「新車効果」の期間が短くなっている・・・
「新車効果」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
フルモデルチェンジや新規デビューしたモデルは、たいていの場合TV CMがガンガン流れ、街のディーラーに行けば一番目立つところに飾ってあったりする。つまり、そんな新型車の新鮮さや目新しさで、売れ行きを大きく伸ばすこと、その効果・効能のことである。
しかしその旬の時間は、ここ最近は思いのほか短いのだという。
鮮度が保つのもほんの半年。気付けば新車ランキングベスト30からもその名を見なくなっていってしまう。そしてその穴を埋めるべく頻繁にフルモデルチェンジ・マイナーチェンジが行なわれ、また他方では別の新型車が展開されてゆく・・・日本の新車市場とは、かように恐ろしいところなのである。ま、それだけ頻繁に新型車が出てくるからこそ、我々にもお仕事があったりするのだけれど・・・。
ところが、1年経っても2年経っても売れ続ける驚異的なクルマを、しかもどこよりも数多く有するメーカーがある。
その名はトヨタ。ああ、やっぱり。
デビューから3年の「ウイッシュ」、今だベスト10圏内を維持!
ロングランヒット作の多いトヨタ車の中で、ウイッシュに注目したい。なんせこのウイッシュ、2003年1月に登場以来、ほとんどの月でランキング10位圏内に位置し続ける大ヒットモデルなのだから。スゴイ!
ウイッシュ人気の秘密、それはパッケージングに隠されている。
全長4560mm、車幅1695mm、車高1590mm。街中での扱いに優れる「ちょうど良い」サイズ、5ナンバー枠に収まる(2.0Zグレード除く)寸法に収まっている。ミニバンというよりは、パッと見にはステーションワゴン車のような外観だ。そしてその室内には、ちょっと狭いながらも3列シートがきっちり収まっている。
もちろんボディサイズからして、常に3列を使うようなニーズには合っていない。
しかし、普段は夫婦+子供1、2人。たま〜に親世代や親類、友人などを招いての近隣ドライブをする、というニーズ。これ、実はほとんどのミニバンユーザーはそうなのではないだろうか。彼らにとっては、むしろこのくらいのサイズのほうが「ちょうど良い」のでは。平日乗り回す奥様にも、コレ以上大きいのはNG!という人も多いだろうし。
そんな「ちょうど良い」感じがウイッシュ人気を支えているものと思われるのだ。
逆説的なミニバンだから人気!?
ウイッシュは背も低め。
ぱっと見にはちょいとスポーティな雰囲気もあって、そこがまたいい。さらにスポーティに見えるよう、エアロパーツの組まれた仕様もありそちらにより人気があるのもうなずける。
普通ミニバンというと、使い勝手を考えて後席にスライドドアが付いていたりする。子供も乗り降りしやすいし、ママが赤ちゃんのオシメを交換するのにも使い勝手が良いし。実用車として、コレも大事な性能だ。
しかしウイッシュは通常のヒンジ式ドア。しかしそれゆえミニバンっぽく見えないし、むしろそんなところが「所帯じみたミニバンには乗りたくない!」と考える若いファミリー層にはウケたようだ。なんとも逆説的だけど、ミニバンらしくないミニバンが欲しかった、ということなのだろう。
このウイッシュ、現在ネッツ店系の専売モデルだ。同店では、同じ5ナンバーサイズの箱型ミニバン「ヴォクシー」(コレも01年デビューの長寿人気モデルだ!)も売られている。
あちらはスライドドアに背の高い箱型ボディ。常時6名乗車も出来る、ちょいと所帯じみた(!)「BOXタイプのミニバン」だ。価格帯は割とクロスしているが、ユーザー層はあまりクロスしないことだろう。いやむしろ、お互いのキャラクターを際立たせているという意味で、上手いラインナップだなあと感心させられてしまう。
最大のライバル車であるホンダストリームは、そろそろ次期モデル登場の噂もある。ウイッシュの優位性は当分揺るぎそうにもないだろう。