搭載エンジンは1.5Lと2.0Lの2機種が用意されているが、今回試乗したのは2.0Lエンジンの搭載車のみ。パワー&トルクの数字は98kW/141N・mの実力で、2.0Lの自然吸気DOHCエンジンとしてはやや控えめな数字。ライバル車のプレミオ/アリオンは直噴仕様のエンジンを搭載することによって2.0Lで114kWのパワーを得ているからだ。馬力で言うと20馬力以上の違いがある。
ただ、実際に走らせた印象にはそれほどの違いはない。最高出力を発生する回転数が低めに設定されているし、低速域から十分なトルクを発生するので、エクストロニックCVTと合わせてスムーズで力強い走りが可能だ。このCVTはすでに日産のいろいろな車種に採用されていて、今回のシルフィでは一段とスムーズな走りを実現するようになった。新しいモデルに採用されるたびに、どんどん良くなっている印象がある。
同様に電動パワーステアリングも良くなっていて、フリクションなどを感じさせることなく、低速域での操作のしやすさと高速域での確かな手応えとが両立されている。
足回りはちょっと意外なくらいにしっかりした乗り味。乗り心地も決して悪いものではなく、操縦安定性とのバランスが良い。
静粛性は運転席ではそう気にならなかったが、後席に乗ったパッセンジャーからはノードノイズが気になるという声が聞かれた。後席も重視するセダンだけに、もうひと工夫が必要といえるだろう。
1.5Lエンジンの搭載車も設定されているが、トランスミッションがエクストロニックCVTではなく電子制御4速ATになって価格も180万円弱というのではちょっと割高な印象。装備も貧弱なものになるからだ。2.0Lエンジンの搭載車はFFだけになるが、お勧めは本体価格が200万円をわずかに切る中間グレードの20M。これにカーナビやインテリジェントキーなどのオプションを装着(合計すると40万円を超えるが)すれば、十分に満足度の高い仕様になる。