ましいです。

乗ると幸せになれる、そんなクルマです。

 遅いトラックを追い越そうと追い越し車線に移り、アクセルを深く踏み込むと、キックダウンをしてエンジン音が高まると同時に予想を裏切る速さで加速します。この大きなボディをスポーツカーの様に軽々と、しかも気持ち良く走らせます。「本当に3.2リッター?」と思わず疑ってしまいました。数字だけにだまされてはいけません。

 全体的にアウディA8は必要なモノが必要充分にそろっていて、何も我慢する必要のない好バランスの車です。車を駐車場に止め、ドアを開けて、車から降りるときに、安くて美味しい料理食べて、レストランの外に出たときのような、幸せな気分になりました。

クルマ通には是非乗ってほしい!

 一流ホテルの一番安い部屋に泊まるのが、上手なホテルの泊まり方だといわれています。部屋の広さだけが違うだけで、その他のサービスはスイートルームと同じだからです。アウディA8 3.2 FSIクアトロはそれと同じかもしれません。本物を知っている人に、是非乗って欲しい粋な車です。

 しかも、クアトロですからどんな気象条件でも裏切ることはしません。もし私がA8を購入するとしたら、オプションの本革シートとシートヒーターを付け、お金があったらコンフォートパッケージ(シートベンチレーション、サンルーフ等のセットオプション)を選びますが、タイヤは235/55R17のまま乗ります。私もこの車が似合うような人間になりたいですが、まだ沢山の努力が必要です。