トヨタウイッシュ、ロングヒットの秘密をCHECK&TRY!
トヨタウイッシュ、ロングヒットの秘密をCHECK&TRY!

トヨタウイッシュは05年秋、初めてのマイナーチェンジを実施。細かなデザイン変更のみで大きな変化はなかったのは王者の風格か。

トヨタウイッシュ、ロングヒットの秘密をCHECK&TRY!

トヨタウイッシュのインパネ周り。包まれ感がありスポーティムードも満点! しかしインパネシフトを採用し前席左右のウォークスルーを実現している! パーフェクト!

トヨタウイッシュ、ロングヒットの秘密をCHECK&TRY!

トヨタウイッシュの室内。5+2シーターというシート配置で3列目は緊急用という位置付けだ。とはいえ、近隣のドライブくらいなら難なくこなせるスペースはある。

トヨタウイッシュ、ロングヒットの秘密をCHECK&TRY!

トヨタウイッシュは古典的なヒンジ式後席ドアを採用。見た目にも普通のステーションワゴンと変わりなく見える。

トヨタウイッシュのライバル「日産ラフェスタ」はスライド式後席ドアを採用

トヨタウイッシュのライバル「日産ラフェスタ」はスライド式後席ドアを採用する。狭い駐車場などではこちらのほうが乗降しやすく、また使い勝手も良い。

トヨタウイッシュと同じ販売チャンネル「ネッツ店」で売られるヴォクシー

トヨタウイッシュと同じ販売チャンネル「ネッツ店」で売られる「ヴォクシー」。こちらもウイッシュのさらに上をゆく超ロングランヒット作なのだ。

トヨタウイッシュ最大のライバル「ホンダストリーム」

トヨタウイッシュ最大のライバル「ホンダストリーム」。寸法からパッケージング手法まで、実はこのクルマなくして、ウイッシュの登場はありえなかった! ちなみにウイッシュが登場したのは、ストリームから遅れること2年。デビュー早々、あっという間にストリームのシェアを奪っていったのだからスゴイ!

「新車効果」の期間が短くなっている・・・

 「新車効果」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
 フルモデルチェンジや新規デビューしたモデルは、たいていの場合TV CMがガンガン流れ、街のディーラーに行けば一番目立つところに飾ってあったりする。つまり、そんな新型車の新鮮さや目新しさで、売れ行きを大きく伸ばすこと、その効果・効能のことである。

 しかしその旬の時間は、ここ最近は思いのほか短いのだという。
鮮度が保つのもほんの半年。気付けば新車ランキングベスト30からもその名を見なくなっていってしまう。そしてその穴を埋めるべく頻繁にフルモデルチェンジ・マイナーチェンジが行なわれ、また他方では別の新型車が展開されてゆく・・・日本の新車市場とは、かように恐ろしいところなのである。ま、それだけ頻繁に新型車が出てくるからこそ、我々にもお仕事があったりするのだけれど・・・。

 ところが、1年経っても2年経っても売れ続ける驚異的なクルマを、しかもどこよりも数多く有するメーカーがある。
その名はトヨタ。ああ、やっぱり。

デビューから3年の「ウイッシュ」、今だベスト10圏内を維持!

 ロングランヒット作の多いトヨタ車の中で、ウイッシュに注目したい。なんせこのウイッシュ、2003年1月に登場以来、ほとんどの月でランキング10位圏内に位置し続ける大ヒットモデルなのだから。スゴイ!

 ウイッシュ人気の秘密、それはパッケージングに隠されている。
 全長4560mm、車幅1695mm、車高1590mm。街中での扱いに優れる「ちょうど良い」サイズ、5ナンバー枠に収まる(2.0Zグレード除く)寸法に収まっている。ミニバンというよりは、パッと見にはステーションワゴン車のような外観だ。そしてその室内には、ちょっと狭いながらも3列シートがきっちり収まっている。

 もちろんボディサイズからして、常に3列を使うようなニーズには合っていない。
 しかし、普段は夫婦+子供1、2人。たま〜に親世代や親類、友人などを招いての近隣ドライブをする、というニーズ。これ、実はほとんどのミニバンユーザーはそうなのではないだろうか。彼らにとっては、むしろこのくらいのサイズのほうが「ちょうど良い」のでは。平日乗り回す奥様にも、コレ以上大きいのはNG!という人も多いだろうし。
 そんな「ちょうど良い」感じがウイッシュ人気を支えているものと思われるのだ。

逆説的なミニバンだから人気!?

 ウイッシュは背も低め。
 ぱっと見にはちょいとスポーティな雰囲気もあって、そこがまたいい。さらにスポーティに見えるよう、エアロパーツの組まれた仕様もありそちらにより人気があるのもうなずける。

 普通ミニバンというと、使い勝手を考えて後席にスライドドアが付いていたりする。子供も乗り降りしやすいし、ママが赤ちゃんのオシメを交換するのにも使い勝手が良いし。実用車として、コレも大事な性能だ。
 しかしウイッシュは通常のヒンジ式ドア。しかしそれゆえミニバンっぽく見えないし、むしろそんなところが「所帯じみたミニバンには乗りたくない!」と考える若いファミリー層にはウケたようだ。なんとも逆説的だけど、ミニバンらしくないミニバンが欲しかった、ということなのだろう。

 このウイッシュ、現在ネッツ店系の専売モデルだ。同店では、同じ5ナンバーサイズの箱型ミニバン「ヴォクシー」(コレも01年デビューの長寿人気モデルだ!)も売られている。
 あちらはスライドドアに背の高い箱型ボディ。常時6名乗車も出来る、ちょいと所帯じみた(!)「BOXタイプのミニバン」だ。価格帯は割とクロスしているが、ユーザー層はあまりクロスしないことだろう。いやむしろ、お互いのキャラクターを際立たせているという意味で、上手いラインナップだなあと感心させられてしまう。
 最大のライバル車であるホンダストリームは、そろそろ次期モデル登場の噂もある。ウイッシュの優位性は当分揺るぎそうにもないだろう。

達人プロフィール: 徳田 透
職業:町のクルマ好き
1歳の誕生日、母に抱えられ出かけて以来、一度も欠かさず東京モーターショーに通い、『自動車ガイドブック』を絵本代わりに育つ。クルマ以外にも鉄道・バスといった陸を走る乗り物ならみんな大好き。単なる「マニア」とも言う。